エピソード4_邪馬台連邦
内海の都、山門、ヤマトと呼ばれる地、21世紀には福岡県みやま市に属する場所。有明海を東京湾と比較すると東京に相当する奥地の港が山門なのだ。倭人の統一政権が出来れば敵は海を超えてやって来る。大規模な海軍で敵を迎え撃つには伊都志摩や博多湾よりも、敵を挟み撃ちにして囲い込める有明海のほうが有利に戦える。
遠征訓練から帰ってきたのはクマ将軍。山門の港で迎えたのはタカ将軍。
「クマ将軍、お疲れ様、ご無事で何よりです。」
「ありがとう、タカ将軍。琉球まで探険してきた。琉球の島は倭人の集落が出来ている。」
「琉球が我らの仲間になれば、大切な島になる」
「これで東シナ海への展開力が身に付いたのだ。支那の海賊との対戦なら百戦百勝だ。」
この時期、支那帝国は海軍を持っていなかった。
「いよいよだな、もはや我らの海軍力は2日で博多湾を海上封鎖して、3日目には補給路を構築できる。」
「韓半島にもこれだけの海軍力を展開出来る勢力はいない。奴国に援軍は来ない。」
「島国に豊かさを保証するために重要なのは海軍力だ。将来統一政権になり陸上戦が無くなれば海の防衛に集中できる。大陸帝国の場合は平時であっても国境警備に陸軍を維持しなければならない。海では支那帝国よりも我らがより有利だ。」
「奴国包囲網がいよいよ実現だな。」
「既に出雲は我ら筑紫社会との合邦でまとまっている。」
「伝説のイワレヒコオオキミが築いた大和王朝との合邦の夢、八紘一宇。」
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明けて新年、奴国の高官を引き連れて、クマ将軍が山門に凱旋した。
「めでたい、実にめでたい。クマ将軍、見事な外交交渉だった。」
「奴国も伊都国も倭人社会、いくさではなく話し合いで和の国をつくれる。」
「奴国の王子は山門にお預かりになった。つぎは奴隷解放だ。」
「奴国との統一政権、筑紫社会は支那帝国と対等の国創りが出来る。」
「国王陛下は次の祈年祭で国家樹立を宣言する。邪馬台連邦だ。」
「新しき時代、我らは誇り高き独立派。」