ステンドグラスとアパート
すずらんのお店は葵のお店から見るとななめ前にありました
お店の内も外もお花でいっぱいになってました
お花が大好きなママの源氏名は百合子と言います
何時も百合子ママとは呼ばれずお花のお店のママを省略してお花のママと呼ばれてました
いかにも可憐で色が白くまるでビニールハウスで育てたしおれかけた百合のようでした
住まいはお店からあまり遠くないテラスが広い古いアパートに住んでました
アパートの名前はあるようですが勝手にフラワーマンションと呼んでました
将来は東京の郊外に家は小さい家を買って庭を花で埋め尽くしたいと考えてます
テラスには彼氏らしい人物が作ってくれた三段になった大きなお花の置き台がありました
いつもお花でいっぱいでした
最近古いアパートのテラスがギシギシと音をたて始めました
いつまで重さに持ちこたえるかはまったく考えませんでした
お花のママの彼氏らしき人物はいつも週末には必ず来ました
かっちゃんと呼ばてました
埼玉の方に住んでました
かっちゃんの職業はステンドグラスの職人のようです
すずらんのお店は曇りガラスの出窓にヘタクソな百合の花が書いてありました
夏の暑い日の昼間のことでした
おネエ通りの真ん中からすずらんのお店を穴が空くほど見つめているかっちゃんがいました
それから2日後の日曜日の昼間又来ました
お店の出窓を真っ赤な牡丹のステンドグラスに入れ替えてその日は帰って行きました
ステンドグラスは花の周囲を取り巻くように薄緑の牡丹の葉が書かれていました
次にかっちゃんが来た時お礼を言いました
お花のママ
かっちゃん ありがとう 素敵よ
かっちゃん
ん・
特に何も答えませんでした
出窓にはめたステンドグラスは多摩にある洋館作りのお宅から注文を受けて作った物でした
その後洋館のステンドグラスはどうなったかなどと聞くヤボはおネエ通りにはいません