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不思議話。  作者: ヨスガ
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それは真夏の昼下がり。


 小学校の夏休み。

 その日は平日で、大人たちは皆仕事に行っていた為、一人家に居ました。

 昼寝をしようといつものように祖父の部屋に忍び込み、窓を二箇所開けました。

 ベッドに潜り込み、目を閉じます。

 しかし眠気はあるのに一向に眠れず、何度も寝返りを繰り返しました。

 何がいつもと違うのかと、子ども心に不思議に思い窓を見ます。

 風が全く無いのだと気づきました。

 祖父の部屋は真夏でも陽が当たらない位置で、窓さえ開けていればいつも涼しく過ごせていたのです。

 だからいつもここで昼寝をしていたのですが、子ども心に仕方無いなあとがっかりした記憶があります。

 それでも眠いのは眠いので、諦めてまた横になりました。

 目を閉じていると、唐突にガチャッと音がしました。

 聞き覚えのあるそれは、祖父の部屋に置いてあるラジカセの重いボタンを押し込んだ音でした。

 ぼんやりとそれに近づくと、サーと音が流れて何かが再生されています。

 しかしボタンは録音と再生ボタンが押されていました。おかしいな、と思いつつもスイッチを解除しました。

 次いで、カセットを入れる場所を開いてみます。

 カセットは挿入されていませんでした。

 あれ?と、じゃあ何が再生されていたのかなと、疑問を抱きました。

 ラジカセの周りを確認すると、黒いコードが伸びていました。

 電源コードでした。コンセントに刺さっていませんでした。

 電池が本来入る場所は蓋が壊れており剥き出しで、そこに電池は入っていませんでした。

 コードは刺さっていない、電池は無い、カセットも無い。どうして動いていたのでしょうか。

 何より、家の中には私しか居ない。誰がボタンを押したのでしょうか。

 子どもだった私は眠気に勝てず、考える事を放棄してまた横になりました。

 夕方、帰宅した家人に起きなさいと声をかけられるまで眠り、特段おかしな夢も見ず、普通に夕飯を食べ夜もしっかり眠りました。

 あれが何だったのか、未だ思い出すたびに不思議な感覚がします。

 恐怖や違和感はなかったので、きっと悪いモノではないのでしょう。


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