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3 吾輩はネコである

学園生活一日目、俺は8時頃寮を出て校舎へと向かっていた。

授業は一時間後に始まるのでかなり余裕がある。レンガで舗装された遊歩道を歩いていると、少し前に見知った少女が歩いているのに気が付いた。

入学式の後、俺にこの学園のことを教えてくれた人物、六組の姫川だ。なにかと世話を焼いてくれたのには感謝しているが、まだ法が効果を発揮しているとはいえ銃を向けられるのはもうごめんだ。


そっと横を通り過ぎようと試みたが―――


 「おはよう、奇遇ね」


気づかれてしまったようだ。俺は周囲に誰もいないことを確認し、この挨拶が自分に向けられたものだと確信する。


 「ああ、おはよう」


 「顔色が悪くないかしら、大丈夫?」


 「いや、大丈夫だ」


本心がばれないように取り繕う。


 「ならいいわ。 そういえば―――まだ名前を聞いてなかったわね」


確かに俺は彼女の名を知っているが、俺はまだ名乗っていなかった。


 「俺は、、結城 竣(ゆうき しゅん)だ。 改めてよろしく頼む」 


 「ええ、よろしく、結城君」


寮と学校との間は意外に長い。まだかなり距離があるので俺は話を変えることにした。


 「そういえば、校則の中に『一か月に一度特別試験を行う』っていう項目があったんだが、それについて何か知らないか?」


俺は昨日の夜、携帯端末上で見たものを思い出す。


 「()()()()()()()、色々と調べてはいるのね」


 「一言余計だ」


 「悪かったわ。 それについては私もよく知らないの。 入学する前から、特別テストがあるってことは知っていたけれど、詳細についてはなにも」


 「そうか。 まあ、そのうち説明があるだろうから、気長に待つか」


 「そうね」


まあ軍事関係の学校ということもあり試験内容は大体察しが付くが、、


話し込んでいるうちに、学校の玄関にたどり着いた。玄関口は東棟と西棟の渡り廊下の中間に位置している為、ここで彼女とは別れることになる。


 「じゃあ、俺はここで」


下駄箱で上履きを履き、俺の教室のある西棟に向かおうとした時だった。


 「ちょっと待って」


姫川が俺の袖を引っ張った。


 「どうした?」


 「いや、その、連絡先を交換しとこうと思ってね。 これから色々なことがあるだろうし、他のクラスに知り合いがいると便利になることもあると思うの」


便利扱いされたのは置いておいて、こちらとしても願ってもないことだ。

加えて入学試験の次席様と連絡先交換ができるなど鼻が高い。俺はポケットから端末を取り出した。


 「そうだな、俺からも頼む」


端末同士をかざすと、メッセージアプリに姫川の連絡先が追加された。彼女のアイコンはかわいらしいネコになっていた。


 「猫、、好きなのか?」


 「ま、まあね。」


その後、俺たちは別れてそれぞれの教室へと向かった。

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