段取り
「とりあえず現状の情報整理から入りましょうか」
「えぇ」
ソファに向かい合わせ座り、ストーカーに対する対策を講じる。
まぁこんなもんしなくても犯人は見つけられるが、まぁ一応手順を踏んでおいたほうがいいと思ったからである。
「とりあえず質問するので回答を」
「はい」
「まず、姿を見た事は?」
「ありません」
「つまり視線を感じるだけ、と?」
「いえ、家の中のモノがなくなったりしています」
実際に被害が出ている。つまり警察に持って行っても仕事してくれそうな雰囲気である。
「一応聞きますが、実際に被害を受けているのならば警察にもちこんでもすぐに行動してくれるのでは?」
「実は1ヶ月程前に、警察に行ってはみたんですけど……」
「――ふむ。警察の調査は当てにならない、と」
まぁ一月で何の成果も無ければ警察はさっさと引き上げるタイプだから撤退を開始してもおかしくはないだろう。
「まぁそれは置いておきましょう。次に、主にどのような時に視線を感じますか」
「えぇ……外出するときは基本的にみられている感覚はあります……家の中でもたまに」
家の中で視線を感じるとか相当ヤバいヤツだぜ?
因みにこの世界には能力持ちとかいう奴らがいるらしいからそいつ等の仕業かもしれんな。まぁどんな能力にしろその対策も、それの完全上位互換の能力を持っているから対処に困ることはないが。
「ふむ。漠然と視線を感じるだけでしょうか?」
「そうですね」
と言う事はまぁそこまで脅威的な能力ではない、と言う事か。空間裂いて覗き込んでたら一部を凝視するのしか困難だからな。人間の限界ではという話だが。人間よりも上位の存在であれば話は変わるけれども。
「最後に、まぁプライベートな質問なので答えなくてもいいですが、彼氏さんとか、いらっしゃった事はありますか?」
「……ノーコメントで」
ふむ。まぁ彼女に振られた男が一番濃厚な線だと思ったが、まぁ答える気がないならしょうがない。
「それでは、実際の手順について説明します」
「はぁ」
「まぁ一番犯人を捕まえる方法で確実なのは、直接取り押さえる事です」
「それはその通りでしょうけど」
「ストーカーと言うのは、他に同じことをしていたり、対象に近づいているような異性がいると排除するような傾向があります。まぁ簡単に言うと同族嫌悪のようなものですね。で、私が露骨に貴女をストーキングして排除しに来たところを捕まえる、というのは私が警察に捕まってしまう可能性があるのでアウト、という訳で」
一旦区切り、本当の作戦の説明を始める。
「警察のフリをして貴女を護衛します。で、途中で私は何処かへ離れます。そうすると、相手は確実に私を排除しに来るので、それを捕まえます」
「それは、本当に可能なのでしょうか?」
「えぇ、まぁこれでも一応『能力者』という分類に入らせていただいているので」
「……」
『能力者』。これを出すだけで大体の相手はなんとかなる。それほどのパワーワードである。
何の能力か説明しなくても、自信満々に話すだけで相手は都合よく解釈してくれる。非常に便利な単語だ。




