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エピソード1_初代奴国王

日向峠。朝日を背負って帰還したのはニニギ隊長率いる伊都国レンジャー部隊。

「タマノヤよ、これからは奴国(なのくに)だと。これはまずいな。」

「ニニギ様、立て直しましょう。奴の兵は日向峠を越えては来ません。」

「その昔スサノオ隊を撃退したのがここ日向峠だ、ここから先は我が伊都の民の領土。」

「奴国を立ち上げるということ、つまり大富豪のナノカが奴国王になり、筑紫を支那帝国に組み入れて、自分は貴族生活ということだ。」

その昔、スサノオ隊を撃退した日向峠は伊都国と奴国の国境である。伊都国と奴国、日向峠の西と東にそれぞれ米作小集落が形成されたのは弥生時代の中期。ともに玄海灘にむかう両国はいずれも漁業と農業を兼務するコミュニティとして成立した。

伊都国は糸島半島を拠点とする沿岸警備に力を発揮し、対馬を超えて(から)半島との交流を深めた。

一方の奴国は博多湾に那珂川が注ぐ良好な物流拠点であり東は出雲、安芸、北は韓、西は支那との交易にも積極的に取り組んだ。


北部九州の筑紫社会は米作が始まる以前から海洋民族として、韓半島との行き来が盛んだった。米作りが発展する頃には航海技術も進歩した。支那との交流が盛んになると筑紫社会に「国」の概念が芽生えた。その最初が奴国だった。

博多の大富豪ナノカが初代奴国王に即位し支那へ朝貢を開始した。

ニニギ隊長は伊都国が得意とするインテリジェンスにより、この日奴国に支那の役人が来訪することを知った。支那の役人とともに奴国に下賜される銅の印章を奪い、奴国との形勢逆転を画策したニニギはゲリラ部隊を率いて博多侵入を試みた。


奴国領土内の草香江の地でニニギ隊は奴国の傭兵部隊と遭遇、進行を阻まれた。

「奴の軍は優れた武器を備え、兵力も次々投入されてくる。」

「草香江から博多を見ると、夜中というのに明々と明かりが灯されていた。豊かさを見せつけているようだった」

奴国は物流拠点、物が集まり、人が集まり、都市が形成されている。伊都国との経済格差は火を見るより明らかである。

ニニギ隊は夜道を歩き、夜明けとともに日向峠にたどり着いたのだった。朝日を背負ってニニギは宣言した

「王家を建てる、伊都国(いとのくに)を立ち上げる。」

「ニニギ様が国王になられる。」

「いや、山幸彦を即位させる。」

「ニニギ様は何をなさる?」

「サルタヒコに会いに行く。」

「高千穂ですか。」

「熊曾の協力を得て、日向隊を強化する。」

「このまま奴国に主導されると、支那帝国に組み入れられて、筑紫は貴族と奴隷の階層社会になってしまいます。」

「かつてここで撃退したスサノオは出雲に入って国を創ったそうだ。」

「高千穂で国創りですか」

「わからん、まずは筑紫離脱だ。筑紫のみならず、この列島に和の国を創れば大陸の帝国に従う必要は無くなる。高千穂で若き戦士を鍛えよう。進もう、我らは誇り高き独立派。」

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