エピソード5_帝国派の逆襲
邪馬台連邦が成立してから年月を経たこの年、連邦の王を兼ねて伊都国王にヒノキミがここ山門で即位し、王宮入りした。
この日ヒノキミは有明の戦艦の現状視察に出かける。王宮の留守を守る警備隊長はセダカ将軍。
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「陛下、今回の増強で我が海軍力で伽耶救出作戦が可能になります。」
「高句麗、新羅の圧力は厳しい。しかし、いくさにならぬよう、伽耶の将軍を補強するのだ。我が海軍は半島に圧力をかけるだけで勝てる。」
「伊都国発、山門、大和、伽耶の同盟が完成すれば支那にも負けません。」
「今、帝国は魏、呉、蜀の三國に割れている。この機を逃してはならない。帝国に屈しない和の国づくりに突き進もう。ところでだ、我らの新しい戦力、奴国から脱出してきた二人は優れた情報力を備えているな。」
「道祖土と打悪の二人ですな、さすがは博多商人、出雲、高句麗、越後まで通信基地を持っております。」
「何故に奴国で迫害されていただろうか。」
「力は抵抗勢力を目覚めさせます。」
「和の国はまだまだ成りがたしか。いざ、有明海に向かう。」
「神武様のごとく、カラスと共にあれ。」
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試験航海から帰ったヒノキミを待ち構えていたのはなんとクーデターだった。
「陛下、我らは王宮には入れません。打悪、道祖土に乗っ取られました。彼らは奴国の工作員でした。」
「帝国派の逆襲だというのか。王宮は王家の館だぞ。」
「ヒミコ様が女王に即位しました 。打悪、道祖土の神輿に 担がれて王宮入りしました。」
「何だと、あの引き篭りの妹が女王だと。」
「歩兵部隊が王宮を守護しております。」
「我らに矢を向けるというのか。」
「アマテラスの鏡はヒミコ様のもとにあります。」
「アマテラスの鏡を押さえられては、我らが立て直すには時間が必要だ。海兵隊に合流して脱出する。狗奴国へ行く。」
「ヤマトタケル殿下との通信を試みます。」
「必ず帰還する。必ず帝国派から筑紫を取り戻す。我らは誇り高き独立派。」