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不思議話。  作者: ヨスガ
8/12

それは別れの日。


 ある年、皆々大きくなったので、借家を離れそれぞれ引っ越す事になりました。

 引っ越しの日が近付き、荷物をまとめていた時の事です。

 夕方、暗くなって来たので電気をつけたところ、私の部屋だけふうっと点いたり消えたりするようになってしまいました。

 嫌なタイミングで電球が切れたなあと、仕方なく片付けを止めて電球を買いに出かけました。

 帰宅後、祖父が取り替えてくれたのですが、電気を点けてしばらくするとまたふうっ、とゆっくりゆっくり点滅を繰り返しました。

 祖父に確認してもらいましたが、無言です。ちらりと祖父を見やると、今日の片付けは諦めろとあっさり言われました。

 渋々了承し、ご飯を食べてお風呂に入りました。

 無視していたんですが、浴室に入った時点で何故か物凄いプレッシャーを感じていました。

 凄く怒っている人に睨まれているアレです。あんな感覚がずっとありました。

 しかし場所は湯船です。もし誰かいるのなら明らかに変態です。

 思わず私は見てるんじゃないよ変態と、独り言をこぼしました。

 その瞬間、風呂場が酷い地震のように揺れました。まるで工事現場の真横に居るような、ゴガガガッという音と共に。

 そして浴室の電気が消えました。怖いとかそんな話ではなく、私はやはり誰か(ナニか)見てるんじゃないかと腹を立てて、もー!と叫び湯船から上がりタオルを巻き付けると祖母に叫びました。

 お祖母ちゃん浴室まで電気消えちゃったよー!と。

 きょうは変な日やなと言いつつ、祖母は浴室の電気カバーを外したようでした。

 服を身に着けつつそれを祖母の背中越しに見ていたのですが、祖母もまた無言になります。

 お祖母ちゃん?と問いかけると、電球が割れてしもてるわ、と感情の籠もらない声音で言われました。

 ああさっきの揺れか!と思ったのですが、祖母は難しい顔をしたままです。

 さっき起こった事を言い出せず、きょう何か電気系統おかしくなってるよね~と流しました。

 祖母はそうやなと、硬い声で答えました。

 結局翌日も私の部屋の電気だけ点いたり消えたりするので、荷物の箱詰めは明るい時間に大急ぎでやりました。

 引っ越し当日となり、荷物を手分けして軽トラに運び出し、家は空になりました。

 一度玄関で振り返り、今までありがとうと、呟きました。

 特に物音はせず、返事も返らず。静かなお別れとなりました。


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