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朝起きたら違う世界にいた。  作者: *蜻蛉羽
7/33

V.V 二人の関係は……レイナ視点

今回は第5話、二人の関係は……のレイナの視点になります。

閑話なのに一番長くなってしまいましたがよろしくお願いします。

二人の関係は……レイナ視点


私はレイヴさんと別れて部屋に戻った後ベッドに入った。

その時一つ考え事をしていた。

私のレイヴさんに対するこの気持ち……


レイヴさんが()()


友好的な意味で好きなのではなく恋愛的な意味で好きだ。

ただ、この気持ちを伝えたら今の関係が終わってしまうのではないか。

関係が悪化してしまうのではないだろうか……

だから伝えるのが怖い、レイヴさんと離れるのが怖い。嫌だ。

でも伝えたい。レイヴさんに今の気持ちを知ってもらいたい。

「はうぅ……」

私は今どうしようもない感情で埋め尽くされていた。

こんな状態で眠れるはずがない。


そうやって考えがループして20分ほど経っただろうか。

「レイヴさん、起きてるかな」

まだそんなに遅い時間じゃない。

起きてる可能性は十分にある。

眠れないし、少しお話でもしようかな。

話をして、この気持ちを伝えるか決めよう。

そう思った私は部屋を出た。


そういえば私がレイヴさんを好きになったのって、いつだろう……

私がレイヴさんに出会った当初は知らない人に声を掛けられて助けられたって感じだったな……

そのあとに街を目指して進んで……森に入るちょっと前にレイヴさんの圧倒的な実力を見せられた。

その頃だっただろうか。いや、違う。そのときはまだすごい人っていう憧れしかなかった。ではいつ……もう少し後……?

その後に森に入った。そこでもレイヴさんがその強さで森のモンスターを一蹴しながら好調に進んだ。

そしてそのまま森の奥まで進んだ時にレイヴさんが野営の準備と言いながら豪邸を出したんだった。

あの時は家を見て絶句するしかなかった。

王都の貴族と同等かそれ以上の大きい家だった。

こんな家なんて入ったこともないし持っている人と関わったこともなかった。

故に楽しみでもあったし少し怖くもあった。


レイヴさん一体何者なんだろう。怖い人じゃないのかな……

今更な疑問なのだが、この家を見て改めて思ってしまった。

貴族の中には自分の利益しか考えずに他者を利用するような人は勿論、自分の利益にならないなら即座に切り捨てるような人もいるのだ。

レイヴさんがそういう人じゃないかと少し不安になったのだ。

今までのレイヴさんを見る限りだとそんなことはないだろうとは思うが、万が一がある。それが怖かった。


そうして色々あって、夕飯の時間になった。

そして夕飯の時に私は質問をした。

「レイヴさんはアルディーンの街以降の予定は何かあるのですか?」

「あ、うーん、ないね。考えてもなかった」

私はこの時点で少し安心できた。

自分の心配していた貴族とかではないようだった。

まぁ貴族が単独で移動するなんてことはまずないだろうけど。


そして夕飯が終わりお風呂の時間になった。

私はレイヴさんに案内されてお風呂場に向かった。

そこは女性用と男性用に分かれている大きなお風呂だった。

更衣室も2家族は入れる程の大きさがあって。浴場も大きかった。

私はその大きなお風呂を一人で使ってしっかりくつろぐことができた。


そうして体を洗い終わって浴槽でゆっくりしたら思いのほか時間がかかった。

レイヴさんを待たせているのではと少し心配していたが杞憂だった。

私よりレイヴさんの方が遅かったのだ。

レイヴさんはお風呂が好きなんだな、と私はなんだか微笑ましくなった。

そうしてレイヴさんとお風呂の前でこの家の経緯などを話した。

レイヴさんは本当にすごい人だった。

レイヴさんと同等の強さを持った仲間たちがいて、その仲間たちと仲良く協力し合ってこの家を改築したと聞いたときにはもうなんだかレイヴさんが手の届かないような場所にいるような気がした。


その時には既に私はレイヴさんに惚れていたのかもしれない。

気づけばレイヴさんが好きになっていた。

具体的にいつとかはわからない。

思い出してもわからなかった。

そうして私はお風呂の時に惚れたんだなと自分の考えに終止符を打ってレイヴさんの部屋の前に立つ。

すごく緊張する。心臓の鼓動が激しい、胸が張り裂けそうな気がする。


それでも、ここで帰るわけには行かない。

そうして私は部屋をノックする。


「レイヴさん、起きてますか?」


そうしてすぐに返事が来た。

「起きてるよ、空いてるからどうぞ」

私は扉に手をかけた。

本当に鍵が空いていた。私に言った通り鍵を開けていたのだ。

「失礼します、夜分にすいません、ちょっと眠れなくて」

私はそう言いながら部屋に入った。


レイヴさんの部屋は片付いていて質素でもなければ派手というわけでもなく何か落ち着いた雰囲気の部屋だった。

電気は付いていなくて、月明かりだけが部屋を照らしている。

しかし真っ暗というわけではなく部屋がちゃんと見えるぐらいには明るかった。

相手の顔色までは分からないが。

「そっか、俺も眠れなかったんだ。コーヒーでも入れて話でもする?」

レイヴさんも眠れなかったのか。

なにか考え事でもあったのかな。少し心配になった。

「レイヴさんも眠れなかったんですね。ではお願いします」

そう言って椅子に座る。


落ち着かない、思わずもじもじとしていまう。

レイヴさんの部屋に二人でいるだけですごく緊張する。

今まで二人でいても大して緊張もしなかったが、意識して夜に二人でいるとすごく緊張する。

「どうしたの?落ち着かない?」

レイヴさんに声をかけられる。

そんなにわかりやすかったかな。まぁもじもじしてたし丸分かりか。

「いえ、男性の部屋っていうのが初めてなもので……」

私はこう言ったが半分は本当で半分は嘘だ。

確かに男性の部屋で二人なんてことは初めてだ。これは本当だ。

しかし緊張している理由はそれじゃない。

男性と二人でも緊張はするかもしれないがここまでじゃないと思う。

いま緊張している理由はレイヴさんと(・・・・・・)ふたりだから(・・・・・・)

でもそんなことはとてもじゃないが言えない。


「なるほど、気にせずにゆっくりしていいからね」

レイヴさんはそう言って部屋を出た。コーヒーを淹れに行ったのだろう。

私はレイヴさんを待っている間も緊張し続けていた。

レイヴさんは私と二人でも緊張している様子はなかった。

「これは脈なしかなぁ……」

思わずそんなことを呟いてしまった。

私は慌てて誰も聞いていないか周りをキョロキョロした。しかし誰も聞いていなくて安心した。

でも、なんとなく私が部屋に入ってレイヴさんと目があった時にレイヴさんが少し穏やかな表情になった気がした。少し安心したような顔というか、そんな表情だった。


そうして5分ほど経ってから部屋の扉が開いた。

レイヴさんが帰ってきたようだ。私の前と、反対側にコーヒーを置いた。

「お待たせ、どうぞ」

「ありがとうございます。でも特に何を話すってこともないんですけどね」

私はそう言う。実際に夕飯の前とかお風呂の後とかに結構話してしまったから。

レイヴさんと話をしていると楽しい、でもその後に話題がなくなるのは悲しいという何とも矛盾した考えに至ってしまう。

「確かにもう夕飯前に結構話しちゃったもんね」

「そうですね……」

レイヴさんも同じようで話題が見つからない。

私はレイヴさんと話がしたかったので話題を探す。

そうして探していると難しい顔をしていたのか

「まぁ、俺はこうしてレイナと一緒にいるだけで満足できてるよ……」

レイヴさんが私の方を見てそう言った。


私は一瞬固まってしまった。場の空気が一瞬止まった。

私が意識を取り戻して今の言葉をようやく理解する。

「っ――!本当……ですか?」

そして恥ずかしさで俯いてしまう。顔が赤くなっているのが自分でわかる。

私はこの場で気持ちを打ち明ける決意をした。

そして顔を上げ、レイヴさんを見て

「私、レイヴさんに言ってないことがあります」

「言っていないこと?何かな、大切な話?」

「はい、正直言おうか迷ってました。自分の部屋でずっと考えてて……」

レイヴさんは一瞬驚いたような表情をして

「わかった。レイナが言うと決めたなら、俺は聞くよ」

そう言ってくれた。


私は言うと決めてもやっぱりちょっと覚悟が必要で数秒貯めた。

すぐに言えるような精神は持っていなかった。

レイヴさんは真剣な表情でいうのを待ってくれている。

これ以上待たせたくなかったので

「私、レイヴさんが好きです。友好的ではなく恋愛的に、レイヴさんのことが好きです」

私は言った。ついにレイヴさんに気持ちを打ち明けた。

正直期待はしていない、は言い過ぎだけど、あまり自身もない。

レイヴさんの態度を見る限りだとあまり意識していないように見えたから。

断られると思う。でも私はレイヴさんにはついていきたい。


初めて出来た好きな人だから。


レイヴさんは少しの間黙り込んだ。

確かに唐突な気持ちの告白だった。それでも答えが聞きたくて

レイヴさんの気持ちを知りたくて

「あの……レイヴさん……?」

レイヴさんにそう声をかけた。

レイヴさんはハッと意識を取り戻して

「あぁ、ごめんね、ちょっと唐突過ぎて固まっちゃって。うん、君の気持ち、すごく嬉しかったよ。ありがとう」

そう私に告げた。私は気持ちを伝えてすっきりできた。

でもはっきりとした答えは聞いていない。それでもこれは断られると思った。

覚悟はしていたけど正直聞きたくない。


「あぁ、いえ……私の気持ちを勝手に伝えただけなので」

私はそう言って部屋を出ようと椅子を立った。

いつの間にか泣きそうになっていた。今にも目から涙がこぼれ落ちそうで。

そんな姿はレイヴさんには見られたくない。

なのでこの部屋を出ようとしたがレイヴさんに手を取られ

「俺も、レイナが好きだよ。もちろん友好的ではなくね」

そう言われた。私は一瞬固まって今の言葉を頭で繰り返して理解する。


つまりレイヴさんも私のことが好きだった……

友好的ではなく恋愛的に好きだった……

そう理解した途端に私はレイヴさんに抱きついていた。

我慢できなかった。そしてレイヴさんの胸の中で溢れかけていた涙を流した。

嬉しかった。ただただ嬉しかった。そして私は

「やった。やった。嬉しい、嬉しいです……ありがとうございます……レイヴさん。ずっと、大切にしてください……」

レイヴさんにそう言った。私は嬉しさでそう言うしかなかった。

「うん、勿論、一生かけて愛し続けるよ」

レイヴさんはそう言って私の顔を上げた。

そして私の目を見て涙に濡れた目尻を拭き取り

「レイナ……改めて、好きだよ」

そう言って私の唇にキスをした。

「んっ……」

思わず息が漏れる。これがキス……

初めての好きな人と初めてのキスをした。


これ以上ない喜びを感じた。そうして数秒唇を重ね合った後にレイヴさんは私の唇から離れた。

「あっ……ん……」

キスが終わって少し残念な気持ちになり、それでも満足してレイヴさんの顔を見上げる。

そうするとレイヴさんは私を抱きしめて後ろからなでてくれた。

すごく気持ちいい。とても落ち着く。

「んん……んぅ……」

私は息を漏らしつつレイヴさんに手を回して抱きしめる。

そうして抱き合った後にレイヴさんから一歩離れる。


すごく頭がポーっとする。意識がはっきりしない。

少し眠い。でもレイヴさんと離れたくない。

「レイヴさん、もしよかったら、一緒に寝たいです」

私はレイヴさんと一緒に寝ることを選んだ。


「うん、俺はすっきりしたし、もう眠れる、蟠りがとれたよ」

レイヴさんはそう言ってくれた。

「はい、ありがとうございます」

「うんうん、じゃあ、おいで?」

そう言ってベッドに入り手招きをするレイヴさん。

初めて男性と一緒に寝る。緊張するがワクワクもする。

そういう気持ちを抱きつつ

「では、失礼します……」

そう言ってベッドに入る。

ひっつきたかったが少し気が引けるので端っこに寝転がる。

するとレイヴさんが私を自分のほうに抱き寄せた。

私は少しびっくりして

「はぅ……レイヴさん……」

と声を出したがすぐに落ち着いてレイヴさんに身を委ねた。

レイヴさんと一緒に入る布団はとても暖かくて、落ち着けた。

そう思った時には既に私は眠りについていた。

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