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修学旅行の部屋決めはさっさと終わらせるが吉

 ……よう、淵生だ。前回はあんな終わり方で済まなかった。作者の展開力の無さのせいだ。本当に申し訳ない。作者は俺達がボコっておいたから懲りたはずだ。

 さて、気を取り直して前回のあらすじ、俺と王子のカルラが友達? みたいな感じになったまでだ。今回は改めて謁見、あと歓迎会だな。

 神依や俺がちょこちょこ意味深なことを言っているが、その回収はもう少し待ってくれ。

 んじゃ、今回も楽しく見ていってくれ。




 ――――――――――――――――――――――――



 天哉達は、今まさに自分達を召喚した国の王と対面している。その眼差しは酷く鋭い。自分達の内面まで見透かされているような気分になる。若い顔立ちに似合わないその風格は、こちらを物理的に圧迫していると錯覚するほどである。

 と、ここまでの様子で、天哉達はこのオディア・テスカという人物を逆らえない人だと認識した。この人は国王たる人物である、という印象を持った。その中でも世間一般における暴君のイメージが当てはまったのだ。しかし――

「よくぞ来てくれたな、勇者達よ。余はこのテスカ王国の王、名をオディア・テスカという。話はハルド殿から聞いているだろうが、我々人間族の宿敵である魔族が力を増してきたのだ。我々の手に負えなくなるやもしれぬ。勇者達よ、我々のために力になってくれ。見ず知らずの子供達に頼むというのもおかしいとは思っている。それでも、魔族が強くなり続けるのを指をくわえて見ている訳には行かん。もちろん、我々も最大限の助力をする。頼む、人間族の……希望になってくれ……」

 口を開いたオディアから出た声は優しく、言葉は自分の無力さを嘆いているようだった。

 それを聞いたならば、先程持った暴君のイメージを取り去らなければなるまい。この王は、民の事を、同胞達の事を第一に考えていると。実際、オディアの中の大切な物を順位付けするならば、1に家族、2に国民、3・4が同胞、5に自分である。人間を深く愛するその精神故に、“博愛の王”とも呼ばれるのだ。

 その慈愛に満ちた声に聞き入っている天哉の後ろにひっそりと神威が立つ。

「ほら、天哉君が返事しないと。僕達のリーダーは君なんだから。」

 その声に一瞬驚いた天哉だったが、神依の微笑みを見てすぐに決意を固めたような顔をして、

「任せてください! 俺達がこの世界を守って見せます! 」

と言い放った。それにオディアは感慨深げに頷いた。

「ありがとう。……さて、今日は夜から君達の歓迎会を開こうと思う。それまで君達に与える部屋でゆっくりするなり、この城を探検するなり、自由に過ごしてくれ。城にいる者には私達含め気軽に話しかけてくれ。時間が来たら連絡させる。では、また後で。」

 オディアは言い終えると1人のメイドを呼んだ。どうやらこの人が天哉達の部屋へ案内してくれるらしい。全員、メイドに連れられて玉座の間を退出した。



『この階のお好きな部屋をお使いください。御用がありましたら、部屋の中にあるベルを鳴らしてください。ごゆっくり』

「とは言っていたけどねぇ、あのメイドさん……」

 部屋のある階に案内された後、メイドさんは去っていった。自由に使えと言われたのだ。そうなると問題が出てくる。

「まさか部屋決めで戦争が勃発するとはなぁ……」

 そう、部屋割りである。誰が誰の隣の部屋になるか、その戦争が始まったのである。

 考えても見てほしい。召喚された少年少女の中にはブッチギリで男子人気、または女子人気が高い人達がいるのだ。天哉は言わずもがな、龍己や神依も女子人気が高いので、女子達は彼らの隣の部屋を狙って無言の圧力をかけあっている。逆に、男子人気が高いのは結夢や緋奈。彼女達の隣を巡って、男子達はジャンケンを繰り返している。だが、一番厄介なのは淵生の隣を狙う人達だ。実は彼、一部のクラスメートから教祖様の様な扱いをされているのだ。彼の妙なカリスマに当てられた者たちが、今まさに一触即発の空気を出している。

「というか、淵生の信者達が一番危ないよね。こう、火蓋を切ろうものなら血みどろの争いに発展しそうな感じ」

「いや、彼らに限ってそういうことは無いと……」

「天哉、皆を信じたい気持ちは分かるわ。でも……」

「……淵生絡みでアイツらが暴走しなかった試しがないからな、今回は無いって過信するのはダメだろ」

「……なんかごめん、ほんっとごめん。まさか話しかけただけであんななるとは思って無かった」

「……人を狂わせる才能がある……淵生凄い」

「こんなことで褒められても嬉しかねーわ。おい天哉、お前あれ何とか出来ね〜の? 」

「ごめん無理。あそこまで暴走されると声が届かないよ」

 6人が頭を捻る。このような状況は初めてではないので、かなり冷静である。

 そのうち、緋奈が何かを思いついたらしく、淵生の腕に抱きついて、普段よりも大きい声で言った。

「……淵生の隣は私。誰にも譲らない」

 その声が信者や緋奈狙いの男子生徒達に届いた。そして、

「……お妃様なら、まあ、仕方ないよな」

 信者達の中ではどうやら、緋奈は淵生の嫁ということになっているらしく、信者達はこれで納得してしまった。まあ、緋奈が淵生のことが好きだというのは自ら公言していることである。しかし、それを認めたくない人達もいるわけで、

「ふっざけんな淵生テメェ緋奈ちゃん独り占めしやがって!!」

 などと喚き散らす男子達。それに対し淵生は

「自分に都合のいいことを緋奈(たにん)に押し付けんな。俺だってこいつの隣は譲らねーからな? 」

 と、男子達を威圧する。淵生も緋奈は俺の嫁宣言しているため譲らない。そうして男子達は何も言えずに、ただ目線に殺意を乗せて引き下がった。淵生は続けて

「おめーらもグダグダ争ってっと肝心のコイツらに嫌われるぞ? それでもいいならくだらねー喧嘩続けてろ」

 と呆れ顔で言い放った。そうして騒ぎは収まり、結局、出席番号で部屋を決め、最後に淵生、緋奈の部屋となった。



「……しっかし、広いな」

 決まった部屋で龍己は呟いた。それもそのはず、国王の住まう城だけあって、一人部屋にしては非常に広いのだ。ベッドからしても、クマと揶揄される体格の龍己が5人いてもゆったりできるレベルである。当然部屋も広くなる。作り自体はとてもシンプルなのだが。

「やることねーし、天哉でも誘って城の探検にでも行くか」

 王様も自由にしてろって言ってたしと、ベッドから身を起こし、部屋を出る。部屋が広いので、当然廊下も長い。天哉の部屋に行くまでに時間がかかるのも必然である。

 歩いている途中、龍己は向こうから人が来るのを見つけた。

「……ん? おお、淵生、緋奈」

「……龍己」

「よう、さっきぶりだな」

 歩いていたのは淵生、その首にぶら下がる形で緋奈もいる。苦しくないんだろうか。

「なんだ? 夫婦揃って城の探検か? 」

「ううん、神依の部屋に行くとこ」

「探検はそのうちにな。龍己は……天哉誘って探検だな? 」

「その通りだ。部屋広いくせして何も無いしな」

「完全に寝るためだけのスペースだろうな」

 などと立ち話をしているうちに、ふと、龍己の中で疑問が浮かんだ。

「なあ淵生」

「なんだ? 」

「お前、今日はやけにテンション高い様に見えるがなんでだ? いつもなら啖呵切っても笑うことはねーのに」

 淵生が喧嘩腰で会話することは珍しくない。しかし、いつもなら相手の精神をボロボロにするまで止めないのだ。それなのに召喚されてからは割とすんなり引いている。少なくともそのような光景、龍己は見たことがなかった。それ故に疑問に思ったのである。

「あーわかる? この世界に来てもっと面白いおもちゃ見つけたからな」

「……おもちゃ? 」

「ああ。……よし、ついでに警告しとく。この世界の神は、()()()()()()()

「? そういえばお前ハルドさんに喧嘩売ってたが、一体どういう……」

「まあ、龍己。お前の好きにしろ。自分達がどうなってもいいなら信じるも良し、ってな。天哉にも言っといてくれ。んじゃな」

 淵生はそれだけ言い残し、緋奈を連れて消えていた。

「あっおい! ……言いたいことだけ言って行きやがった。なんなんだ一体?」

 しかし、妙に引っかかる奔放な友の警告が、龍己についてまわることとなった。

淵生と龍己の口調がややこしい……

チャラい? というかふんわりした物言いの方が淵生です。

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