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ブラッディマリーと一見の客

ある通りにおネエのお店がありました


そこはおネエ通りと呼ばれてます


お店にはミーコさんといういかり肩で足の短い源氏名(げんじな)のおネエさんがいました


お店でも普通にミーコさんと言われました


このおネエのお店にはもう一人首の短い顔の丸いおネエがいました


源氏名はすずめと名乗っていました


顔が丸いのでマルちゃんと呼ばれています


このおネエバーにはひげの濃いせたママがいました


ママは歳のせいか化粧のノリがとても悪く いつもなげいてました


ひげの濃い背の高いママのお店は漢字で林檎りんご)の歌という可愛い名前のお店です


ママの源氏名は小町と言って小野小町おののこまちから取って名乗っていました


なぜか?後姿だけはとても気にしていました


普段は小町ママと呼ばれて着物姿で居ることがほとんどでした


ミーコさんとマルちゃんは林檎の歌の従業員です


ミーコさんと小町ママは長い付き合いをしてました 


おネエ通りに林檎の歌のお店を開く時一緒に立派な額に入った一枚の絵を大事そうに持って来ました


小町ママはお店の二階が住居です


二部屋しかない片方の部屋は着物で足の踏み場も無くなってました


着物好きな小町ママは あちこち出かけて着物を買って来てました


部屋の中は益々着物でいっぱいでした


沢山持っている小町ママの着物をミーコさんが時々借りてお店に着て出て来ます


いかり肩でまるでエモンカケが歩いているように見えました


小町ママ

これほど着物が似合わないおネエは見かけないわね


本気で度々(たびたび)言われました


ミーコさん

ママのだからよ!今に自分に似合うお着物買うわよ!


いつも同じ答えでした


着物はまだ買ってありません


ミーコさんは酔っ払うと横に歩くくせがありました


マルちゃんにカニのミーコさんなどとからかわれていました


マルちゃん

ミーコおネエさん横に歩いているわよ


ミーコさん

横になんか歩いていないわよ〜


そしてマルちゃんの源氏名のこと言いました


ミーコさん

首が無いすずめなんか居ないよ!


マルちゃん

この間 もう少しやせたら可愛いね!てお客に言われたわ!


ミーコさん

それってデブってことじゃないの?痩せてたことあるの?


マルちゃんが答えました

やせてたことわぁ〜!基本的に無いとする・・


ミーコさん

チョイと!マルちゃんズ--とデブなの?


むくれ顔のマルちゃん

フン!ズ--とデブで悪かったわね!


それを聞いていた小町ママ

やせでもデブでも マルちゃんにもオコゲも居るんだもの好みはいろいろよ!


酔っ払うと二人がクチゲンカをするのはいつも事でした


別に仲が悪くてケンカをしているわけではありません


林檎の歌に珍しく一見いちげんの男性客がほろ酔い加減で立ち寄りました


一見の客はカウンターに座りビールを注文すると ミーコさんは一見の客の左側に座りました


トイレに行っていて遅れてきたマルちゃんは右側に座りました


林檎の歌のお店はボックス席は一席だけで ミーコさんと マルちゃんの荷物を置いて着替え室代わりに使われていました


一見の客は頼んだビールを本当に美味しそうに飲み干すと左側に座ったミーコさんに恥ずかしそうに小さな声で言いました


何か飲んで・・・


マルちゃんにも同じことをやはり小さな声で言いました


何か飲んで・・・


ミーコさんとマルちゃんはママのほうを見ました


いただきなさい


はっきりした声で言いました


ミーコさんとマルちゃん二人は昨日お茶を引いてお店のビールをしこたま飲みました


今日は二日酔いだったので考えているとママが声をかけました


ブラッディマリーいただいたらどうかしら!


気をきかせて言ってくれました


ひげの濃い痩せた背の高いママは・・・とても(こま)やかなところまで時々・気がつくおネエでした


ミーコさんマルちゃんはママのお(すすめにしたがってブラッディマリーをいただくことにしました


ママがおもむろにカウンターの下からビールジョッキを出しました


どうしても3個しか見つかりません


ママはミーコさんとマルちゃんが着替え室代わりに使っているボックス席下の段ボール箱からビールジョッキを一つ取り出しました


カウンターに戻ってビールジョッキを四つきれいに横に並べました


普通のグラスを4つたなから取りました


普通のグラスはビールジョッキの隣に並べました


業務用のトマトジュースとビールを年代物の冷蔵庫の中から取り出しました


取り出した業務用トマトジュースはビールジョッキの隣に並べた普通の4つのグラスになみなみと注ぎました


ビールは取り出し四つのビールジョッキに七分目ほど入れました


年代物の冷蔵庫は10年前に店をやめた!銀河というおネエバーから貰った冷蔵庫でした


ひと息入れて 業務用カゴメのトマトジュースを注いだ普通のグラスに手をかけます


そしてビールを注いであるビールジョッキの中に息を止めて静かに沈めていきました


ミーコさんとマルちゃんもママと一緒に息を止めてビールジョッキの中に沈んでいくトマトジュースの入ったブラスをジーと見ていました


トマトジュースを入れたグラスがビールジョッキの底に着きました 


ミーコさん マルちゃん

フ~~~ッ


ゆっくり大きく息を吐き出してビールジョッキの底に着いたトマトジュースの入ったグラスからまるで血のように流れ出すトマトジュースを見ていました


突然、左隣に座っていたミーコさんが立ち上がりました


ミーコさん

私 今日アンネなの!


ひと言いうと小町ママに借りて着ている着物の前を押さえてトイレに行ってしまいました


一見の客も・・・


マルちゃんも・・ママも・・


いやな顔もせずにビールジョッキの内のグラス


から流れ出る血のようなトマトジュースの


グラスを見ていると間もなくトイレに行っていたミーコさんが 戻って来ました


ミーコさんは綺麗に並んだ四つのビールジョッキの一つを軽々と持ち上げ ママとマルちゃんの顔と最後に一見のお客の顔を見て軽くウインクをしました


いただきま~~す!


元気な声で言いました


それにつられるようにマルちゃんもビールジョッキを持って二日酔いなど

忘れたかのように元気な声で!


いただきま~~す!


微笑みながら一見の客の肩を自分の肩で軽く押して持ったビールジョッキを

高く上げました


それを見ていたママ 一見のお客の顔を見て


私もいただくわ!


ウインクをして同じように、ビールジョッキを少し持ち上げました


一見の客がビールジョッキを持つのを待っていると 一見の客は何も言わずに

ビールジョッキに手をかけ持ち上げると顔の前に持っていきました


もう一度ビールジョッキの内に入れたグラスから流れ出るトマトジュースを

見て小さな声で言いました


ど・どうぞ・・


ひげの濃い背の高い痩せたママといかり肩の足の短いミーコさん 顔の丸い首の短いマルちゃん


血まみれマリーに!乾杯!


元気に叫ぶとビールジョッキの中のグラスが動かないように静かに美味しそうに飲みだしました


飲みだして間もなくすると 入り口のドアが開いて一人の朱鷺ときの羽のような色のの着物を着て紫色の正絹しょうけんの帯を締めた女性が


お~~はよう~~~~


声と共に流れるように優雅ゆうがに入って来るのが見えました


小町ママ

おはよう~


右手を軽くあげると一見の客の左隣にいたミーコさんも後ろを振り向きました


お早うございま~す


わりかしていねいにあいさつをしました


右隣にいたマルちゃんも同じように

お早うございま~す


同じく位わりかしていねいにあいさつをしました


一見の客が小町ママにたずねました


一見の客

誰っ?


小さな良く聞いていないと分からないような声で聞きました


入ってきたいきな女性はムラサキというお店のママだと紹介しました


ムラサキのママのお店は 小町ママのお店林檎の歌の正面にあるお店は漢字で紫と


いう名前のおネエバーです


源氏名もお洒落しゃれに紫音と書いて“しおん”と呼ばれていました


トマトジュースを入れたビールジョッキをみていたミーコさんとマルちゃん


フ〜〜〜


ゆっくり大きく息を吐き出しました


グラスからまるで血のように少しずつ流れ出すトマトジュースを見てました


突然 左隣に座っていたミーコさん

「私 今日アンネなの!」


一言いうと小町ママに借りて着ている着物の前を押さえてトイレに行きました


お客も マルちゃんも ママもいやな顔もせずに待ってました


間もなくトイレに行っていたミーコさんが戻って来ました


ミーコさんはキレイに並んだ四つのビールジョッキの一つを軽々と持ち上げました 


ママとマルちゃんの顔と最後に客の顔を見て軽くウインクをします


ミーコさん

いただきま〜〜す!


元気な声で言いました


マルちゃんもビールジョッキを高く上げました


二日酔いなど忘れたて元気に言いました


マルちゃん

いただきま〜す!


それを見ていた小町ママ お客の顔を見ました


小町ママ

私もいただくわ!


ウインクをして同じようにビールジョッキを少し持ち上げました


お客がビールジョッキを持つのを待っていました 


お客は何も言わずにビールジョッキに手をかけ持ち上げると顔の前に持っていきました


もう一度ビールジョッキの中に入れたグラスから流れ出るトマトジュースを見てました


お客

「ど・・どうぞ・」


ひげの濃い背の高い痩せたママといかり肩の足の短いミーコさん 顔の丸い首の短いマルちゃん


血まみれマリーに!乾杯!


元気に叫ぶとビールジョッキの中のグラスが動かないように静かに美味しそうに飲みだしました


飲みだして間もなくすると 入り口のドアが開きました


一人の女性が声と共に流れるように入って来るのが見えました


お〜はよう〜〜〜〜


女性は薄紫色の着物を着てました


そして紫色の正絹しょうけんの帯を締めてました


小町ママ

おはよう〜


右手を軽くあげると客の左隣にいたミーコさんも後ろを振り向きました


ミーコさん

「お早うございま〜す


わりかしていねいにあいさつをしました


マルちゃん

お早うございま〜す


同じく位ていねいにあいさつをしました


お客が小町ママに良く聞いてないと分からない位小さな声で聞きました


お客

誰っ?


小町ママ

ムラサキのママよ


入ってきた女性を紹介しました


ムラサキのママ

クラブムラサキの紫音しおんです よろしくね


ムラサキのママのお店は林檎の歌の正面にありました


漢字で紫と書きます

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