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大切な出会いは大抵しょーもない

 やぁ読者の皆様、白護神依だ。プロローグでもこのくだりをやってた神依さんだよ。

 僕らが異世界に召喚されて、戦争に参加させられることになって、淵生がそこの神様をイキってボロクソに言ったまでが前回。

 うーん、作者に言われて前回のあらすじみたいなものを紹介しているけど、必要ない気がしてきたな。この物語の余談とか入れた方がいいだろうか? 良ければコメントをお願いするよ。

 じゃあ続きね。

 ……あ、そうだ。この物語は僕と淵生の物語というだけではない、ということを念頭に置いておいてくれ。よろしくね。




――――――――――――――――――――――――



 ここは“テスカ王国”の国王が住まう城、その玉座の間。玉座が4つ、それぞれに人影が見える。

「ハルド殿からの連絡によれば、勇者の召喚に成功し、こちらに向かうとの事。それから結構な時間が経つが、未だに来ないときた。そろそろ余も眠いのだが? 暇なのだが? 」

「ハルド殿がこちらの事情を話してくれているのでしょう。納得していただけると良いのですが」

「しっかしわざわざ異世界から、だろう? 連れてこられて一刻程度で混乱が収まるとは思えない。ハルドさんで大丈夫か? 」

「カルラ、お前勇者達の前でその態度はやめておけよ? 王子としての示しがつかん。見ろ、ラシェルはずっと大人しいぞ」

「……zzz」

「父上、あれ寝てるだけです。ここに座った時からずっと寝てます」

「えっ、じゃあ余も寝よ「なりません」えぇ……」

 グダグダ仲良く話しているこの4人(1人会話に参加していないが)、玉座に座っているという時点でお気づきかと思われるが、彼らがこのテスカ王国を統べる王族である。ずいぶんユルいが王族である。

 先程から眠たいアピールをしているのがテスカ王国の王、“オディア・テスカ”。外見20代後半といったところだが、実年齢54歳なんだとか。常に眠そうにしているために“睡魔と戦う王”という渾名があるが、この王が即位してから1年でテスカ王国は30年分の成長を果たしたといわれる。

 そんな王を寝させないようにしている女性が女王“ルルシア・テスカ”。元々王国の警備隊の一員だったのだが、その美しさがオディアの目にとまって求婚を受け続け、根負けして結婚したという。非常に規律に厳しく、また精神が強いため、王国内外で“鋼の女王”と呼ばれる。

 誰もいないとはいえ王と親しくしている少年が王子“カルラ・テスカ”。王国の跡取りとして充分な素養と強大な力を持つためか“王子の理想形”と噂され、自身もそうであると疑わない。かといって傲慢という訳でもない天哉とはまた別ベクトルの完璧超人である。

 そして眠っている少女が王女“ラシェル・テスカ”。非常にマイペースで可愛らしい少女なのだが、バーサーカー気質だったりする。かつて隣国との戦争の際、8歳にして勝手に敵陣に単身で突っ込み、敵軍の拠点を潰し回った。以来、畏敬の念を込め“苛烈の王女”と呼ばれている。

 彼らはハルドが召喚したという勇者達と会うために朝からここにいるのだが、待つ間暇なのでこうなっている。2時間は座っているのだから無理もないだろう。ちなみに今天哉達は教会から移動し始めたところである。ここに来るまでに一時間はかかるだろう。

「……ふぁ、母上、それ私の靴……むにゃむにゃ」

「どんな夢見てんだこいつは……」

「私が一体何をしたというのでしょう……カルラ、そろそろ起こしてやりなさい」

「へーい、おいラシェル起きろ。勇者達がそろそろ来るぞ」

「……ぅ~、あれ? お兄様? 先程打ち上がった筈では……」

「お前本当にどんな夢見てんだよ……もう起きとけ、そろそろだろうしな」

「……ん~、わかりましたぁ」

 目を擦り伸びをするラシェル。その仕草だけで普通の男どもがノックアウトを食らうだろう。が、兄は容赦がない。

「だから昨日さっさと寝ろっつったろーがよ。勇者達に会うのが楽しみとか言ってたが、それで寝てて見れないとかなったらダメだろうが」

「うぅ……仕方ないじゃないですか。楽しみで寝れないというのはよくあるでしょう? それぐらい期待しててもいいじゃないですか」

「2人ともうるさい、もう少しで寝れるんだよこっちは……」

 オディアが諌めようしたところで玉座を離れたルルシアの張り手。オディアの頬に赤い痕が付いた。

「……これで目は覚めましたか? 」

 絶対零度の表情を浮かべるルルシア。オディアだけでなくカルラとラシェルももげんばかりに首を振った。



 それから更に一時間程、カルラは用を足して城の廊下を歩いていると、見慣れない服を着た、自分と同じくらいの少年が歩いているのを見つけた。

(誰だあれ、あんなのいたら警備隊が動くはずだが)

「おい、そこのお前」

「……」

「キョロキョロしてんじゃねーよお前だよ。つかお前以外に誰が……うわ露骨に面倒くさそうな顔しやがったこいつ」

「……いやそりゃそうだろう。トイレ探して迷ってたら知らない奴に声かけられたんだぜ? 絶対面倒くさい」

「トイレ?そのまま真っ直ぐ行った突き当たりだ」

「いやもうそっちは済ませてんだよ。集合場所わかんねーんだよ」

「それは自分で探せ。つか誰だお前」

「逆波淵生、さっき召喚された勇者の1人だ」

「……え、お前が?勇者?どんな対応したらいいんだコレ……とりあえず自己紹介か? 」

「いや知らんけど」

「……俺はカルラ、この国の王子だ」

「ほらやっぱり面倒じゃねーか。なんでこんなタイミングで王子様とエンカウントすんのかな……なんかやだわ」

「俺もだよ。これどういう対応が正解なんだ。王子として? それとも友達っぽく? 」

「お互い後者の方がやりやすいだろ。なんかお前俺と似た性格っぽいし」

「……ならそうさせてもらおう」

 その後2人は話をしながら廊下を歩く。お互いの世界について話しているうちに意気投合した。

「へ〜、淵生の世界には魔法が無いのか。カガク? なんてのはキスタリアにないけどな」

「魔法も無いわけではないぜ? ただ少数のやつしか扱えない上に空想上の産物っていう認識だ。俺が驚きなのは人間族が皆アルパを信仰していることだ」

「人間族の国はテスカ王国だけじゃないが、人間族は一様にアルパ様を信仰している。淵生が言ってたハルドさんが最高位の神官だ」

 なんてことを話していると、淵生にとって聞き慣れた声が聞こえた。クラスメート達だ。

「あっちっぽいな。じゃあなカルラ、また後で」

 そう言って淵生は走っていく。カルラは

「わかった。また玉座の間で会おう」

 と淵生の背中を見送った。




――――――――――――――――――――――――



その後、カルラside

「ただいま戻りました」

「うむ。ずいぶん遅かったな、ルルシアがピリピリしてるぞ? 」

「迅速に戻ってくるよう言ったではないですか。どこで油を売っていたんです? 」

「勇者の1人に会いました。それで話を少々」

「お兄様勇者様に会ったんですか!?どんな方でした!?」

「自由な奴だったよ。仲良くなれた……と思う」

「お兄様ばっかりズルいです! 私も勇者様とお話したいのに! 」

「これラシェル、どうせ歓迎会を開くのだ。その時に友達になれば良いだろう」

「むー」

 そこで妙に浮かない顔をするカルラが口を開く。

「……しかし」

「……お兄様? 」

「……何だろうな、あいつ。少し話をしただけだが……人と話をしている心地がしなかった。それ以上の、何か、こう……得体の知れないものと会話している気分だったな」

「……カルラ、お前の勘は鋭い。もしかしたら我々が感知できないような何かがある者と知り合ったのかもしれん」

「……淵生がこの国に危害を及ぼす、ということですか? 」

「そうは言っとらんだろう。ただ、ハルド殿はとんでもない者を召喚したのかもしれんな」



その後、淵生side

「ただいま」

「おかえり。ずいぶんと機嫌がいいね。何か面白いものでも見つけたのかい?」

()を見つけてな。面白い王子様だった」

「……君が王族に対してする評価ではないね。しかし、そうか……()がいるっていうことはこの世界……」

「相当やばいな。あいつもそうだが、()()()も多すぎる。バランスが崩れ始めてるな」

「でもまぁまだ急ぐ程でもないかな。神が傲慢だというのは間違いないけど、仕事はしていたみたいだね」

 周りに聞こえないような声で話をする淵生と神依。淵生の隣に引っ付いている緋奈が問いかける。

「……何の話?」

「仕事の話だ。手伝ってくれるか?」

「……淵生の頼みなら」

「……ああ、俺からのお願いだ。一緒に頑張ってくれるか? 」

「もちろん」

「……僕の隣でいちゃつかないでくれない? 」



「さあ着きましたぞ。ここがこのテスカ王国の国王とその御家族がいらっしゃる部屋です。くれぐれも粗相のないように」

 そうしてハルドは玉座の間の扉を開けた。

伏線回収はさっさと済ませます。

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