表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/62

烏龍茶と山もりのコーヒー

千ちゃんのお店に向かって左側にべにというお店があります


紅のママは何時も綺麗な男物のベルサーチクラッシックのスーツをスマートに着ていました


背の高いスラーとして顔のシワさえなれば三十代でもとおりそうなダンディなママでした


お店のカウンターは大理石ででした


一つしかないボックス席にも大理石で出来た比較的大きなテーブルがありました


源氏名は椿つばきと言います


普通に紅のママと呼ばれてました


紅のママはどこに住んでいるのか?はっきりしたことは分かりませんでした


歳の離れた女性と結婚をしてました


歳が離れすぎていたのか身ごもったまま北海道に帰ってしまいいました


子供は生まれたようです


子供の顔は一度も見たことがありません


離婚はまだしておりません


離婚なんてたかが紙ペラ一枚よ


言いました


本心は違いました


相当な金額を子供のためと若い奥さんの生活費のために毎月送金をしてました


紅のママは中国茶が大好きです


紅のママは昔仕事で中国に居たことが有りました


中国といっても中華民国台湾省の台北県板橋市という所にマンションを借りてました


住まいには当時紅のママは車の運転手と料理と掃除をするメイドを雇ってました


メイドと言ってもかなり年寄りの最早老婆かなり近い年寄りでした


運転手とメイドは紅のママをその頃先生と呼んでました


先生はその頃はまだおネエとはまったく縁はありませんでした


先生は台湾に来てから中国茶が大好きになり茶芸館によく通うようになりました


台北市の林森北路にかなり入ったところの六鬼茶坊と言う名前のお店でした


昔の古い民家をそのまま使ってました


中国茶を飲ませる落ち着いた所で昔を思い出すにおいがたまらなく好きでした


六鬼茶坊は年老いた老夫婦だけでお茶を出してました


先生が六鬼茶坊に通いだしてしばらくしたあるどんよりとした低い雲の日でした


先生が独りしかいない六鬼茶坊の古びたテーブルの向かい側に老夫婦の主人が座りました


たどたどしい日本語で話しかけてきました


時間をかけて自分たちの事を語り始めました


老夫婦の主人はその昔中国大陸から来たと話しました


老夫婦の主人は台湾に来てすぐに父親が亡くなりました


母親もそれから六年位してから亡くなりました


その後主人はいろんな仕事をしてお金を貯めて六鬼茶坊を買いました  


そして今の奥さんと結婚をしました


子供は娘が一人で現在は結婚をしており台南市の開元夜市という市場の一つに屋台を出していました


屋台は水曜日と土曜日だけですが一生懸命働いて居る優しい男と結婚をしました


すぐに子供ができて今は子供も三人になって幸せに暮してました


老主人

コドモ カゾク シアワセ イチバン!


素晴らしい笑顔で本当に幸せそうに先生に話ました


老夫婦は六鬼茶坊を開くつもりはなかったそうです


中国茶を入れるのと選ぶのが上手いので近所の人がお茶を飲みに来ていました


いつの間にか六鬼茶坊が出来上がってしまったと老主人が言いました


老主人

チュウゴクチャ アオチャ シロチャ クロチャ キイチャ コウチャ ハナチャ


詳しく説明をしてくれました


烏龍茶は福建省あたりで多く飲まれているお茶です


中国大陸では一般的に緑茶が一番多く飲まれていると説明をしてくれました


老主人

ウーロンチャ チャバガ オオキイモノ カオリハクチカラ ハナニヌケル ヨイオチャ!


最後に自分達は中国大陸から来たので外省人と呼ばれていると少し悲しそうな顔をしました


素晴らしい説明と中国茶を覚えた先生はもっともっと中国茶が好きになりました


六鬼茶坊の老主人のことを茶老師と呼ぶことに個人的に決めました


老主人

世事真如夢


静かに漢詩を読む茶老師の奥深さを思い知りました


先生はコーヒーも好きで濃いコーヒーを飲みに行きました


行く所は中山北路のコロナという軽食も出しているところでした


コーヒーが美味しくてコーヒーを飲みたくなるとコロナに行ってました


コロナのウエイトレスが先生にものすごく上手くない日本語で話しかけて来ます


小姐

オニイサン コーヒー  サービス オオキイ


先生はサービスしてくれるのはうれしく思いました


嬉しいやら 悲しいやら 恥ずかしいやら が見事に交差してとても複雑な気分でした


優しくサービスしてくれる山もりに入れたコーヒーをいつも美味しく飲んでました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ