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~わがまま姫となぜかいきなり旅行に行くことに!?~

とあるゲームのシナリオの基にする予定の小説です

最後まで書ききることを目標にします

「旅に出るわよ!!今から!!」


 平穏な、何でもない王城の一日が始まろうとしていた時に、姫様は同じ部屋にいた私に向けて唐突に宣言した。そんな普通ではない状況にも関わらず、私は至って冷静な表情で聞き返す。


「旅、旅ですか。これまた唐突な......」


 腕を顎に当てながら、早くもどのように姫を説得するべきか考え始める。無茶ぶりに悩んでいくうちについた癖だ。まあどうせ今回も無駄に終わる気がするが。


「そうよ旅よ!最近なんだか刺激が足りないなーって思っていたの!ほら、本にも書いてあったの!!退屈な人生は一番価値がないって!」


 姫様はその美しい長い黒髪をふわふわと、惜しげもなく振り回しながら伝えてくる。さぞ興奮しているのだろう。目が星になっている。かわいいなぁ。毎回毎回、納品される本には本当に苦労させられている。姫はこれまでで会ったことがないほどに好奇心が強い。ので、新しい物や知識が入ると必ず影響される。


「姫様、旅ならば外遊などで既になさっているのではないのですか?次の外遊もすでに予定にあります。それまで我慢なさってくださ」

「そんなんじゃだめよ!!本にも書いてあったわ!善は急げって!!それに外遊って言ってもちょろっとしかいつも見れないじゃない!」


 姫様はいつも本に書いてあったといって、わけのわからないことや無茶苦茶なことを言ってこっちを丸め込ませようとする。思わず苦笑いしながら返答する。


「何ですかゼンハイソゲって。そんなこと言っていないで、今日の予定を確認しましょう」


 軽くいなし、さっさと次の話題に移行して忘れてもらおうとする。どうやら今日も含め今週はそこまで予定は立てられていないようだった。先週はなんでも剣術の名門の継承戦が行われたらしく、かなり忙しかった。王様が気を使って負担を軽くしたのだろうか。


「どうしてもだめなの?」

 姫様が食い下がる、その子供のようなかわいらしい顔を見せながら迫ってくる。


「ダメなものはだめですよ。何より一国の王女が旅に出るだけでもどれだけの大事になるかお判りでしょう?それに、私に伝えられてもそんな権限ありませんよ」


 きっぱりと断ると、姫様が頬っぺたを膨らましながら怒っている。子供か!と心の中でつぶやきつつ、話を進めようとすると。


「じゃあ、」


 姫様の目が小悪魔のように輝いたのを、私は見逃さなかった。こういったときに発する言葉はたいてい決まっており、そしてその言葉によって毎回姫様の願いをかなえることになってきている。


「旅行中、髪の毛を触ってもいいわよ」


 やっぱり来た。


「......ほんとですか」


 そしてそれを断れない。


「ええ、いいわよ。何なら好きなだけ触ってもいいわよ」


 好きなだけ!?いま好きなだけって言ったこのお方!?いいんですか!?ほんとに!?

 いや落ち着け、落ち着くんだ私!情けないと思わないのか!自分の性癖を材料に手玉に取られているじゃないか!王に姫様の側近に抜擢されてから2年、王の期待に応えようと必死にやってきた!どうしてそんな、信頼を失うようなことができる?だめだ、断ろう!でも最後に確認だけしてみよう。

 心の中の興奮が悟られないように落ち着きつつ確認する。


「そ、それは、ほ、ほんと、本当です、か」


 思いっきり声に出た。いやしかし、しょうがないだろう、こんなことあっていいのか。今まではせいぜい一回か二回が限界だったのに。


「いいわよ、あなたが私のお願いをかなえようとしてくれるならね」


 こういう時の姫様は、普段からは考えられないほどずるがしこく、そして魅力的に映ってしまう。そして毎回抗うことができない。


「わ、わかりました。ほ、本当ですよね、ほんとに好きなだけ」

「ええ、いいわよ。あなたの大好きな私の黒髪、触らせてあげるわ」


 悪女みたいな言い方で、にやにやしながら見てくる。自慢の黒髪を触りながら。こらえきれず、返事をしてしまう。


「わ、わかりました!執事として、姫様の願いをかなえます!かなえます!」


「それでこそ私の執事!!」


こんなことで、唐突に旅に出つことになりました。




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