10 レベル上げ前半と仲間の転職
「うっし!レベル15達成!」
「にゃ!? あちしより早いとは...まさかコソ練してたにゃ!?」
「すまんな」
「あはは、ゆーて僕らももう少しだし、今日中に上げちゃおうよ。
グレンはそれまで転職お預けね」
「ま、仕方ねーわな」
「マリは今どれくらいにゃ?」
「あとちょっとで12」
「おっけーにゃ!この調子にゃら明日にはいけそうにゃね」
2月22日、キャンペーン初日。そろそろログアウトかな?といったところ。
「見習いを卒業しよう」キャンペーンが始まってからずっとレベル上げをしていた結果、皆そこそこレベルが上がったようだ。聞くところによると、既に見習いを卒業した人がちらほらいるらしい。
ここ二日間、特に印象に残るようなイベントはなかった。強いて言えば、三人の装備が一新されたことくらいのものだ。
そんな三人も今では、
「おらァ!<土球>ッ!」
「<追風>、<速射>」
「<火球>にゃ!」
武器を壊して学んだのか、岩トカゲ相手には魔法で立ち回るようになった。
クロエは火、グレンは土、そしてショーイチは風の魔道をメインに使っているようだ。私の使う水魔道で4属性奇麗に分かれた。
しかし、クロエとグレンは獣人の種族特性から、魔法を上手く使えないようだ。
具体的には魔法の威力と命中率がまぁまぁ低く、MPの総量が低いのか消費が大きいのか、使える回数も少ない。さらにはスキルレベルの上がり方も遅いような気がするらしい。
それでも武器が壊れるよりはまだマシということで、二人は命中率の低さをカバーするために近距離から叩きつけるように魔法を使っている。
ショーイチもそんな二人に合わせて風魔道を使っていたが、風魔道がLv5になった時に覚えた魔法<追風>の使い勝手が弓と相性ばっちりだったため、今では<追風>と弓術で戦っている。
ちなみに<追風>は
▽風魔術 Lv5
<追風>
自身に追い風を吹かせる。少しだけ素早く動けるようになり、飛び道具の飛距離や速度が上昇する。
という感じだ。
「にゃー! やっと15にゃ!」
「僕も上がったよ」
「よっしゃ!とりあえず俺らは目標達成だな! マリはどうだ?」
「さっき12まで上がったよ。私の転職は明日かな」
「とりあえずあちしは早く転職したいにゃ! 今日はこれで切り上げて、ギルド行くにゃ!」
「これで見習い卒業かぁ...ここまでがチュートリアルってことかな?」
「そういう事だろうな。ともあれ、とりあえず街に戻ろうぜ」
急ぎ足で街に戻る。心なしか、三人とも歩く足が弾んでいるようだ。
何事もなくギルドに着いた。転職用の受付には列が出来ている。列と言っても数人だけど。
この調子なら数分と経たずに3人とも帰ってくるかな...
特に用事もない私はギルドの外でぷらぷらしつつ、自分のステータスを見ながら待つ。
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<マリカード> ヒューマン ♀ Lv12
職業:鏡魔術師 SP:20
▼装備
<R> 薄手の黒ローブ
<R> 見習い魔女の帽子
<R> フリル付き白ワンピース
<R> 薄手の黒ケープ
<HN>オーバーニーソックス
<-->古い心の首飾り
▽有効スキル
▽魔法系スキル
水魔道 Lv13 鏡魔術 Lv14
▽生産系スキル
服飾 Lv7 解体 Lv7 錬成 Lv5
▽便利系スキル
目利き Lv13 地図 Lv9 夜目 Lv3 察知 Lv2
▽パッシブスキル
魔攻微上昇 Lv10 魔防微上昇 Lv10 物防微上昇 Lv10 器用微上昇 Lv9 敏捷微上昇 Lv9
物攻微上昇 Lv5
▽称号
【合鏡の邂逅】
【Fランク冒険者】
【悠久の魔女の弟子】
【魔女見習い】
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パッシブスキルで唯一有効化していなかった<物攻微上昇>も、レベル上げ前に取っておいた。おかげで既にLv5まで上がって、SPの元が取れた。素手で殴らないから必要ないと思ってたけど、さっさと取っておくべきでした...
その時は他に<夜目>、<察知>を取っておいた。やはり<夜目>は辺りが暗くなってきてからじゃないとスキルレベルも上がらないようだ。
<察知>も意識的に敵を見つける必要がありそうだ。大体クロエやショーイチが見つけてくれるので、のほほんとしていた私の<察知>はあまり育たなかった。
ミラと会った時についでに解放された<精霊術>は今回はお預けした。まだミラ以外の精霊と会ったことないし、現状<鏡魔術>と<水魔道>で困ってないし。
ついでにいうと、SP残量が20程しかない。初期スキルの上位スキルを開放するのにSPがそれぞれ3必要になるらしいので、転職間近の今使うのは得策じゃない気がする。
「おう!待たせたな!!」
「見習い卒業してきたよ」
「マリ!あちしのステータス見るにゃ!」
「うん、見せて」
「にゃ、今送るにゃ」
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<クロエ> ハーフビースト(猫) ♀ Lv15
職業:戦士
▼装備
<HN>青銅の短剣
<HN>青銅のバックラー
<HN>犬猪の革鎧
<R> 柔らかな鎧下
<R> サイドポーチ付きリジッドデニム
<HN>犬猪の革のブーツ
▽有効スキル
▽武術系スキル
<剣術> <盾術> 短剣術 Lv1 小盾術 Lv1
▽魔法系スキル
火魔道 Lv4
▽生産系スキル
採取 Lv3 解体 Lv7
▽便利系スキル
夜目 Lv7 威嚇 Lv9 察知 Lv12 獣の勘 Lv6
▽パッシブスキル
<物攻微上昇> 敏捷微上昇 Lv13 物防微上昇 Lv10 魔防微上昇 Lv6 物攻上昇 Lv1
▽称号
【Dランク冒険者】
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「ついに初期スキルの上位1次スキルがでたにゃ! 転職したら出るみたいにゃね」
「なんか色々変わったね」
「前に見せたのって、確かグレンとショーイチと合流する前だったかにゃ?
あちしも成長してるって事にゃね! むふふ」
クロエのステータスから、いくつか分かることがあった。
まず、LvMaxになったスキルは、ステータス画面で「<>」で括られる。いつでもスキルとして使えるが、もしそのスキルの上位スキルを持っていれば手動で非表示に出来るようだ。見づらくなった時の対策だろう。
<獣の勘>は恐らく獣人限定のスキルだろう。彼女曰く「なんとなく敵の攻撃がわかるにゃ」ということだ。
ちなみに「柔らかな鎧下」と「サイドポーチ付きリジッドデニム」は私が作った服だ。まさかデニム生地が手に入るとは思ってなかったけど、普段からデニムばっか履いている現実のクロエにぴったりだろうと真っ先に作った。
「短剣術にしたんだね」
「にゃ!やっぱ獣人にゃし、素早さを生かした立ち回りがあちしにはばっちし合ってるにゃ。
他に LvMaxになった<剣術>から派生したっぽいのが<長剣術>、<短剣術>、他に<斧術>なんてのもあったにゃよ」
「おい、ネタバレしてんじゃねーよ!」
「にゃ? まさかグレン、<斧術>とったにゃね?」
「いや、まだ剣術が育ち切ってなくてなぁ。まだ解放されてないんだわ」
「グレンがとるなら間違いなく斧術だろうね。じゃ、次は僕のを見てよ」
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<ショーイチ> エルフ ♂ Lv15
職業:長弓師
▼装備
<HN>青銅の弓
<HN>青銅の短剣
<HN>角ウサギの皮の矢筒
<R> フード付き緑のポンチョ
<HN>白い長袖シャツ
<R> 暗い緑のサルエル
<N> 犬猪の革靴
▽有効スキル
▽武術系スキル
<弓術> 剣術 Lv3 長弓術 Lv1
▽魔法系スキル
風魔道 Lv10 木魔道(種) Lv3
▽生産系スキル
採取 Lv4 解体 Lv5 細工 Lv2
▽便利系スキル
風読み Lv13 夜目 Lv6 察知 Lv4
▽パッシブスキル
<器用微上昇> 敏捷微上昇 Lv12 魔攻微上昇 Lv12 物攻微上昇 Lv8 物防微上昇 Lv6
魔防微上昇 Lv6 器用上昇 Lv1
▽称号
【Dランク冒険者】
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「色々取ってたから、残りのSPが5しかないよ。マリは計画的に使うといいよ」
「俺なんて残り3だぞ」
「1次スキルに結構使うことになるね。結構貯めてたはずなんだけどなぁ」
ショーイチは昔から鎧をあまり着たがらない。なので、彼はほぼ私の作った服を着ている。
「エルフ感ある服が良いなぁ。なんかこう「森の隠者」って感じのやつ」というふわっとした希望から、それっぽいポンチョとそれっぽいズボンをはかせた。長袖シャツはフリマ販売用の中の一着だ。
適当に渡したら、全体的にダボっとした感じになった。本人が気に入っているようなので良しとした。
「思っていた以上に風魔道と弓の相性がいいね。射撃能力と魔法に補正がかかるエルフっていうのも、それに拍車をかけてるっていうか」
「全部かみ合ってる感じね」
「それだよそれ。多分、運営の考える代表的なエルフ像が僕みたいなビルドなんだろうね」
「なんで剣術持ってるにゃ?」
「あぁ、近づかれたときに弓だけだとしんどいと思ってね。実は前からナイフだけは装備してたんだ。
どうせ使うんだしスキルも開放しておいたんだけど、思いのほか使う機会が少なくてね」
「ま、俺たち前衛がそう簡単に獲物を取り逃がしたりはしないからな! さぁ!俺の番だぜ!」
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<グレンデル> ハーフビースト(熊) ♂ Lv15
職業:大盾師
▼装備
<N> 青銅の斧
<HN>堅木の大盾
<HN>岩トカゲの革鎧(上)
<HN>岩トカゲの革鎧(下)
<R> 柔らかな鎧下
<N> 岩トカゲの革靴
▽有効スキル
▽武術系スキル
<盾術> 剣術 Lv11 大盾術 Lv1
▽魔法系スキル
土魔道 Lv4
▽生産系スキル
採取 Lv7 木工 Lv6 伐採 Lv4
▽便利系スキル
夜目 Lv6 察知 Lv2 獣の勘 Lv6
▽パッシブスキル
<物防微上昇> 魔防微上昇 Lv14 物攻微上昇 Lv13 器用微上昇 Lv6 敏捷微上昇 Lv6
物防上昇 Lv1
▽称号
【Dランク冒険者】
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「どうだよ!これで念願の[大盾師]だぜ!いやー大盾作った甲斐があったぜ」
「僕も新しい長弓買いに行かないとなぁ。この弓買ったばっかなんだけど...仕方ないね」
「ショーイチは計算高いくせに、しょーもないとこでいつも抜けてるにゃ。あちしですら転職見越して短剣作ってもらったニャ」
<盾術>の上位として<大盾術>を有効化したようだ。クロエは<小盾術>を取っていたので、<盾術>にもいくつかの派生があるようだ。
<大盾術>、<物防上昇>もそうだし、土属性も守りのイメージが強い。きっと彼はこの調子で守りの道を突き進むのだろう。
「まーた堅くなっちまったぜ!こりゃボス戦も楽勝じゃねーか?」
「ふふ、調子に乗ってボコられるのを何回見たっけね?」
「にゃ!とりあえず新しいスキルのレベル上げにゃ!」
「と行きたいところだが、そろそろ寝る時間だ。また明日やろうや。まだキャンペーン中だしな」
「むぅ...そうにゃね、また明日にするにゃ」
「じゃ、また明日ね!おやすみー」
そう言うとみんなログアウトしていった。私もログアウトして風呂入って寝ます。