黒柳さんとチンピラ
ここからヒロイン達と関わって行きます。
まだまだ続きます。
図書委員でのそんな出来事があったその日の放課後、早速嫌なことに巻き込まれてしまった。
男子生徒2.3人に囲まれている黒柳さんを見つけてしまった。
「ねぇ、黒柳さんいいじゃんかよ〜」「いつも断ってさぁ」「今日ぐらいは遊ぼうぜ〜」
「嫌よ、あんたらなんかと一緒にいたくないもの、早く家に返してくれるかしら」
そんな会話が聞こえてきた。
「きゃあ!!話して!」「そんな大声出さないでよ」「ちょっと遊ぶだけじゃんか〜」
「うっわ」いかにも頭悪そうな奴ら、てかナンパの手法が古いねん。
「あっ?なんだよお前?」「何?ヒーロー気取りですかw?」「なんか用?」
やべ、声に出ちゃってたわ。どうしようかな。煽り方小学生かよこいつら。
「いや別に用は無い、どうぞご勝手に。ただ、頭の悪そうな奴らが頭の悪そうな言葉使って、古いナンパしてるもんだからびっくりしてさ。気にしないで続けてどうぞ」
特に関わりたくないのでそそくさと立ち去る。
「おいっ!待てよっ!」「俺らのこと散々バカにしやがってっ!」「何言うだけ言って帰ろうとしてんだ!」
うわ声ででかいな、やっぱ馬鹿じゃん。声がでかいやつは馬鹿だって相場が決まってんだよなぁ。
「そんなに大声出してると先生来るぞ、先生に今の状況見られちゃまず良いんじゃないか?」
何なら俺が証言してやるぜ。
「それはやべぇ」「じゃあね黒柳さん」「帰ろ帰ろ」
急いで帰りやがって、悪い子としてる自覚あったんかい。ならやるな馬鹿どもめ。
よし、「ねぇ」じゃあ俺も帰ろうっと。「ねぇ」
「ねぇってば!」
ん?俺に話しかけてたのか、てかまだいたんだ。
「えっと、どうしたの?く...さん」
どうしよついさっき自己紹介聞いたばっかなのに名前覚えてねぇや。記憶力なさすぎだろ俺。
「黒柳よさっき自己紹介したでしょ?聞いてなかったの?」
聞いてなかったに決まってるやん。興味の無い他人の自己紹介とかどうでもいいねん。
「逆に聞くが、俺の自己紹介は聞いていたのか?」
こいつ全部無表情で聞いてたからどうせきいてねぇだろ。
「馬鹿にしてるの?三枝君でしょ?さっき聞いたんだから忘れてる訳ないじゃない。どのみち私は一回記憶した人の名前は忘れないけど」
ほう、意外に聞いてたのか。一回聞いたら忘れないってすごいな。無駄な情報が増えるだけやん。
「って、そういう話をしたかったんじゃないわ。さっき私を見捨てようとしたわよね?」
「そりゃそうだろ、誰だってめんどくさいことには極力関わりたくないだろう?」
「ええ、それは別に良いわ」
いいんかい。そう突っ込まざるを得なかった。
「私がしたいのはその後の話、どうして態々相手を煽るような事を言って挑発したの?」
関わりたくないと行動で示していたのにと。
「ただ俺が思った事を素直に伝えただけであって別に煽ろうと思った訳では無いんだがな」
「つまりあれがあなたの本心だと?」
「あの状況で言ったやつに関してはそうだな」
そういったあと黒柳さんが少し考える素振りを見せる。
「まぁ実際私は困っていたから結果的に言えば助けて貰ったということになるのかしら?」
「は?結果論すぎるだろ別に助けようと思ってた訳じゃないし、そもそも眼中になかったし」
「眼中になかったって言われると少しムカつくわね」
なんだそりゃ、興味のないやつが眼中に入ることなんかないだろうに。
「まぁあれだ。俺は別に助けてない。だから助けて貰ったなんて考えは捨ててラッキーだったなとでも思っておいてくれ」
「そうね、あなたは見返りが欲しそうには見えないしラッキーだったで片付けるのが一番無難かしら」
「そういう事、じゃあここでは何もなかった。おっけい?」
「何もなかったね、わかったわ少しだけど収穫はあったもの」
「は?何?収穫って怖いんだけど」
「あなたが私の名前を覚えた事、あなたがどういう人なのかわかった事かしらね」
なんで俺が名前を覚えてる前提で話を勧めてるんだか。わざと忘れてよっと。
「んじゃ、俺は帰ります。図書委員で時たま一緒になるだろうけど多分覚えてないから俺の事も覚えてなくていいよ」
一回記憶したら忘れないんだっけ?すごいと思ったけど不便じゃね?やっぱ。脳内の情報量が増えていく一方やん。
「そう、私は一回記憶したら忘れない。だからあなたの事は覚えていた。あなたは何も覚えていないようだけど」
と呟く彼女の声は骸には届かない。
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