論外
(さて、じゃあ一応次元の浸食について説明しようか)
内容さえ分かればたいていのことは対策出来る。というか知らなくても対策出来るけどな。まぁ正統派的に攻略したほうが主人公っぽいだろ?
(君はなんで主人公っぽさにこだわるのかね。こだわらなければ一瞬で終わるものを)
「ヌルゲーをやるときに、縛りプレイをした方が楽しいだろう?」
(これをヌルゲーというかね。まぁ説明しよう)
ヨグの言うところによると、次元の裂け目というのは拡大と共に縮小していて、そしてその拡大の部分で不運にも選ばれた次元はどんな次元だろうが関係なく飲み込む。それがどんな強力な存在であっても戦うことすら出来ない。
あえて表現するなら、『論外』だそうだ。
次元の侵略に侵略される側は一切何も出来ないのだ。強制的な上書き。
「弟子、お前は逃げろ」
「?」
「さすがにお前じゃ飲み込まれる」
「了解です」
流石は弟子。物わかりのいいやつで助かる。
そもそも弟子は攻撃型である。相手が相手だし殴り合っても最終的な制圧力と削り能力の差で飲み込まれるだろう。
弟子が消える。おそらく別次元に退避したのだろう。
そして、いよいよ目の前まで砂嵐が迫る。
「じゃあ、ちょい本気モードで相手してやる」
ここまで来るとギアとかリミッターとかは意味がなくなる。改変の勝負、内部データによる争いなのだ。
「次元D1003地点x9230y7380z-3321からそれぞれ変数に+1した場所までの距離をωとする」
上書きするならば上書きする範囲を一定の範囲に止めればいい。
(息を吐くようにωを設定するね)
ω。簡単にいうと無限である。絶対にたどり着けない数、増加し続ける変数の最終的な姿ではなかろうか。
簡単にいうと、次元の侵略が俺の目の前の面を中心にすべて続いているが、侵略した部分だけ侵略していない部分が増え、しかもその部分が侵略した部分に上書きされるため、いたちごっこの要領で次元の侵略が停止するのだ。
「これが多分一番楽だと思います」
(次点は?)
「次元の狭間そのものを取り込んで俺の中で管理する」
(なるほど、しなかった理由は?)
「お前が俺に内側から対抗できるようになりそうだから」
ヨグはようわからん存在ではあるが、おそらく次元の狭間の中ならば俺と対等にやりあえるはずだし。まぁやろうとは思わんがな。
(主人公っぽい割にはそういう敵対するかもしれない奴相手には軽快するよね)
「だってお前も多分『論外』勢だろ?」
(まぁ全力状態ならね)
「論外の相手はめんどい。はっきりわかんだね。というかこれで次元の侵略止まるの?」
(数億年は持つんじゃないかな?そのうち他ににじみ出してそこからまた微妙に侵略し始めるだろうが)
とりあえず勝利、ということでいいんだろうか?
あーねんまつ




