黒と緋と碧 ~緋の話~ 1話
1話
緋色
「今日は本当にいい天気だね!終わったら、みんなも呼んでピクニックでも行こっか!」
無邪気なキラが伸ばす手からは、びゅぉぉお、と鳴る強めの風。
隣のシクの頭上からは、濁った雨雲が流れる。
何を唱えるでもなく書くでもない。だから二人とも、お話しながら手を伸ばす。
「いいね~♪そろそろトトたちも外に出さないと干からびちゃうしね~」
新しい名前。この二人の仲間だろうか。
「なんでトトとウルはおてんとさまが嫌いなんだろうね?」
「あの二人は~、おてんとさまが嫌いなんじゃなくて~、お外に出るのが嫌いなのよ~」
2人の生み出す雨雲は、辺りの森まで包み込み、太陽を隠して雨を降らせる。
大粒の雨が降ってくると、2人はきゃあきゃあと声をあげながら駆けていく。
太陽が雨雲に隠れ、空が雨雲に覆われた。
その時
世界が緋色に染まった。
空も、森も、空気さえ赤く色づいてしまったかのような、深紅の世界。絨毯から色が漏れだし、世界を染めてしまったかのよう。
「キラ、みんなを呼ぼう」
「うん…嫌な予感がする…」




