第69話 泥沼
無事に用事が終わりました!
スカイドラゴンの体は四散し、ニーナは空中から地面に叩きつけられていた。
これでこのフロアにいる敵はすべて無力化した。
俺は教団幹部のニーナから、情報を聞き出すために倒れている奴の首元に剣を突きつける。
「教祖はどこにいる?」
「……」
「王国に潜り込んでいる裏切り者の名前は?」
「……」
「おまえたちの目的はなんだ?」
「この汚れた世界を浄化すること」
唯一この質問には答えた。
「どういうことだ?」
「この世界は狂っている。常にどこかで戦争は起き、人は殺される。子供たちは苦しみ、死んでいく。最後には死が待っている。ならば、こんな世界滅んだ方がいい。邪龍様を呼び出し、紅蓮の炎で世界を焼いて、新しい苦しみのない理想郷を作り出す。それが、私たちの喜び!」
まさに、狂信者か。
「アレク官房長…… たしかに、あんたは強い。この泥沼の魔術は、たぶんあんたのオリジナルでしょ? それに、ダブルマジックという伝説の技。本来なら、充電に時間が必要な魔法を連続で打てるほどの魔力。あんたは、たしかに世界最強クラスだ。でもね、教祖様、そして、邪龍様には絶対に勝てない」
「負け惜しみか?」
「そうだといいんだけどねェ! 教祖様万歳、邪龍様万歳」
ニーナは最期にこう言って口から泡を吹いて、動かなくなった。どうやら、口の中に毒を仕込んでいたようだ。敗北した場合は、速やかに自決し、情報を漏らさないように……
やりきれないな。
「先輩、怪我はありませんか?」
「ああ、大丈夫だ。結局、情報は得られずじまいだったけどな」
「まさか、毒で自決するとはな……とりあえず、アレクが無事でよかった」
「おいおい、無茶ぶりをしたおまえがそれ言っちゃうのかよ?」
「お疲れ様でした、官房長!」
「ありがとうございます、副会長。実際これで教団側の戦力はほぼ壊滅だと思います。あとは早めに教祖を押さえましょう!」
「ねぇ、みんなどうしてアレク君の泥沼魔法に誰も突っ込まないのかしら? 私、あれ初めて見たんだけど?」
「「「ああ、それはあいつ(先輩)がもうなにをやっても驚かないから」」」
みんなはそう言って笑っていた。
「いや、みんなアレク君の非常識に慣れすぎでしょ…… いったい、どんなことをしたらあんなやり方思いつくのか教えてほしいわ!!」
「農業をやっていて思いついたんです!」
実際、あの魔法の組み合わせを思い浮かばなかったら結構やばかったんだけどな!
この1ヶ月農業で、土と水をいじりまくっていたから、思いついたんだ。あの泥沼魔法!!
我ながら思いつきでうまくいった。
「ありえない。どんな応用力よ。冒険とは一見関係のない経験からですら、発想力を膨らませて戦闘に応用してしまうなんて…… アレク君の才能の恐ろしさを垣間見た気がするわ。あなた、今後は何をしても強くなっちゃうんじゃない?」
「言い過ぎですよ、マリアさん!!」
俺は、笑って答えた!
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