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ラスボス戦3日前~side神依

徐々に文字数が増えていく……読みずらくて申し訳ありません……

 ヨーホー、淵生だ。前回は俺と神依がステータスおかしいから今後どうするかオニグスさんが頭を抱えたな。可哀想に。

 よし、豆知識か。キスタリアでのステータスは結構甘く設定されてるっぽいぜ。一般人でも極々稀にステータスどれか100を超えることはあるらしい。まあ、そんな逸般人含めても平均25ぐらいか。つまり天哉は人の8倍……凄いのかよく分からんな。鍛えりゃステータスは上がるらしいし、今後に期待って作成も言ってた。他のクラスメート達もかなり高水準かスキルが強いって感じだった。よくあるチートだよ。

 そんなとこか。じゃ、続きもよろしく!



―――――――――――――――――――――――


 テスカ王国にはいくつか図書館が存在するが、その中で最大の蔵書数を誇るのが、テスカ城の地下に広がる王立図書館だろう。作家たちによる娯楽本や魔法研究の為の資料などを、一般にも開放している。

 利用者であろう人々がそこそこ見える中、少し変わった少年がいる。本棚から本を1冊取り出し、パラパラとページをめくり、終わったら本を戻して次の本……というような作業を行っている。それもキスタリアの歴史の本を片っ端から。周りも気になってはいるらしいが、別段うるさい訳でもない、本を破るなどもしていないので、チラリと視線を送るだけである。司書も全く気にかけていない。

「……」

 やがて、その少年、神依は奇行を終え、本を戻して欠伸した。

(……この世界の事情はおおよそ把握した。後は僕らがどう行動するか、か)

 神依は図書館を後にした。


 キスタリアに呼ばれてから約10日、勇者達が訓練を始めて1週間。それぞれの武器の修練や、連携の練習、魔法の使い方、人間族にとっての脅威についての座学等々、かなりのハードスケジュールをこなしている。しかし、その中に神依と淵生の姿は殆ど見えない。オニグスに必要がないと判断されたからだ。それでいいのかと淵生はツッコんだが、

『君達に関しては考えたら負けだと勘が働きましたので』

 との事。ちなみに、オニグスは“第六感”というスキルを持っており、勘が非常に鋭いのだ。戦場でも何度か助けられたという。

 まあそんなわけで、神依は図書館等でキスタリアについての情報を集めたり、時々教師として座学を担当したり(主に本来の担当が神官の皆様なので信用出来ないからという理由で。母に言われてカルラやラシェルもいる)、薬師として町に薬を売りに行ったりしている。何故か(仲良くなった淵生とカルラの結託のせい)軍師として城の兵士たちの訓練を見たりすることもある。

 淵生は普段は町で大道芸を披露している。ついでに召喚された勇者達を宣伝している。そしてちょこちょこ帰ってきては信者達(キスタリアに来てから増えた)に対し、死んでほしくないが為に(無茶振りレベルの)特訓をさせたり、クラスメート達や兵士たちをおちょくったり、口から得体の知れない鳥を出したりして遊んでいた。ちなみに情報収集は神依より先に済ませている。

 そしてもう1人、オニグスが匙を投げた人物がいる。緋奈だ。彼女は先の2人程ではないが天職が珍しく、スキルもユニークすぎてどうしようもないのだ。問題のステータスだが、


――――――――――――――――――――――――

松風 緋奈 15歳 女

天職 踊り子・禁忌の巫女

攻勢 300  守勢 50

俊敏 100  体力 70

精神 ―――  魔力 ―――

スキル 祈り・全霊の鼓舞・全属性適性・言語理解

派生スキル 邪神の寵愛・傾国の美・アカシックレコード

称号 深淵の姫君・一途な愛・義父母公認の正妻

――――――――――――――――――――――――


 踊り子や巫女自体は珍しくない。踊り子なら普通に戦う者もいるし、テスカ王国にも軍にそんな踊り子がちらほらいる。巫女も神官達の補佐として働いているのが見られる。しかし、それはあくまでただ“巫女”であったならの話。禁忌の~とか付いている時点でイレギュラーなのだ。

 なお、スキルや称号を見た緋奈は何かを理解したらしく、一瞬で顔が赤くなったとか。後ファンクラブ(こちらもキスタリアに来てから会員が増えた)の皆さんが騒ぎ出し、とある宗教の信者達はお祭り騒ぎしだし、とあるふんわり系男子や緋奈の幼なじみ達が祝福の言葉を送ったり、とある理不尽男子に頭をめっちゃワシワシされた。

 そんな事情もあり、とりあえず踊り子としてのノウハウを3日で叩き込まれ、ダンス部所属ということもあってか難なくマスターし、後は淵生と戦い方を模索しながらイチャイチャすごしている。


 神依は訓練所にやって来た。本日は訓練も講義も無いため誰もいないだろうと思っていたが、

「Gyaaaa!!!! 」

「怯んだぞ! この隙に前衛は畳みかけろ! 後衛も魔力の限り打ちまくれ! 」

『オォォォ!!!! 』

 十何名かのグループが出処不明の怪物を狩猟(ハント)している光景が広がっていた。

(……えっ、何これ。まず誰だあれ……あっ、淵生の信者達じゃないか。それにあの怪物は淵生が口から出した鳥。あいつ後で食うとか言ってたのに)

 等と考えていると、狩りが終わったらしい。1人の少年が怪物の首を掲げ雄叫びをあげている。周りも雄叫びをあげている。非常にうるさい。

 ひとしきり叫んで満足したのか、はたまた疲れたのか。神依は声をかけられた。

「おや、神依様。如何なされました? 」

「あれ、僕にも敬語を使うのかい? 」

「もちろん! 淵生様のご友人様ですから」

「あんまり畏まらないでよ。何してたの? その鳥淵生がゲロったやつだよね」

「はい、淵生様が我々に対する試練としてこの鳥を討伐せよ、と。勿論オニグスさんにも訓練所を使う許可を頂いてます」

「なるほどね。で、肝心の淵生は? 」

「さあ? 鳥を放った後お妃様とどこかへ行ってしまわれました」

「ふーん。デートでもしてるのかな」

「城に戻られましたので、恐らく自室でイチャついていると」

「あいつの行動は予測できないからね。何にせよ、仲がよろしいことで」

「はは、我らとしては喜ばしいことです」

 そう話していると他の信者達も集まり、話題は淵生と神依の事に。

「淵生様と神依様はオニグスさんに訓練は無しでいいと言われてましたよね? 」

「ステータスを見せたら教え方が分からないと言われてね。あれでも淵生が誤魔化してくれたんだけど」

「ステータスを誤魔化した? 一体どうやって? 」

「彼の派生スキルに“情報魔法”ってあっただろう? 」

「ええ、存じております」

「あれ凄く便利なんだ。五感や五感を超えた感覚、果ては世界そのものを1つの情報と捉えて好きに弄れる、という彼が作った魔法なんだ」

「スケール大きすぎて分からないです」

「例えば、太陽をふたつに増やしたり、ステータスの表示を減らしたりね」

「なんでもありということですね。というかあれで減らしてたんですね」

「そういうこと。下手に淵生に喧嘩売ると生まれたことが無かったことになるよ」

「笑顔でサラッと恐ろしい事言わないでください……」

「まあ君達は大丈夫だよ。淵生信者達は大切だって言ってたし」

「……ちょっと待って泣けてきた」

「うわぁ、相当だね君ら。精神安定剤処方しようか? 」

 ガチ泣きする淵生信者。ドン引きする神依。やって来たカルラは状況が掴めない。

「……あー、神依。何が起こったか分からんが、父上が呼んでいるので来てくれないか? 」

「おや、王子。分かりました。玉座の間ですね? 」

「ああ。……コイツらはどうした? あと敬語やめろ」

「大切にされていることがわかって堪えきれなかったみたい」

「余計に分からん」



 玉座の間にて。玉座に座るオディアとその前に跪く神依。カルラはオディアに下がらされたため、2人だけである。

「ふむ、面を上げよ神依。楽にせい」

「はい」

 神依はうつ伏せになる。

「いや楽にしろとは言ったが寝転がるか普通? せめて座れよ」

「はい」

 オディアは常にユニークを求めている。そのため無礼を強く咎めることがないのだ。神依が座り、オディアが話し始める。

「うむ。さて……まずは我が子達に魔法の指導をしてくれている礼を言わせてくれ。おかげで子らの魔法の精度が上がった」

「彼らが真面目に取り組んでいるからですよ」

「教えが悪ければ上達するまい。ラシェルのやる気を出してくれたのも、君のおかげだ」

「お褒めいただき光栄です」

「うむ、まずはそれだ。次に……淵生についてだが」

 嬉しそうな顔から一転、言いにくそうな顔になる。

「彼が、何か? 前にも言いましたが戦争に参加しろというのは無駄かと」

「ああ、いや、そうでは無い。確かに本音ではそうして欲しいが、それは今関係ない話だ」

「といいますと? 」

「この話は君にも言えることなのだか……はっきり言おう。君達を無能と認識する者たちがいてな」

「貴族達や一部の兵士ですね? 」

「知っていたのか」

「“看破の魔眼”は心も見通せますので」

「なるほど……ん? 」

 その言葉に警戒してしまうオディア。

「あ、これは常時使うことはありませんのでご心配なく」

「……そうか。それでだな」

「主な原因は私達が訓練をしていないから。だから形だけでも訓練に参加して欲しいと」

「本当に心読んでる訳では無いのだな? 言いたいことを先に言われているのだが」

「少し考えればわかることです。他の勇者達が真面目に取り組んでいる中、僕らは訓練をサボっているようにしか見えないでしょうし」

「そう、か、そうだな……余やオニグスも言っているのだが……」

「どのように? 」

「訓練は彼らに必要無い、そんな事をせずとも十分強い、と」

「口ではなんとでも言えると思われているでしょうね」

「そうだろうなぁ……そういう訳だ、つまらんだろうが「大丈夫ですよ」うん? 」

 オディアの話を遮り、自信ありげに笑みを浮かべる神依。

「力を示せばいいでしょう。その言葉が嘘ではないと証明すればいいのです」

「……ふむ、誰かと模擬戦をすると? 気が進まんと思っていたのだが」

「僕は久しぶりに暴れたいので。きっとあいつも同じでしょう」

「そうか、ならばその方が早い。3日待ってくれ、準備をしておく」

「分かりました」

「話は終わりだ。下がってくれ」


 神依は何となく再び訓練所に向かう。

(さて、ああは言ったけど、淵生が首を縦に振るだろうか)

 淵生の許可なしに勝手に決めたことだ。淵生がどう思うかは、いくら幼なじみでも心配である。が、

(ま、何とかなるだろうね。僕とあいつは似たもの同士だし)

 そう考え、廊下を歩く。外を見ればもう夕方だ。まだ誰かいるだろうかと少し駆け足になる神依であった。

神依君は温厚に見えて結構怖いです。

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