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62 闘技大会-4 準決勝

闘技大会編は全6回予定。その5。

刀の人がモブを卒業しそうなんですけど。


次回投稿 2019/11/01 20時





▽▲▽ 2回戦ダイジェスト ▽▲▽




勝者 - 敗者


ロー vs イザム

クロエ vs エシリア

難波 vs カトリ丸

刀 vs 騎士長



ローさんは自身の持つ対人戦の技術と観察眼でイザムに競り勝ち、クロエは燃え盛る炎の中、迫りくる魔法をすべて避けてエシリアさんに完封勝利した。

難波さんはカトリさんから目と耳を奪って大金星を挙げ、刀の人は普通に騎士長に勝ってた。


前にランキングイベントとして開催された「魔物討伐戦」のランキング上位の人がそのまま順調に勝ち上がってきていたけれど、1位だったカトリさんがランキング圏外だった難波さんに敗れたり、これまであまり名前を聞かなかった[刀士]が準決勝まで駒を進めるなど、かなりの大番狂わせが起きているような気がする。

おかげさまでギルド主導の「優勝者予想ギャンブル」では、本命のカトリさんに掛けた結果大損した人が多く出たとかなんとか。




一次転職にたどり着き、これからどういうスキルを取って成長するのかを決めかねていた第二陣の人々をはじめ、エリアボス攻略に躓いている第一陣の人や、攻略の最前線を走っているトッププレイヤーまで、いろいろな人が観戦して影響を受けたらしい。掲示板には「ビルド相談所」や「スキル情報交換」なんていう新しいスレッドがいくつも立ち、かなり賑わっているとショーイチが楽しそうに言ってた。


他にも普段あまり戦闘にかかわらない生産職の人も思い思いに楽しんでくれているようで、「あぁいう動きをするのなら、こういう形の武器はどうだろうか」「使い道がないと思ってたレシピだけど、もしかしたら奇抜な使い方ができるかもしれない」と創作意欲を掻き立てられたプレイヤーもちらほらと見える。闘技大会、やってよかったね。





▽準決勝のトーナメント表


ロー vs クロエ

難波 vs 刀





「この組み合わせ、マリはどう見る?」


「うーん...ローさんとクロエに関してはあまり実力の差はないと思うんだけど、そうなると...勝敗を分けるのは手札の多さとかな気がする」


「観客の皆さんのアンケートでは、どちらが勝つかについては得票率は半々といったところだね。若干クロエの方が多めなんだけど、これはクロエがかなり余裕をもって戦えていたから...に起因していそうだね」


「エシリアさんとの闘いは華麗だったからね。対するローさんはイザム戦で防御に徹する場面もあったし、アンケート結果は納得だね」


「じゃあ難波さんとキルシェさんの方は?」



[刀士]キルシェさん。私はあまり知らなかったんだけど、あの風の悪魔がいたアイネール西の「初心者用ダンジョン」をメインに活動している探索者PTのリーダーだそうだ。界隈ではかなりの有名人だとか。

ここまでの戦いを見てきた感じ、刀を使った[刀士]らしい"居合"を用いたカウンターメインの戦法を得意としているようで、キルシェさんが一戦目で戦った[木魔術師]の人、二戦目の騎士長ともにとどめは居合のような抜刀からのカウンターだった。



「難波さんが使った"石枷の符"と"耳割石"はもう使えないとして、他にどれだけ隠し玉があるかによるかなぁ...彼自身のステータスは[商人]だからかなり低いし、カトリさんみたいに油断してなければキルシェさん有利だと思う」



どこか遠くの方で「ぐふっ...」と聞こえた気がした。きっとカトリさんだろう。

彼自身、負けた後「余裕綽々な顔して負けるとか、恥っず...」とか言いながら落ち込んで、エシリアが「程度が知れるわね!」って煽ってた。



「アンケートだと、難波さん30%にキルシェさん70%だね。カトリ丸さんに勝ったとはいえ、やっぱり[商人]という点が引っかかってるプレイヤーが多いのかな」


「こと戦闘においては、やっぱり非戦闘職なのは大きなハンデだよね」


「うん、個人的には[商人]の難波さんには行けるとこまで行ってほしいところだね。というわけで...続く準決勝がどういった形で終わるのか、運命の戦いはもうすぐです」

















▽▲▽ 準決勝 第1試合 ▽▲▽




「...お前、マリカードのとこの黒猫だったか?」


「にゃ? そうにゃけど?」



沸き立つ観客の見守る闘技場に、自然体で並び立つ二人の獣人プレイヤー。双方ともに既に二回ずつ戦っているのにまるで疲れを感じさせないどころか、むしろ溌溂とした空気感がうかがえる。



「そっか...」


「なんにゃ、意味深にゃね」



要領を得ない返答に、なんにゃこいつ...と訝し気な表情になるクロエ。

ローは後頭部をわしゃわしゃ掻きつつ、苦い顔をしながら答える。



「いや、大したことじゃないんだが...やっぱ自分のPTメンバーに勝ってほしいんだろうなと思ってよ、申し訳なくなっちまった」


「? なんで申し訳なくなるのにゃ?」


「そりゃ...あれだ」



進行役のお姉さんがマイクを持つ。気づいたらもう試合開始時間だったようだ。

クロエはいつもの短剣と小盾とは違い、短剣を両手に構える双短剣のスタイルで中腰になり、ローは両腕に装備した鉄のガントレットをガンガンと打ち鳴らし、獰猛な雰囲気を放つ。



「...手加減できねぇからなぁ」


「準決勝第1試合、[拳士]ロー vs [軽業師]クロエ...試合開始ーっ!」


「<(ソードスタ)――にゃにゃ!?」



戦闘開始直後、定石通りなら構系のスキルを使うところで速攻を仕掛けるロー。顎を正確に狙った素早い右ストレートに、クロエはすんでのところで避けて距離を取る。追撃しようにも、クロエの速さには追いつけないと断念。



「...ちっ、避けやがったか」


「<構剣(ソードスタンス)>、いきなりご挨拶なやつにゃね! <速昇(スピードアップ)>!」


「...<構拳(ファイトスタンス)>」



いつものように<構剣(ソードスタンス)>と<速昇(スピードアップ)>を使い、闘技場を素早く動き始めたクロエ。彼女の得意するスピードによる攪乱だ。

対するローは闘技場の真ん中に立ち、クロエの動きを軽く目で追いながら拳を握り出方をうかがう。



「<走剣(ラニングソード)>!」


「そっちか...! <交拳(クロスカウンター)>!」



背中側から聞こえた掛け声とともに恐ろしいスピードですれ違いざまの一閃を狙って飛び込んできたクロエに、最小限の動きで避けてカウンターの拳を振りぬくロー。しかし、拳の先にはすでに黒猫はいなくなっていた。

クロエの後ろで音もなく靡く、尾を引くような黒いマフラーにすらローの拳は届かない。



「ちっ...さすがに早ぇな...」


「<投撃(シュートスロウ)>、<隠剣(ハイドソード)>にゃ!」



またも死角を突いたクロエの攻撃に、ローは何かに納得したような顔をしながら対処する。

身体を半回転させながら投擲された投げナイフを難なく掴み、<隠剣(ハイドソード)>を少しかがんでやり過ごすと、回転の反動を利用しながら掴んでいた投げナイフを遠ざかっていくクロエに勢いよく投げ返す。



「にゃ...ッ!」



投げ返されたナイフをすんでのところで避けると、さらに加速して再度ローの隙を狙う。

そんなクロエを目で追いかけつつも、ローは試合開始時より比較的楽に構える。


隙だらけに見え始めたローの構えに、クロエは素早く回り込み、短剣を握りしめる。



「なんとなく、分かってきたな...」



不意に体を傾けると、そこをクロエの黒鉄の短剣が通り抜けていく。まるで未来予知のような動きで躱すローに、なんとか攻撃を当てようと猛攻を仕掛けるクロエ。戦いはまだ始まったばかりだ。

















ローさんの速さじゃクロエには追い付けないから、自然とこういう戦いになるだろうと試合前から予想していた。けれど、まさか飛んできた投げナイフをそのまま掴んで投げ返すとはね。掴み損ねたのか、ローさんHPちょっと減ってたけど。

おかげでクロエは警戒したのか、投げナイフを投げなくなった。


でもやっぱり...



「ここまで残っているプレイヤーは既に2回も戦ってるわけだし、個人の癖もなんとなく見えてきてるね。ローさんにはもうクロエの「相手が目で捕らえられない速さで攪乱して死角を狙う」っていう戦略がバレちゃってるみたいだし」


「うーん...ローさんのアレ、狙いやすい死角を敢えて作って、そこにクロエの攻撃を誘ってるっぽいね。あとは攻撃の来るタイミングだけ分かれば、視界の外からの攻撃でも避けれるって事なんだろうけど...」


「スキル発動時の声、息遣い、足音...クロエの攻撃タイミングのヒントは思ってたよりも身近にあるし、ローさんの未来予知めいた躱し方も理論上は理解できる...かな?

出来るかどうかは置いといての話だけど」


「俺に足りなかった対人での駆け引きってやつだな...」



実況解説席にゲストとして来てくれたイザムは、ローさんに負けた試合の反省点である「対人ならではの駆け引き」を目の前で繰り広げられている試合から少しでも目で見て盗もうと、少し前のめりになって真剣に観戦している。



「それでもクロエは何とか食らいついてるね...決め手に欠けててかなり厳しそうではあるけど」


「あいつ、確か<火魔術>覚えてたよな? なら<添火(アドファイア)>で一発のダメージ上げたりできると思うんだが...なんで使わねぇんだ?」


「魔法系スキルで高威力を出しづらい獣人でも、相手が魔法に弱い獣人であれば十分なダメージが見込める。消費MPの低い<添火(アドファイア)>はかなり有効だね」


「だよな?」


「けど、そもそも攻撃が当たらなければ意味がないし、獣人で武術職っていう最大MPの低さから、そんな無駄遣いできないって考えたんじゃないかな?

他に考えられるとしたら...遠距離魔法が後に必要になると踏んでいるのか、何か強力な魔法スキルを隠し持ってるか...もしくは」


「もしくは?」


「確実に攻撃を当てられるチャンスを待っているのか...ってところかな?」


「なるほどなぁ...やっぱり如何に相手に有効打を当てるのかが重要なポイントになってきそうだな」



"どうやって相手に有効打を与えるか"は確かに重要だけど...それって今回に限らず対人戦ならいつでも重要なポイントな気がするなぁ...

対人戦どころか、対魔物戦でも重要かも。



「それも重要なことではあるけど、今回の戦いに限って言うなら...試合前に私が言ってた"どれだけ切り札を残せているのか"が肝になると思う。

お互いに手の内をある程度知っている状態だし、如何に強力なスキルでも、それがどんなものなのか分かっていたら対策できるし」


「例えるなら...一撃必殺で敵を倒せるブレスを吐くドラゴンがいたとしても、それが「ブレス」だと分かっていれば、息を大きく吸う動作にさえ気を付けていれば危険性は大きく下がるよね。

そんなドラゴンがいきなり目から即死するビームを出したりしたら、多くの人は意表を突かれて即死すると思う。こんな感じで、事前に知っているか否かではかなり違うんだよ」


「なるほどなぁ...だから"どれだけ切り札を残せているのか"っていう話になるのか...」

















「なんにゃ!なんで当たらないのにゃ!?」



ローの背中側から逆手に持った短剣で斬りかかるも、その短剣は無情にも空を切る。ローはクロエが攻撃するタイミングで毎回一歩分身体をずらし、カウンターの拳撃を放ってくる。追撃しようにもリスクが高いから離脱せざるを得なくなり、また振出しに戻ってしまう。


こっちの動きに目がついてきてないはずなのに、絶対にこっちの動きが見えない位置から近づいているのに。外から見れば分かりやすい状況でも、必死に戦っているクロエにはそれが分からない。



「<流拳(フローフィスト)>」


「!! にゃ...ッ!」



ぐるぐると解決策を考えながら短剣を振ると、甘くはいった短剣をすんなり躱したローからのカウンターの一撃がばっちりと決まった。

腹部にめり込むように振りぬかれた右のナックルによって吹き飛ばされ、土煙を上げながら地面をゴロゴロところがる。かなりしっかりダメージが入り、一発で3割削れたようだ。


闘技大会中、ここまでノーダメージだったクロエのHPが初めて大きく削られた。



「分からないんだったら教えてやる。狙いがバレてんだよ、お前...」


「にゃ...?」


「"死角に回り込んで、スピードを生かした一撃を入れる"...確かに戦法としちゃまぁまぁだが、単調なのはいただけないな」



クロエを殴った右のガントレットの調子を確認するようにガチャガチャと手をグーパーしながら軽く話すローに、クロエは立ち上がり体勢を整えながら黙って聞く。



「準決勝だし、そろそろ俺も楽しみたいんだが? せめて一発くらい入れてほしいもんだぜ...」


「...言ってられるのも今の内にゃっ!」


「へぇ...? やってみろよ」


「やってやるにゃ! <添火(アドファイア)>、<精霊気>!」



放たれたローの煽り文句に、闘志の炎を燃やしたクロエは切り札を使う決意をしたらしい。

<精霊気>による淡い緑に柔らかく光る風の力を身に纏い、<添火(アドファイア)>によって火を纏った短剣を両手に携えて加速する。そしてもう一つ。



「絶対ぎゃふんと言わせてやるにゃ...<獣化(ビーストライズ)>!!」


「そうこなくっちゃな...! <耐怨(インデュアグラッジ)>」

















試合は進み、ついにクロエが切り札といえる<獣化(ビーストライズ)>を使い始めた。


見解通り、炎を纏った剣をもって縦横無尽に素早く動き、積極的に攻撃にかかるクロエ。

闘技場の中心で待ち構えつつ、二回戦でも使っていた<耐怨(インデュアグラッジ)>や攻撃を受け流しながらカウンタ―する<流拳(フローフィスト)>などを使いながら、近づいてきたクロエに逆襲を仕掛けようと機を伺うローさん。



「あー、ローさんの悪いとこ出てきたね」



ショーイチ曰く、ローさんは強者との闘いを求めるバトルジャンキー。別のPvP系のゲームではかなり名の知れたプレイヤーだったとかなんとか...

普段からやる気ない低血圧な彼にも、熱くなれる趣味があったってことだね。



「クロエを煽って本気を引き出したけど、それでも勝算があるのかな...ローさんの事だし、案外何も考えずにただ戦いたくなっただけなのかもしれないけどね...」


「ところで、あの<獣化(ビーストライズ)>ってどういうスキルなんだ?」


「<獣化(ビーストライズ)>は【変化】と獣人限定スキルの組み合わせで作られた武術系Exスキルだよ。効果は使用者のモチーフになった動物...犬獣人とか猫獣人とかによって変わるらしいんだけど、クロエの場合は「物攻、敏捷がかなり上がる代わりに、しばらく魔法使用不可、魔防かなり低下。獣化中は「にゃー」しか言えない」って感じだったと思う」


「デメリットかなりエグいな...と思ったが、そもそも獣人なら魔法使わねーか。自己バフ系の<添火(アドファイア)>とか<精霊気>もあらかじめ使ってりゃ問題ねーし」



ちなみに効果時間は大体30秒ほど。北のエリアボス戦で初めて使ったときは15秒くらいしか効果がなかったはずだけど、スキルレベルの上昇によって効果時間が伸びたらしい。

最近はあまり一緒にレベル上げに行けてないけど、彼女は彼女でしっかり成長していた。



「つーか、最後の「にゃーしか喋れない」ってのは必要あったか...? いや待て、スキル名を発音できないからスキル使えないって事か? もしそうならかなりのデメリットになっちまうが」


「いや、問題なく使えたはずだけど」


「じゃあ尚更意味わかんねぇわ...なんてスキル作ってんだ運営...」



それは私もそう思う。

















「に"ゃああ!!」


「なっ...!」



戦闘開始からしばらく経ち、余裕をもって避けつつカウンターに徹していたローの脇腹にクロエの一撃が突き刺さる。読んでいた攻撃タイミングを外され、死角からの攻撃に見せかけたクロエのブラフに対してローはカウンター。振り向きに合わせるように、裏を読んだクロエが上手く斬撃を差し込んだ。



「<耐怨(インデュアグラッジ)>、くっ...余計なアドバイスしちまったか...?」



指摘された「死角狙い」が徐々に変わり、クロエは戦いの中でブラフやフェイントといった対人の妙を急速に学び始めたらしい。余裕を持っていたローもちょっと後悔しつつ、<耐怨(インデュアグラッジ)>で猛攻を耐えながらも「やっと面白くなってきた」と言わんばかりに口角がにやりと上がる。


先ほどまではなんとか目で追えていたクロエの動きも、<獣化(ビーストライズ)>中は何が何だかわからない。なんども防御を突破され、ローのHPはどんどん減っていく。まさかこんな隠し玉を持っていたなんて考えていなかった。


切り札を使うなら今しかない。



「<流腕(フローアームズ)>!」


「ッ...にゃっ!?」



流れる水が両腕のガントレットを覆い、迫りくるクロエの短剣を滑らせるように受け流す。【水】と<拳術>を複合させた<水拳術>のLv1、<流腕(フローアームズ)>。


しかし、クロエの猛攻は止まらない。<獣化(ビーストライズ)>による高い敏捷と攻撃力を前面に押し出した両手の短剣の無数の斬撃に、両腕に水を纏ったローはなんとか凌ぐ。



「くっ...<交拳(クロスカウンター)>ッ!」


「っ...にゃっ!」



真正面からのHPの削りあいに、お互いのHPは目に見えて減っていく。だが、先に尽きるのはどう考えてもローの方だ。


あと一発でもまともに食らったら死ぬ。ついにそんなデッドゾーンまで削られてしまったとき、クロエが動いた。



「ッ! マズ...っ」


「にゃあああ!!」



短剣を強く握りしめたのが目に入り、とどめを刺しに来ると踏んで全力で防御に徹したのが裏目に出た。両腕をクロスするように構えた瞬間、クロエは急激に方向転換。一瞬にしてローの背中に回り込むと、がら空きの背中に短剣を突き立てようと踏み込んでくる。


慌てて振り向こうにも、間に合いそうもない。



「に"ゃああ!! あちしの勝ッ...にゃ!?」



勝利に手が届きそうなその瞬間、<獣化(ビーストライズ)>の効果が切れて大幅に減速。踏み込みが足りず、躓くような体勢になってしまった結果...最後の最後に短剣は届かない。

そんなクロエの目の前に、拳を構えたローの姿。



「<水掌(ウォーターフィスト)>ッ!!」



無防備になってしまったクロエに、右腕に水を纏って殴りつける<水掌(ウォーターフィスト)>が致命的な一撃として突き刺さった。

















試合終了後



「いやー、まさか獣人プレイヤーのローが魔法武術系のスキルを使うとはなぁ...コピスクがマリのとこで売られ始めた頃はみんなこぞって使ってたが、最近じゃ「やっぱり獣人じゃ威力が劣る」ってんであんま使われてないんだよな」


「最前線の検証だと、<水剣術>とか<光弓術>みたいな魔法武術系スキルは「物理5割、魔法5割でステータス参照して倍率決定してる」っていうのが定説だったはず。つまり、物理特化や魔法特化の人がそれぞれ使う武術系、魔法系スキルには威力で劣る...っていう感じだったと思うんだけど...」


「ねぇ、それならさっきの<水掌>の威力ってちょっと高すぎなかった?」


「うん、それは僕も思った。再検証が必要かもしれないね...」



恐らく物理特化のローさんは獣人という種族も相まって魔法系ステータスは著しく低いはずだ。

そんなローさんが<水拳術>を使った場合、「物理5割、魔法5割でステータス参照して倍率決定してる」というのが本当なら、単純に高い物理ステータスが半分だけ参照されたことになる。いくらクロエが魔法に弱い獣人だからと言って、あれだけダメージが出るのは...ん、もしかして違うかも。



「...そういえば、レベルアップ時のステータスの上昇って、その時の職業に依存してるんだっけ?」


「うん。魔法系職業なら魔法系ステータスが大きく上がるし、武術系なら物理...あー、なるほど」


「おい、何納得してんだ? よく分かってないんだが」


「ローさんの<水掌>のダメージが大きかった理由、もしかして[拳士]のレベルアップボーナスは魔攻も上げるのかも...ってことだよね、マリ?」


「仮に[拳士]の上位職に魔法拳士みたいな[モンク]とかがあるなら、下位職の[拳士]でもほんの少し恩恵があってもおかしくはない...と思った。

他にもいろいろ考えられるけど...例えばローさんが途中で魔法系の職業に変えてレベルを上げていたとか、そもそも倍率計算が違うとか、<水掌>のみ物理ステータスだけで倍率計算するとか」


「うーん、正解が分からないっていうのがすごくもどかしいけど...今回はそういうものって割り切った方がよさそうだね...」


「...お前らいつもこんな小難しい話してんのか...?」















◇◆◇ 新登場スキル ◇◆◇



▼武術系Exスキル

 ▽水拳術

  Lv1 <水掌(ウォーターフィスト)> 水属性の拳撃

  Lv10 <流腕(フローアームズ)> 腕に纏った水の力で、敵の攻撃を滑らせるように受け流す

  Lv20 ??

  Lv30 ??











例のごとく難波さんと刀の人、キルシェさんの試合はカット。刀の人の設定がまだ全然固まってないんです...

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