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賞味期限と天使

デモちゃんはプラダのコーヒー色のミニスカートをはいていました


そして辛子からし色のブレザーを着て葵のお店に向いました


薄い茶色のロングブーツでした


姉の貴美ちゃんから分捕ぶんどったボンボンキャップは茶色と緑色の二色でした


ボンボンキャップを深めにかぶってすご〜く可愛いデモちゃんです


デモちゃんが葵のお店に入ると先客がいました


先客はスーツを着てノーネクタイの小太りの男でした


カウンターの椅子から降りて帰るところでした


葵のママ

気をつけてお帰りよ


ノーネクタイの小太りの男に言いました


小太りの男

ママ 前より少し太ったわね それじゃ


葵のお店から出て行きました


デモちゃんが来たのを見ました


葵のママ

よく来たね


快く迎えてくれました


デモちゃん

ママ よろしくお願い致します


葵のママ

まあ ごていねいなあいさつありがとう


デモちゃん

先客が有ったの


葵のママ

「今まで居た奴は昔おネエだったのよ 今 何をしているのか分からないの」


デモちゃん

あら おネエには見えなかったわ


葵のママ

必ず一言余分なことを言う奴よぉ


デモちゃん

あんまりよね〜


葵のママ

昔から好きになれない男なのよ


男が言った少し太ったんじゃないという言葉を気にしてました


葵のママ

余分なお世話さ わたしゃわざわざ金かけて太ってんだよ


珍しくやや興奮気味に言いました


葵のママ

気にしなくていいのよ おネエを辞めるような下品な男よ


葵のママはカウンターの席を指差しました


デモちゃん

どうぞ 召し上がれ


三万石の賞味期限が後二日後に迫った ままどおる を葵のママに渡しました


葵のママ

気を使わないのよ 若いの気が利くねえ〜


ご機嫌が直りました


葵のママは賞味期限が二日後に迫った ままどおる をいつものようになれた手付きですぐに開けました


株式会社三万石と書いてあるのが箱の下に見えました


葵のママはしげしげながめてました


葵のママ

万両もあたしを名付け親にすば五千万両にしてやったのよ しかも無料でね!


言いながらデモちゃんが持ってきた ままどおる を食べ始めました


葵のママ

デモちゃんも一緒にお食べよ!


デモちゃん

わたし今日お腹の調子が・


葵のママは静岡の田畑茶店から送られてきた川根茶を入れました


葵のママ

美味しいお茶よ


飲んでみてと進められました


デモちゃん

お茶いたただくわ


ままどおる はお断りしてお茶だけいただきました


確かにお茶にほのかな甘みがあり美味しさが伝わってきました


お茶の入れ方に年季ねんきが入ってます


葵のママ

美味しいのよ お腹には気を付けてね いただくわね


ままどおる を葵のママが食べ始めました


デモちゃんは気付きました


ままどおるは十個入りでした


葵のママは頂き物が食べ物だと必ずいただいた瞬間に頂いた人と一緒に食べる事が普通でした


葵のママは頂いた物は早くおいしく食べないと頂いた人に悪いと思ってます


葵のママは良く食べて元気で良く食べる事が健康に良く体力が付くとかたくなに信じて疑わないのはいつものことでした


下品な奴と礼儀作法を知らない奴としつけが出来ていない奴は嫌いでした


そういう奴お会いした場合は腹が痛くなったり耳が聞こえなくなったりすることがあります


葵のママ

子供の時おたふく風邪にかかって以来病院もあの世も行ったことが無いのよ!


とても残念そうに言いました


葵のママ

お迎えだってまだまだ遠慮して気やしないわ


健康な体と精神であることをものすごく強調して益々お元気な葵のママでした


そんな話をしているうちに又一人来客があったのでデモちゃんは低調にあいさつをして葵のお店を出ようと入り口に向いました


葵のお店の入り口を入って来たのはソロモンの宝のミコちゃんでした


デモちゃん

クイーンのお店のデモで〜す よろしくお願いします ママ美しいわね


本気ともお世辞ともわからないあいさつをしました


ミコちゃん

ミコです 弘田三枝子のミコね お店のほうにも顔を出してね!


ことさら弘田美枝子を強調するのを忘れませんでした


デモちゃんは葵のお店を後にしました


葵のママ

近頃は居ない良い子だねえ お稼ぎよ!


おほめの言葉とご声援を頂きました


デモちゃん

ありがとうございます ガンバします!


晴れ晴れとした顔で葵のお店を後にして自分のお店に向かって行きました


ミコちゃん

お後がよろしいようで!


カウンターの椅子に座りました


葵のママ

「横浜はどうだったの?」


話を切り出してきました


ミコちゃんは横浜の山手の港が見えない丘に行って三角頭の女性を見たことを話しました


男の可愛らしい奥さんの話もひと通り話し終わりました


葵のママは ままどおる を食べながら聞いてました


葵のママ

貴方も召し上がれ


言いました


見たら三万石の ままどおる は残り一個でした


ミコちゃん

食事 済ませたばかりだから


お断りしました


葵のママ

そお 美味しいのに


一つだけ残ったままどおるをポイッ!と口に放り込みました


葵のママ

うん うん 美味しかった


満足げの表情をしました


葵のママ

それでなんだっけ?


聞きなおした葵のママは ままどおる を食べる事だけに専念してました


ミコちゃんはいやな顔もせずもう一度三角頭の女性の話を最初より省略して話しました


いきなり!


葵のママ

なんで そんな遠くまで出かけていくの?


ミコちゃんが少し考えても意味が分からないことを言い出しました


ミコちゃん

ん?ん?えっ


答えられないでました


葵のママ

向こうは三人だろ


聞きました


ミコちゃん

うん


葵のママ

そうゆう場合には何人だろうとお願いして先様に来てもらうのよ


大事なことだと言いました


葵のママ

第一電車賃がいらないでしょ


ミコちゃん

ああ あああ


葵のママ

ややこしい話は必ず相手をこちらに呼んで自分の土俵どひょうで話し合いをすることだね


ミコちゃん

そう〜か


素晴らしい話し合い方法の基礎ともいうべきことに感心しました


葵のママ

相手が来るまで時間も稼げるしね


ミコちゃん

すごいわ ママ さすがね


葵のママ

まあ 普通の考え方よ


さすがは老齢な戦前からおネエをやっている葵ママの大変参考になる話でした


葵のママ

こんな話は金払っても聞けないよ んできた修羅場しゅらばの数が違うのよ


にやりと笑った葵のママは天使にはぜんぜん見えませんでした

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