エピソード3_遷都
イワレヒコはヤマトの大王となり橿原に芽吹いた国を育てている。
一方こちらは伊都国、民が大都市奴国に吸収されてゆく。筑紫社会は奴国一極集中、格差社会に変質していく。
ミケヌ王の王子シトが伊都国王に即位していた。
奴国に潜入していたカナが情報を持ち帰ってきた。
「陛下に申し上げます。唐人町には支那の役人が役所を構えています。いよいよ奴国3代目ナカス王には漢帝国より金の印鑑が約束されました。」
「漢倭奴国王」の誕生である。奴国王は大陸帝国からゴールドサポーターに認定されたのである。
「父王の遺言を実行する。カナよ吉野ヶ里衆の協力は得られるか。」
「吉野ヶ里衆は我らの大規模農業技術を学び、豊かな集落を拡大しています。吉野ヶ里衆は我ら伊都国を尊敬しています。奴国につくことはありません。」
「我らは米作りを得て、それまでの奪い合いの世の中を、分け合いの世に作り替え、和の国創りに励んでいる。イワレヒコオオキミは米作りを東に進め、ヤマトにまで伝えて、八紘一宇発の国創りを芽吹かせた。ここで奴国のもとで、帝国に組み込まれてはまた奪い合いの世の中になってしまう。」
「奴国を克服する為に、吉野ヶ里に合流ですか」
「吉野ヶ里ではない。吉野ヶ里の更に南、有明の海を目指す。父王の遺言は、耐えがたきを耐え、偲びがたきを偲び、遷都を実行することだ。」
「伊都志摩を捨てるのですか。」
「伊都志摩には沿岸警備と通信の部隊を残す。そして筑後に大本営を設置して有明の海で強力な海軍を構築するのだ。」
「伊都志摩では大陸からの攻撃で最初の打撃を受けます。兄から蒙古襲来という予言を聞かされました。」
「進もう、新しき舞台へ。我らは誇り高き独立派。」