表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/62

カチューシャとやせたニワトリ

万両のお店は元の名前は千両という名前でした


買った時の名前をそのまま使ってました


お店は客が入りませんでした


新宿の占い師に占ってもらいました


占い師は千両という中途半端な名前だから良くないと言いました


万両にしなさい いやいや五万両がいいかな?字画じかくが悪い 万両にしなさい


わずか十秒ほどの占いで三千円払い言われたとおりお店の名前を万両にしました


千ちゃんは占ってもらうと直ぐに白い実のなる万両の木を買って来ました


お店の入り口にかざりました


自分の源氏名は占ってもらうのを忘れました


そのまま千ちゃんと呼ばれてました


千ちゃんは岩手県の二戸市の金田一温泉のお近くで生まれました


近くには座敷わらしを奉る亀麿神社がありました


千ちゃんは都内の六大学の一つを卒業して大学では山岳部に入ってました


二年生の夏 南アルプスの北端の北岳に登った時何かの出来事でおネエに目覚めました


千ちゃんはおネエ通りから東に行った大通り角二件目の地下にある歌声喫茶によく行きました


歌声喫茶は小さなもりという名前でした


千ちゃんの一番好きな歌は山男の歌です


山男良く聞けよ を合唱する時は女性グループ側で無理に高い声を出して歌ってました


歌声喫茶は季節によって歌を変えました


秋は 小さな秋見つけた から始まりインドネシア民謡の 可愛いあの子を歌います 


そして ウラルのグミの木 と続いて 滝廉太郎の 花を歌ってから“山男の歌”になりました


山男の歌に合わせるように小さな杜に行って800円払って 山男の歌 を歌ってました


コーヒーは必ず残さず飲んで帰って来ました


万両に名前を変えてから客が増えたかどうか考えたことはありません


千ちゃんは会いも変わらず大通りの角から二件目の地下にある歌声喫茶小さな杜に通ってました


出かける時は時は真っ黒な髪にハートの模様が入った幅の広いカチューシャを必ずつけています


大通りの角を曲がると満面(まんめん)の笑顔で楽しそうにスキップをして行きました


千ちゃん

出発(たびだち)の歌を大ヒットさせた上条恒彦も歌声喫茶の出身なのよ


得意げに話しをしてました


上条恒彦の出発の歌は声量不足のために歌うことが出来ません


千ちゃんは出発の歌を歌いために古い木造のアパートで発声練習をしてました


やせたニワトリのような中年の女性が左隣の部屋に住んでいました


中年の女性は壁越しに何度も素晴らしくハイトーンな声で怒鳴(どな)ります


中年の女性

うるさい!浪花節(なにわぶし)はやめれえ〜


千ちゃん

ブスのくせに自分だって酔っ払ってキーキー歌いながら帰って来るじゃないの!


ドスン ドスン ドスン 壁をけとばして来ました


千ちゃん

オクターブ高いの!聞いちゃいられないわ コケコッコー


言い返して相変わらず出発の歌の練習を続けていました


万両ではジャガイモと人参が大きく切って炒めないで作るライスカレーがあります


デルモンテの食塩無添加の国産トマト使用で百六十グラム 缶入りのトマトジュース


二本を入れて煮込んでいました


炒めないのはわざと手抜きをしている訳ではありませんでした


さっぱりした味になると疑わない千ちゃん手作りの山男風ライスカレーは人気が有りました


ビールはつまみで千ちゃん手作りの山男風ライスカレーだけ食べに来るお客もいました


ライスカレーは六人前しか作りません


山男風ライスカレーは評判がよく早々と売り切れて残念なお客も多く居ました


千ちゃんは学生の頃千葉のゴルフ場でキャデエのアルバイトに休みの日だけ行きました


ゴルフの話が大好きで話をする時ティグランドのことをテエグランドと発音します


千ちゃんが話すと東京デエズニーランドになりました


葵のママ

千ちゃんはロバのシッポよ!


千ちゃん

どうして?


たずねました


葵のママ

そう見えるものは仕方がないのよ


取り合いませんでした

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ