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雑談

 車内でブリーフィングに入る前の事だ。


「ハーイ、乗って乗って」 

 

 手慣れたように準備を終え、タチアナ達が乗り込んだ車は軽自動車のような小柄な普通自動車であり、暗めの緑色の車である。バンなどの作業車を使い、作業員に溶け込むより、多国籍の遊び仲間のドライブの設定でいくらしい。


「運転してる子は、エッツィ。ちょっと、陰気だけど腕はたつよ」


 助手席に座るジェーンは、後ろを向きながらまるでショーの登場人物を紹介するように手で運転席の方を手で案内をする。


「どうも…」


 運転席から、返事をする彼に覇気がない。


「ノリが悪いなぁ〜」


「君のように楽天的にはなれないよ」


「兄ちゃんも巻き込まれた口かい?」


 ロイは、なんとなくこちらの立場と同じ空気を感じて、問う。


「そうですね。ある日突然気がついたらこの業界にいた感じです」


 立場的には同じなのにアウェー感を感じたジェーンが、抗議するかのように言う。


「わたしだけ仲間はずれに言わないでよ〜わたしだって今の立場は不本意だっての〜まあ、暴れるのは好きだけど」


「適材適所じゃないの…」


 タチアナは呆れ気味に答える。


「いや、わたしとエッツィは似たような境遇だから!!」


 手を振り否定を表して、タチアナに言う。


「暴れるのが好きって言ったじゃない?」


「そうだけど、首輪をつけられて自由がない感じが嫌なのよ」


 ふぅと一息をつけて、タチアナに向けて続けて話した。


「本来社会的にいない部類だし、ある程度仕事してお金貯まったら、人生を買い戻したいのよ。わたしは…だけど、自分で蒔いた種だし、なにより退屈しない日常だから楽しまなきゃ」


 楽観的で快楽的な彼女がどんな境遇かまでは、わからない。暴力が伴う世界をも楽しむ姿勢を持つ人物はたくさん見てきた。しかし、暴力に酔っている訳ではない。暴力を娯楽としてしまっている為、彼女は一般社会が受け入れられないだろう。現に今回人を殺すと言うのに談笑をしている。


 タチアナは、ある意味自分と同類であると感じた。


 必要と感じれば暴力、いや、殺人に忌避感を感じない。身内という括りがなければ、敵でなくとも必要であれば、罪のない人を殺すことに躊躇いがない人は一般社会でやっていけるのか?


 これはタチアナが、一般社会に働く上で組織から問題視されていたことだ。





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