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不思議話。  作者: ヨスガ
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それは胡蝶の夢のような。


 夜お布団でうとうとしていると、ふいにゆっくり目を開ける感覚になりました。

 事実目を閉じているのに視界はぼんやり昼間のような明るさを捉えていきました。

 ざわざわと音は遠く、しかしそこは確かに街中。歩道橋にしては幅が広いな、広場に繋がっているからだっけ、と、知らない街知らない場所だというのに私の頭にはそんな情報が浮かんできました。

 少しずつその場所を『思い出す』うちに『私』はおかしいな、どうして知らない場所だなんて思ったんだっけ、と知らない事の方をおかしく感じ始めました。

 途端、周りの音がクリアになりました。人の行き交う音、人々の会話がリアルに耳に入って来ます。

 『私』は当然のように地に足をつけて歩き出したのですが、私はこれ以上は駄目だ、と強く思い無理やり目を開きました。

 場所は自室のベッド。はー、と深く息を吐き、起き上がると深呼吸しました。

 よく知っている、自室の香りがしてやっと安心できました。

 間に合ったのだ、と。

 視界がクリアになり音がクリアになり、きっと恐らく次は街の香りを捉えていたでしょう。

 もしそうなっていたら私は何の違和感なく『私』となっていた確信がありました。

 だって足を踏み出し歩き出した時確かに感覚があったのですから。

 もし夢の方の『私』と同じ人間になってしまった場合、こちらの私はどうなっていたのでしょうか。

 そしてあの街はどこだったのでしょうか。周りの服装は今の流行りと違っていた気がします。

 夢が現実となるような体験は一度だけで、あれ以降ありません。

 ただ、あの感覚のまま誰かになれるのだとしたら、そして同化したそれを覚えていないのなら、今この私は元から私なのかしらと、時折ぞっとするのです。


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