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結婚とおかゆ

ドレミファソラシドの反対側に万両というスナックがあります


お店のママは千ちゃんと呼ばれてました


千ちゃんはお店から五分ほど行った古い木造のアパートに住んでました


アパートの持ち主は節子さんと言う名前の後家でした


節ちゃんと呼ばれていました


節ちゃんは千ちゃんの右隣で入り口の部屋に住んでました


千ちゃんが住み着いている理由は家賃が安い事と大家の節ちゃんと仲良しでした


休みの日は一緒に食事に出かけたり料理を教えたり買い物も一緒でした


古いアパートでも引っ越すつもりはありません


大家さんのご主人は(がん)で亡くなって以来独身を通してました


ニッカウイスキーの鶴という万両ではわりかし高いボトルをキープしてありました


月に5~6回飲みにきます


最初に飲みに来たときでした


やい千之助!


だいぶお酒を飲んでました


酒癖さけぐせ悪なあと思いました


その瞬間目の前から節ちゃんは消えました


千ちゃん

あれ 節っちゃん


あわてて声をかけたら一つあけて座っていたお客がカウンターの下を指差しました


千ちゃんは急いでカウンターから出てみました


イスとカウンターの間に大家の節ちゃんがいました


節ちゃんはヘイケガニとなってイスを背負ってカウンターにへばりついてました


それからは酔っ払ってくると必ずイスから滑り落ちてました


千ちゃんとしても飲みに来てくれることはありがたいと思ってました


酒癖が悪いのはとても閉口してました


相変わらず酔っ払って言いたいことを言います


節ちゃん

おい!千之助!ピーナッチュ〜


元々お店には置いてなかったピーナッツを節ちゃんのためにわざわざ置く事にしました


節ちゃんはこのピーナッツはまずいと威張り散らします


カウンターのイスから滑り落ちてヘイケガニになってました


千ちゃんが抱きかかえてイスに座らせました


節ちゃんがイスから落ちることは常連のお客はなれてました


普通の態度でした


常連の客

ママ 節っちゃんがまた落ちているよ


イスに座らせてくれました


千ちゃん

ありがとう 二日酔いで気持ちが悪い〜背中が痛いって言うのよ


常連の客

ママ 帰りたいへんだね


心配してくれました


心配したとおりお店が終わるまで飲み続けてヘイケガニになりました


帰りには千ちゃんが節ちゃんをおんぶしてアパートまで帰ることになります


節ちゃんがお店に来た時の日課でした


翌日になると当然二日酔いでした


節ちゃん

気持ちが悪い〜背中が痛いのはどうしたのかしら?


イスから落ちたことも千ちゃんがアパートの部屋まで送り届けてくれたことも覚えてません


翌日の遅い朝千ちゃんがおかゆを作って大家の二日酔いの節ちゃんに食べさせてます


節ちゃん

千ちゃんごめんね ありがとう う うおう〜気持ちが悪い


言いながら千ちゃんが作ってくれたおかゆを全部食べてました


普段はとても優しくて静かな人です


酒が入るとヘイケガニになる節ちゃんを千ちゃんはきっとさびしいだろうと思ってます


ある時 葵のママが言いました


結婚してあげたらどうかしら 財産もあるようだし ね!


葵のママは真面目な顔でした


千ちゃん

考えたこともないわ!私はおネエよ 不謹慎ふきんしんよ!


葵のママ

不謹慎? おネエだって結婚しちゃいけないという法律はないんだよ!


千ちゃん

はあぁ 考えたこともないわ


葵のママ

私は いつでもお嫁に行けるわよ


やや真剣に答えてました


聞こえなかったことにしました


千ちゃんは今のお店とおネエを続けるつもりです

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