別れの日から時を巻き戻したい。
突如とした死が、日常を壊していく。
なんの前触れもなくその日が来る。
それがとても恐ろしい。
永遠に続くと思っていた日常をいともたやすく消しさってしまう。
なんでもない、特別なことなんてない普通の日々。
そのサイクルに穴が開いてしまい、歯車は止まる。
もう一度、あの幸せだった日々を返してもらえないだろうか。
移り変わりいく世界に怯えて生きていくことになる。
肉体は消え去り、記憶のなかだけに生きていくことになる存在がはかなくて、それをいつまでも現実に留めておきたくなる。
過去の輝きばかりを振り返り、その時にどうにか戻れないものかと思ってしまう。
誰もが悲しむことのない、永遠の命がある世界を求めたくなる。
形あるものはいずれの日にか壊れていく。
その日が訪れるのが、明日か、1年後か、5年後か、10年後かの違いだけにすぎない。
鼓動が止まり、肉体が崩れていくその日が来ることが信じられない。
ずっと今が続いていく気がしてしまうんだ。