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30 魔述













「<魔述>? 初めて聞くスキルだね」


「うん。試してみたいんだけど...」


「うーん...」



晩御飯とお風呂を済ませて再ログイン。フリマで自分の服の手直しをしていると、すぐに3人もやってきた。

挨拶もそこそこに、今日の本題に入る...と、その前に、先ほど手に入れたスキルのお試しをしてみたいと提案してみた。ただ...



「...マリは本当にいいのにゃ? 作り出すだけでSP消費あるなんて、気軽に「やってみ!」なんて言いづらいにゃ...」


「とりあえず一回は試してみたいところではあるね」


「どんなものか知る必要は確かにあるか...」


「つっても、そのスクロールを使う側もSP結構消費するんだろ? うーん...」



そう、この<魔述>、コピースクロールを作る時に私自身のSPを消費するのだ。


<魔述>

 自身の持つ魔法系スキルの属性をスクロールに劣化コピーし、「コピースクロール」を生み出す。


私が作り出せるコピースクロールは以下の通り。


<鏡魔術> →【鏡】

<水魔術> →【水】

<精霊術> →【精霊】


この3つだった。<光魔道>が選択肢にないのは、まだ1次スキルに至ってないからかな?

そしてこれらでコピースクロールを作るとなると、消費SPは3必要だった。

驚くことに、そのスクロールを使うとなると消費SPは...



「だが、20はツラすぎるな...」


「【水】とか【火】ならもったいないけど、固有系の【鏡】ならお得かな...?」


「にゃ...」



消費SP20。魔女スキルを2つ有効化できるというかなり大きな消費量だ。しかも使った結果何が起こるのか分からない。



「...そのコピースクロールとやら、使うってんなら試してみたいんだが。SPならまだあるしな」


「グレン、いいのかい?」


「【鏡】だろ? 大盾ならおかしなことにはならんだろ」


「確かに、あちしの短剣とかショーイチの弓に比べたら、大盾の方が相性良さそうにゃね...」


「考えても分からねーならやってみる他ねぇしな! マリもSP消費はいいのか?」


「どの道、一回はやってみるつもりだったから問題ないよ」


「じゃ、いっちょ頼むわ!」



グレンが人柱に名乗りを上げてくれた。おかしなことにはならないと思うけど...

買っておいた紙を一枚机に置き、私は<魔述>を発動する。<鏡魔術>の属性【鏡】を選択。


『<魔述>により【鏡】が選択されました。SPを3消費します。』


紙が淡く光り、私の目の前に現れた小さな鏡が取り込まれる。光が収まると、そこには「【鏡】のコピースクロール」。スキルスクロールと同じように、よく分からない文字が長々と書いてある一枚の紙だ。



「...出来たよ。はいこれ」


「おう、んじゃ早速...」



グレンはコピースクロールを受け取ると、その文字をなぞる。






※※※






マリからもらった「【鏡】のコピースクロール」を使用すると、何かを確認するかのように大量のログが流れた。それも一瞬で終わり、次に表示されたのはスキルの選択画面。



「固有属性【鏡】」と複合する技能を選択してください。(あと1つ)

▽斧術

 Lv5 <斧撃(アックスバスター)> 斧の高威力攻撃

▽大盾術 

 Lv5 <盾圧(シールドチャージ)> 大盾を使った打撃攻撃

 Lv10 <弐壁(セカンドウォール)> 大盾による防御範囲を拡張するシールドを左右に2枚展開する

 Lv15 <護鬨(プロテクトクライ)> 集敵効果と強い防御効果で、敵から味方を守る



「お?」


「ど、どうにゃ?」


「【鏡】を追加する技能を選択するみてぇだ。俺の場合は<斧術>か<大盾術>の2択だ」


「<盾術>とか<剣術>、それに<土魔道>がないにゃね」


「選択できるスキルは1次スキル以降ってことかな」


「スタンス系の技能も選択できそうにねぇな」


「スタンス系の無い私には関係のない話だね...」



マリが少し落ち込んじまったが、ほっときゃ治るだろう。にしても、三人で並んでスタンス系使った時、後ろで羨ましそうにしていたのは見間違いじゃなかったか...いい加減武術系スキル取ればいいのによ。


ともあれ、俺は表示されている4種類の技能から一つ選ばなきゃならない。マリの【鏡】は近くで見てきたからよく分かっているつもりだが、アレは間違いなく防御系に偏ったスキルだ。実際、鏡の破片を飛ばす魔法くらいしかまともな攻撃手段がないし、火力も低い。マリはどうにか他の技能と合わせてやりくりしているが、<鏡魔術>単体じゃちとツラくなってきてるっぽいしな...

つっても、死にづらい回復役ってだけでめちゃくちゃ助かってはいるんだが。


話が逸れたが、そんな【鏡】を複合させるなら間違いなく防御系技能がベストだろう。選択肢にある防御系の技能と言えば<弐壁(セカンドウォール)>、<護鬨(プロテクトクライ)>のどちらかだが...



「折角の【鏡】だし、ここは<弐壁(セカンドウォール)>の方がいいかもな」



魔法のように鏡の盾を出現させる...ちょっとやってみたかったんだよなぁ。

<弐壁(セカンドウォール)>のシールドを発生させる効果なら、きっとそんな感じになってくれるはず...


『大盾術<弐壁(セカンドウォール)>が選択されました。複合を開始します。』


『複合により、Ex.鏡/大盾 <弐鏡(デミリフレクト・ツー)>を獲得しました』






※※※







「へぇ、こりゃいいな」



グレンが覚えた技能 <弐鏡(デミリフレクト・ツー)> を使用すると、構えた大盾の周りに小盾くらいの大きさの鏡の盾が2枚出現した。

2枚の鏡の盾は、大盾の周辺ならある程度自由に動かせるようで、あちこちを行ったり来たりしている。



「これなら、俺ら獣人が苦手な魔法相手にも戦えそうだぜ」


「なるほどね、属性と技能を組み合わせた技を一つ覚えるのか...SP消費に目を瞑れば、結構いいスキルなのかな?」


「そのSP消費が目を瞑れないくらいデカい消費なんにゃけどね」


「まぁ、俺としちゃ<鏡盾術>みたいなスキルを得られると踏んでたんだがなぁ...そこまで甘くはなかったか」


「技能ひとつ、消費SP20...マリの消費も合わせるとSP23の消費か...でも固有スキルを手に入れられる方法があるのなら...そういえば商人...ねぇマリ」


「ん?」


「そのコピースクロール。売る気はない?」










スキルと技能

スキルはそのカテゴリを指し、技能はそのカテゴリの中で得られた物を指す。

例:スキル...<大盾術>、<鏡魔術>などなど

  技能...<護壁>、<反射>、<万華鏡>とか


※これまでのお話ではスキル、技能がごっちゃになっていますが、直すのもしんどいのでこの話以降これで統一します。

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