第6話 白兵戦
反響の多さに嬉しくなって、仕事の昼休みにスマホで書きました(笑)楽しんでもらえると嬉しいです!
「すごいですね、先輩! 世界ランキング2位ですよ! やっぱり天才だったんですね」
「自分でもびっくりしてる。駆け出し冒険者時代に一度、やっただけで、あの時は100少し超えたくらいだったんだけど……」
「じゃあ、成長ですね。やっぱり魔王軍との最前線でずっと死闘を繰り広げていたから、急成長しちゃったんですよ」
「改めて数値化されるとビックリするな。どちらかというと、魔法使い寄りのポジションだったから、こんなに成長したのかもしれない」
「もっと、胸を張ってください。世界ランキング2位なんですから。先輩は、自慢の先輩です」
こいつに少しでもカッコをつけることができて一安心した。ペーパーテストでは勝てないからこういう実技面で結果を残さないといけない先輩が悲しい。
「では、次は白兵戦の技術診断です。こちらの練習魔道具と、練習試合をしますので、アレクさん、よろしくお願いします」
これは、剣速などを測定する試験でニコライが世界ランキング2位で、戦士のボリスが1位だったはずだ。さすがにあの二人に勝てないのはわかってるけど、一応、魔法戦士だからな。少しは爪痕を残したい。
人間を模した魔道具が相手だ。
「S級冒険者のアレクさんなので、魔道具のレベルはマックスにしておきました」
おい、受付嬢ちゃん、あんまりハードルを上げるなよ。俺、どっちかというと魔法使い寄りなんだからな。それに、魔道具レベルマックスって、ほとんどの冒険者が瞬殺されるくらい強くて、王族の護衛とかにも使われている最高のセキュリティじゃん。勝てるかどうかわからないじゃん。
「ソレデハ、マイリマス」
魔道具がしゃべった。おそろしい速さで、魔道具の木刀が俺に襲い掛かる。
「遅い」
しかし、世界ランキングトップ2の剣速になれた俺にはまるで、止まっているように見えた。余裕で受け流し、バランスを崩した魔道具に軽く一撃を叩きこむ。
「マイリマシタ」
「あっけないな、やっぱりどんなに強くても、ニコライたちほどじゃない」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」
外野がすごい盛り上がった。
「えっ? 俺、またなんかしちゃった?」
お決まりのセリフを言ってみる。
「センパイすごいです、あの魔道具の最高レベルは、世界でも10人くらいしか倒せないんですよ~」
「はぁ?」
「つまり先輩は、世界トップクラスの剣士でもあるんですよ」
「うそぉ」
「信じなくても、すぐに診断結果がでますよ~だ」
「シンダンケッカデマシタ」
みんなが固唾を飲んで見守る。
<剣速:910 世界ランク8位>
「おおお~、またランク一桁だ」
<力:850 世界ランク16位>
「ちょっと弱く見えちゃうけどそれでも16位。これで魔法までめっちゃくちゃ強いなんて、なんてチートだよ」
<カウンター技術:960 世界ランク2位>
「おいおい、カウンター技術はあのニコライ超えちゃったぞ」
<剣技:900 世界ランク4位>
「これ、すごくないか?」
<総合白兵戦技能:940 世界ランク3位>
「「「うおおおおおおおお」」」」
「すげーな、やっぱりあのニコライのパーティー、白兵戦技能1~3位まで集まっていたのかよ。どおりで強いわけだ」
「それだけじゃねえぜ、攻撃魔法技術も1位・2位がいたんだ。なんで、アレクさん、クビにしちゃったんだよな。ドリームチームだったのに」
「これで証明できましたね。ニコライさんたちの目が節穴だったってことが」
ナターシャは不敵に笑った。