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1番目の姉が婚約破棄をされた腹いせに家の有り金持ち出して家出し、2番目の姉は1番目の姉の婚約者を奪い妊娠、3番目の私は二人に迷惑をかけられて1番目の姉の復讐とやらのしりぬぐいに追われてます…

作者: aika

「出ていけ!」


「ええ出ていきますわよ!」


 これが一番上の姉と両親の喧嘩の最初でした。

 うちは商家、一番上の姉が婚約者と結婚して跡取りになるはずでした。

 しかし、2番目の姉と真実の恋に落ちたとやらで婚約者を取り換えて結婚、跡取りになる予定でした。


 結婚式は2番目の姉と1番目の姉の婚約者の結婚式。

 最初は、この取り換え結婚で1番上の姉が出席する。しないで揉めて……。

 姉が諦めて、出席して、その夜に家の有り金持ち出して、あげくに屋敷に火をつけてとんずらしました。


 幸い死人は出ませんでしたが……。

 出ていけの喧嘩から1週間後、見事にこれは復讐ですわの置手紙を残して姉が家出。

 2番目の姉と婚約者は頼りない。家の資産がなくなったと分かったとたん、婚約者は逃げ出し……。


 さてどうしようかというところです。


「メアリルアン、いったいどうしようというの?」


「お母さま、私の恋人は冒険者です。結婚資金にと貯めていた資金をうちの再建に回してくれると言っています。だから安心してください」


 仮屋から私は新しい家を見つけたので引っ越しをしましょうと提案しました。

 両親が驚いていましたが、元々、1番目と2番目の姉が結婚したら、恋人のことは明かすつもりでした。


「でも……それはお前に」


「仕方ないです。ルウ姉さまはもうすぐ赤ちゃんが生まれるのに仮屋住まいは体に悪いですし」


「すまないねえ」


 両親と2番目の姉のルウリナとともに私は恋人が買ってくれた家に移り……。

 そこからなんとか商売を立て直そうとしたのです。


「アン、これからどうする?」


「あなたに頼ってばかりも悪いですから、商売の立て直しを考えます」


 恋人の冒険者、名前はトーマといいます。トーマ曰く、女一人で商売といっても難しいというのです。彼はもともと商家の三男坊で、商売については私より物知りです。


「うちの醜聞は知れ渡ってますから……難しいでしょうね」


「君さえよければ、うちの実家に援助を頼むが」


「それは最後の手段にします」


 私はお金もない、売るものもない、そんな現状でどうしようかと考えました。

 私は冒険者であるトーマから聞いた「ダンジョンの近くに補給する店などがないから困る」という言葉を聞いて、ふと思いつき、薬草や毒消しなどを集め、ダンジョンの近くで売ることにしました。


 トーマが幸い腕利きで、私の護衛をしてくれたので成り立つ商売でしたが。


「うーん、とんとんというところですかね」


「父に言ったら、商売として成り立つなら資金援助をしてくれると言っているが」


「うーん、それは最後の手段でいいです。ありがとうトーマ」


 もうすぐルウ姉さまの子供も生まれます。どうにかしてお金を手に入れないと、お父様は寝込んでますし、お母さまは頼りになりません。


「そうですわね、トーマなら他に何があれば便利です?」


「食料かな?」


「なるほど」


 私は南の国で保存食があるというのを聞いたことがあり、取り寄せてみることにしました。

 水をかけるとなんと膨らみ、お腹いっぱいになるお豆でした。


「へえ、これは便利だな」


「栄養素的にはいまいちですけど」


「でも空腹は冒険者の敵だからな」


 私は実演を兼ねて、試食会とやらを開いてみました。

 お味はいまいちでしたが、お腹がいっぱいになるのはいいと評判は上々。

 仮売店で出してみると、冒険者の間で評判になり飛ぶように売れました。

 専売契約を結んでいるので、わが国でおろしてもらえるのはうちだけ。


「中々やるな、アン」


「これでルウ姉さまの出産資金はできました」


「うちの父さんも、その豆が欲しいといっているが」


「ええ、あなたのお父様なら、手数料なしで卸します」


 私はトーマのお父様に豆を卸して、そして昔トーマのお父様が商売をしていたという雑貨店を一つもらうことになりました。


「中々いいお店です。ダンジョン近くですし」


「そうだな、ここで商売をするのかアン?」


「ええ、あなたに護衛をしてもらわなくても、魔物除けの結界を作ってもらいましたから、大丈夫そうですし」


 私はダンジョン近くにあった雑貨店で、冒険者相手の商売を継続し、出張店も増やしました。

 トーマは相変わらず冒険者をしていますが、稼いできてくれています。


 ルウ姉さまの赤ちゃんは男の子でとてもかわいいです。寝込んでいたお父様も何とか立ち上がれるようになり、雑貨店を母と一緒に手伝ってくれるようになりました。


「そろそろお前も結婚するかい?」


「いえ……とりあえず商売をもう少し軌道にのせてからにします」


 1番目の姉の消息はしれませんが、どうしてますかしら? しかし復讐しますわの置き手紙を見るたびに姉の気性の強さを思い出しました。有り金をはたいた商売に失敗したのは聞きましたが。どうしていることか。

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