あの青年を轢き殺して下さい!
サクサクっと書いた小説です
深く気にせず暇つぶしにどうぞ
「あの青年を轢き殺して下さい!」
「自称」別世界の女神の口から出てはいけない言葉が聞こえた
「ん?今なんて?」
「だーから、あの青年を轢き殺して下さいな」
この女神は正気なのか……?
正直これは夢だと現実逃避している自分が八割。
死んでいるから夢も何も無いのだが……、とりあえず何故俺がこんな状況になったかサクッと説明しよう
生前はトラック運転手だった俺
別に目立つ事も無く普通に過ごしていたが
少しボーッとしていた所に突然青年が飛び出して来て、慌てて横にハンドルをきった
対向車線には誰も走ってなかったし、怪我人は出なかったのだが、まぁガードレールに突っ込んだトラックの運転手の俺だけがぽっくり逝っちゃったぜ!という事らしい
「まず、女神さん、結論から言わせて貰うけれど、俺は人殺しなんてしません!」
「どうしてです?別に貴方は霊体ですし、捕まる訳じゃないですよ?」
この人って、いや神って、本当に女神様……?邪神の類いにしか見えないんだが
「あのですね、自分が死んでまで助けた青年をわざわざ殺します?あと僕自身は霊体で捕まらなくても、誰かが冤罪で捕まっちゃったらその人の人生狂わせちゃうでしょ!」
人殺しなんて物騒な事はしたくない、何故か霊体のまま、一年間もぶらぶらしているけれど、正直早く成仏したいのだ
しかも、自分の葬式なんかを眺めてた俺は、残された人の悲しみも知っている、わざわざそんな悲しみを繰り返す必要は無い
「お願いしますよ、私の世界を救う為に魂の強い転生者が必要なんですよ」
「転生者なんて知りませんよ」
「知らないなんて、そんな薄情な!」
「人殺し要求してくる貴方の方が薄情ですよ!!」
てか、別世界を救う為に此方の世界で人殺しだなんて、こっちの神様は怒らないのだろうか
「こっちの神様には秘密だそっ!」
「さりげなく心読みましたよね」
正直物騒な事言ってた女神にネコちゃんポーズ取られてウインクされても不思議と可愛いという感情は湧いて来ない
死後だから言える事だが、俺は二次元限定のロリコンだ、ナイスボディのお姉さんは俺の守備範囲じゃない
「墓場にまで持っていく秘密が墓場にて暴露されたなっ!」
「またさりげなく心読みましたよね」
てか、この女神は密輸人みたいだな、魂の密輸人とかカッコいいけれど、俺は厨二病は完治させている、抗体もバッチリな為こんなので乗っかる程甘くない
まぁとりあえず悪い人を見つけたら
「もしもし此方の神様、この人連行しちゃって下さい」
「ちょっ……ちょっと待って!やめて!」
悪い人を見ちゃったら110番、これ良い子の常識よ
「てか、魂強いって一体何ですか?」
「結構いい所に目を付けましたね!先生花丸あげちゃいます!」
だから俺の守備範囲はお姉さんキャラじゃないんですよ……
「まぁ魂が強いって言うのは世界に与える影響が多かったり、死んでも霊体のまま残っちゃうって事なんですよ、霊体で残ってくれるので転生がやりやすかったり良い事盛り沢山なんですよ」
影響力があって……霊体のまま残る?
正直普通を極めた俺は影響力なんて皆無だが、霊体のまま残るっていうのは当てはまってる気がするな?
「それだぁぁあああ!」
うわっビックリした……心臓止まるわ
女神様嬉しそうですねってこれってもしかして
「さぁ!異世界転生のご準備を!」
「やっぱり来たよ!!」
女神様ニマニマしながら転生の準備とやらを進めている
「ちょっ……ちょっと嫌なんですけど?」
「もう準備終わらせちゃったにゃんっ!」
この世界の本当の最後が守備範囲外のネコちゃんポーズとか嫌だ、何よりそれが嫌だ!
ちょっと待てよ、なんか光のリングみたいのに吸い込まれていくんだが!?
「来世は知り合いに獣耳っロリっ娘が居ますように!!」
この世界への最後の捨て台詞だ!!
あぁ女神様、俺の声届きましたか?




