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朝起きたら違う世界にいた。  作者: *蜻蛉羽
6/33

V 二人の関係は……

二人の関係は……


俺は部屋に戻って一つ考え事をしていた。

何か引っかかる。胸の内に違和感というか、何かをやり残したというか……

「レイナに何か言い残したことでもあったっけな?」

いや、言うべきことは全て伝えたはずだ。

ならこの違和感はなんだ?

「寝よう。どうせ寝たらなくなってたりするだろう」

俺は考えることをやめてベッドに入った。


俺がベッドに入って数十分が経った。

「眠れない」

俺は眠れなかった。違和感が気になりすぎて眠れない。

「何か飲んでゆっくりするか」

俺はそう考えて部屋を出た。


部屋を出た俺が向かったのは食堂。

ここで何かしら飲み物でも入れてゆっくりしようと思った。

料理は全般メイドに任せているが料理ができないわけではない。

飲み物も然りだ。紅茶など専門家ほどではないが知識はある。


「さて、何を飲もうかな、ていうか、何があったっけな」

俺はそんなことを考えながら厨房の中を歩いていた。

夜の家は電気を全部消しているので非常に暗い。注意しないと躓いてしまいそうだ。

「うーん、無難にコーヒーにしようかな」

俺はそう言ってコーヒーを淹れた。


コーヒーを淹れている間違和感について少し考えていた。

寝る時までは特に何も違和感なんて感じていなかった。

大体感じ始めたのはレイナと別れて部屋に戻っている間だ。

じゃあやっぱりレイナに関係していることか?

俺は原因がレイナに何かしら関係していることと考えた。

では何かレイナに伝え忘れたことでもあったか……


俺がそんなことを考えている間にコーヒーができた。

俺はコーヒーをもって部屋に戻った。

部屋に戻って机にコーヒーを置いて椅子に座る。

そうしてコーヒーを飲んでのんびりしながら違和感について考えていた。

「やはり何かレイナに関係あることなんだろうか」

俺はそう言ってレイナに出会ってから今までのことを思い出した。

レイナに出会ってこれから一緒に行くことが決まった。

夕飯の時や入浴の時に喋ったりもしたが特に思うところは何もなかった。

「何も思いつかないな」

俺はまさにお手上げ状態だった。


そうしてコーヒーも飲み終わる頃

扉がノックされて

「レイヴさん、起きてますか?」

レイナの声が聞こえた。

こんな時間にどうしたんだろうか、何か伝えたいことでもあるのかな?

「起きてるよ、空いてるからどうぞ」

俺は扉越しにレイナに答えた。

「失礼します、夜分にすいません、ちょっと眠れなくて」

レイナも眠れなかったのか、ちょうどいいな、少し話でもしようかな。


部屋は電気が付いてなく、月の明かりだけが部屋に差し込んでいた。

その月明かりにレイナが照らされてレイナは何か神秘的に見えた。

日の下のレイナは明るく太陽のように眩しい笑顔を出して可愛いなと思ったが、月明かりにあたったレイナも綺麗で素晴らしかった。


「そっか、俺も眠れなかったんだ。コーヒーでも入れて話でもする?」

「レイヴさんも眠れなかったんですね。ではお願いします」

レイナはそう言って椅子に座る。

椅子に座ったレイナの頬は少し赤く何かもじもじしていた。

「どうしたの?落ち着かない?」

「いえ、男性の部屋っていうのが初めてなもので……」

「なるほど、気にせずにゆっくりしていいからね」


そう言って俺はコーヒーを淹れて部屋に戻ってきた。

「お待たせ、どうぞ」

「ありがとうございます。でも特に何を話すってこともないんですけどね」

レイナは苦笑いしながらそう言った。

確かに話す話題が見つからない、夕飯の前にもう結構話してしまったからなぁ。

でも不思議とこうしてレイナといるだけでさっきの違和感が全くなくなる。

レイナといると落ち着く。話さなくても一緒にいるだけでも満足できる。

「確かにもう夕飯前に結構話しちゃったもんね」

「そうですね……」

レイナは少し残念そうな表情をした。

その顔を見ているとこっちまで残念な気持ちになってしまう。

レイナに残念な思いをさせてしまったと。そう思ってしまう。

俺はそう思ってしまうことに違和感を感じなかった。

「まぁ、俺はこうしてレイナと一緒にいるだけで満足できてるよ……」

何か話題を探そうとしているのか、難しそうな顔をしているレイナに俺はそう言った。

レイナの方はどうかは知らないけど俺は実際レイナといるだけで満足できる。

確かに何か話をしている方が楽しいとは思うが無理に話題を探して話すほどでもない。

レイナが俺の前にいる。俺の手の届く場所にいる。それだけでいい。

俺がそんなことを考えながら言った台詞だったが

「っ――!本当……ですか?」

レイナは一気に顔を赤くしてうつむきながら俺にそう言った。

俺には暗くて赤くなったのは気付かなかったのでうつむいているところしか見えていない。

なのでなにかまずい事を言ったかな、と思いつつレイナに声を掛けようとしたが、レイナがばっと顔を上げて

「私、レイヴさんに言ってないことがあります」

「言っていないこと?何かな、大切な話?」

「はい、正直言おうか迷ってました。自分の部屋でずっと考えてて……」

レイナは再び俯いた。

それほど大事な話だったのか。俺に話しても大丈夫なら聞きたい。

ただ無理に聞き出そうとは思わない。

レイナが自分で言うと決めたなら聞く。

俺はそう思って

「わかった。レイナが言うと決めたなら、俺は聞くよ」

俺はレイナに真剣な面持ちでそう答えた。


レイナはそうして俯いて数秒貯めて顔を上げた。

深く深呼吸をして

「私、レイヴさんが好きです。友好的ではなく恋愛的に、レイヴさんのことが好きです」

レイナがそういった瞬間に場の空気が一瞬止まった。

そして俺の中の蟠りが一気に払拭された。


あぁ、なるほど、あの違和感の正体はこれか……

その時に俺は違和感の正体に気づいた。

俺の中にずっと残っていたこの違和感、その正体は



"レイナに対する恋愛的な好意”



俺の中の違和感、蟠りがすっきりした。

そして俺も言うことにした。

今気づいた、レイナに対する、この気持ちを。


「あの……レイヴさん……?」

「あぁ、ごめんね、ちょっと唐突過ぎて固まっちゃって。うん、君の気持ち、すごく嬉しかったよ。ありがとう」

「あぁ、いえ……私の気持ちを勝手に伝えただけなので」

レイナは断られると勘違いしたのか椅子から立とうとする。

俺は断るつもりもないし、自分の気持ちも伝えるつもりなのでレイナの手を取って

「俺も、レイナが好きだよ。もちろん友好的ではなくね」

俺は微笑みながらレイナに自分の気持ちを打ち明けた。


レイナは一瞬固まった後に泣きそうな顔になり俺に抱きついてきた。

抱きついてきたレイナはすごく甘い香りがした。

抱きついて初めて気付けた、柔らかい身体。

触れて初めて知れた、サラサラで柔らかい髪の毛。

こうして思う。レイナの全てが愛おしい。


「やった。やった。嬉しい、嬉しいです……ありがとうございます……レイヴさん。ずっと、大切にしてください……」

「うん、勿論、一生かけて愛し続けるよ」

俺はそう言ってスっとレイナの顔を上げた。

俺に抱きついてから泣いてしまったのだろう。頬は涙で濡れて目は赤くなっている。

俺はそんなレイナの涙を拭き取って

「レイナ……改めて、好きだよ」

「んっ……」


レイナの唇に自分の唇を、重ねた。


そうして唇を重ねて数秒経って唇を話した。

「あっ……ん……」

レイナは名残惜しそうに自分の唇に手を当て潤んだ瞳で俺を見上げる。

その姿は非常に色っぽくて、可愛らしかった。

再びキスをしたくなったが抑えてもう一度抱きしめる。

自分の胸に頭を収めて後ろからレイナの髪を撫でる。

「んん……んぅ……」

レイナは幸せそうな声を出して俺の背中に腕を回してくる。

そしてギュッとする手に力を入れて、俺から1歩離れる。

その表情はトロンとしていて恍惚の表情だった。

そして

「レイヴさん、もしよかったら、一緒に寝たいです」

レイナがそう俺に告げた。

俺としては嫌な気はしない。寧ろ歓迎する。


本当に可愛い子だなぁ。今は確信を持って言える。

俺はこの子を愛している、と。

今更気づけた鈍感な俺だけど、一度気づいた以上はもう大丈夫だ。

俺はレイナを一生かけて愛し続ける。

そして

「うん、俺はすっきりしたし、もう眠れるよ、蟠りがとれたよ」

「はい、ありがとうございます」

「うんうん、じゃあ、おいで?」

俺はベッドに入って横に寄る。そしてレイナに手招きをして自分のベッドに促す。

一応ベッドはダブルサイズになっている。二人入ったところで狭くなるということはないだろう。


そう思ったが、正直言うと俺は寝るときにレイナにぴったりと引っ付いて寝るつもりだった。

レイナと一緒に寝る。その間もずっとくっついていたかった。


「では、失礼します……」

レイナは遠慮がちに俺のベッドに入ってきて端っこに位置取った。

俺はレイナに引っ付いていたかったのでレイナを自分の元に抱き寄せた。

「はぅ……レイヴさん……」

レイナは最初は戸惑ったもののすぐに力を抜いて俺に身を委ねた。

「レイナ…」

とレイナに呼びかけたが返事がない。

可愛らしい寝息を立てて既に寝ていた。

俺は微笑んでレイナの髪を撫でた。

そして

「おやすみ……」

そう言って俺は眠りに就いた。

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