II レイナとの出会い
レイナとの出会い
あれから歩いて数日が経った。
「そろそろ見つかってもいいんじゃないかな」
まず森から出ようと俺は考えて……
「ん?そういえばスキルに降臨とかあったな、神様降臨させて飛べるんじゃね?」
俺はそう考えて
『降臨』
スキルを発動させた。しかし
<降臨させる神格を所持していません>
……………
「なんだそれ」
神格ってなんだよ、そんなもんどうやって手に入れるんだよ…
「何かヘルプに載ってないのかな、もしかしたら変わってるかもしんないし」
そう思って俺はメニューからヘルプを呼び出した
「えっと…神格、神格…あ、あった、あるのかよ」
神格
神が所有している神として存在するための資格。
神を殺した場合に剥奪することができ、その神格の持ち主のスキル、ステータスが自分に加算される。
複数の神を殺した場合上書きではなく追加される。
「なるほど、神を殺せ、と」
つまりそういうことである
「諦めるか、神様は何か機会があった時に殺そう」
俺は結構物騒なことを考えて街探しを再開する。
さらに歩いて数日が経った頃、ようやく森の出口が見え始めた。
「おぉ、やっと出れたか、長かったぜ」
俺は安堵の息を漏らしつつ適当に人がいないか探し始めた。
そうやって森の周りを歩いていると
「どうしたんだ、兄ちゃん、ウロウロして、道にでも迷ったか?」
見知らぬ男性に話しかけられた。
ふくよかな体で人の良さそうな顔をしている。商人だろうか。
「あ、やっと人が見つかった、近くに街ってないですか?最近このあたりに来たもんで迷ってしまって」
一応相手の機嫌を損ねたらまずいので敬語ではなす。
いきなりタメ語で話して機嫌を損ねたらまずい。
「ほうほう、それならこの方向に2日も歩けばアルディーンの街につくぜ」
男性は今の場所から左側を指差してそういった。
ここからではただの平原しか見えない。
恐らく直進すればまた森なりなんなりに当たるだろう。
「ありがとうございます、これはお礼として受け取ってください」
俺はせめてものお礼替わりに3000ガル渡した。
3000ガルはあっちの世界で大体1括りにされる金額だったのでちょうどいいと思った。
しかし
「っ―――!兄ちゃん、どっかの貴族かい?こんな大金ポイッて渡すなんてよ」
男性はそんなことを言った。
3000ガルが大金……?前の世界じゃ結構簡単に稼げる額なんだが……
どうやらこの世界は金の価値まで違っているらしい。
「いや、ただの平凡な人間ですよ、ありがとうございました」
俺はそう言ってその場を去った。驚愕している男を残して。
「さて、この方向に2日歩けばアルディーンとやらにつくのか」
俺はその方向を目指してとりあえず歩くことだけを考えた。
歩いて数時間たったころ、道に一人の少女が座り込んでいた。
俺は無視して歩いていこうかと思ったが、少女は結構深刻そうな顔をしていたので声をかけた。
「どうしたの?こんな道端に座り込んで、怪我でもしたの?」
少女は体をビクッと震わせたあと恐る恐る俺の顔をみた。
とても整った顔だった。
恐らく街に出れば人気になれるほどに。
「あなたは誰ですか?」
俺は総質問されたので取り敢えず名乗ることにした。
「俺の名前はレイヴ=シュルス。ちょっとこの先のアルディーンという街に向かって歩いてるところなんだ」
少女はアルディーンと聞いた瞬間少しピクっとして俺に聞いた。
「ここから歩いてアルディーンに向かうならそれなりの実力が必要になります。大丈夫なんですか?」
少女は案外心配してくれたようだ。俺は少し嬉しくなった。
でも恐らく今までの敵と同じ程度の強さならまったくもって問題はない。
なので
「あぁ、実力なら問題はない。こう見えてそこそこは戦えるから」
俺がそういった直後、彼女は
「なら私も連れて行ってもらえませんかっ!?」
俺にグイっと寄ってきてそう言った。
「ん?アルディーンに向かってる途中だったのか?」
少女は頷いた。
「はい、あちらのギルドに用があって向かっていたのですが仲間が……」
なるほど、この子元々一人ってわけじゃなかったのか、仲間がやられるのは辛いな。
「なるほど、うん、わかった。多分襲われても倒せると思うし」
正直あのムカデ蝶とか途中で襲ってきたほかのモンスターの強さからして問題ないと思った。
「ありがとうございますっ!あ、まだ名乗っていませんでしたね、私はレイナです」
「うん、よろしくね、レイナ」
一通り挨拶や自己紹介をして俺たちは街までの移動を始めた。
そうして歩いているとモンスターが現れた。さっきのムカデ蝶だ。森以外にも現れるのか。
「バタフライワームですね、気をつけてください、おそらくここで出る中で一番強いです」
レイナは驚愕の事実を述べた。
「……え?こいつが一番強いの?弱いんじゃなくて?」
このモンスターが一番弱いなら納得したけど強いのは不思議でならない。
強さは前の世界のゴブリン以下なのだ、弱いなんてレベルじゃない。
「はい、こいつが出してくる体液は毒素が含まれていて触れるだけで感染します」
へぇ、そんな攻撃してくるのか、いままで攻撃される前に殺してたからなぁ。
ちょっと様子を見てその攻撃を見てみたいと思った。
でも今は一緒にレイナがいるのでそれはまずい。
「なるほど、でも攻撃される前に殺せば問題ないよね」
『ファイア』
俺はファイアで十分と思った、コイツ弱いし。
恐らくこの攻撃でもオーバーキルだろう。
「ファイア?その階位の魔法じゃ倒せないと……」
バァンッ!
バタフライワームは跡形もなく消えた。
「………………」
「ん?」
「え?」
「どうしたの?行くよ?」
「あ、はい、えっと、あの…」
少女は言いにくそうに声をかけた。
「どうしたの?何かあった?」
「いえ、その、よければステータスを見せていただきたいなと思いまして」
レイナは申し訳なさそうに言った。
なるほど、さっきのファイアを見たら流石に不安になるよね。
「あぁ、全然いいよ、えっと、はい、どうぞ」
俺はメニューからステータスを呼び出して少女に見せた。
「ありがとうございま――――」
レイナはその場で口を開けて固まった。やっぱりそのステータス見たらびっくりするよな…
「やっぱり、変かな?そのステータス」
「はい、正直に言って規格外過ぎます。多分世界中探してもこれほどの人はいないと思います」
そこまで異常だったのかこれ……
確かに強いなこれとは思ったけど、そこまで強いとは……
まぁ確かにerrorとか書いてるもんね。当たり前か。
「あはは、やっぱり変だよね、ごめん、忘れて?」
正直に言って逆の立場なら俺はドン引きして距離を取ってしまう。
しかしレイナは
「いえ!そんなことはないですっ!寧ろ尊敬します!」
めちゃくちゃ必死だった。こっちが勢いに押されそうなぐらい。
俺はちょっと身を引きつつ
「あ、そう?ならよかった。ありがとうね」
そう言った。
するとレイナはすっと身を引いて
「いえ、私、昔から弱くて、みんなに守られてばっかりだったので」
「なるほど、だから強い人に憧れるってことか……」
確かに納得はできる、自分も強くありたい、しかしできない。
だから強い人に憧れる。よくあることだ。
「はい、だから、その、よければ街についたあとも連れて行ってもらえると嬉しいです」
レイナはいきなり驚愕のお願いをしてきた。
「え?いいの?あっちに用があったんじゃ……?」
「はい、一応要はあるのですが直ぐに終わりますし、そのあとも何かあるわけじゃないので、よければ…ですが」
レイナは俯きつつチラチラとこちらを見てくる。あら、かわいい。
「うーん、俺は全然いいよ?そっちが本当にいいなら一緒においで?」
俺は特に断る理由もなかったのであっさり了承した。可愛いしこの子。
「ありがとうございますっ!」
レイナは勢いよく頭を下げてお礼をした。勢いで地面にぶつかりそうなぐらい。
「うん、それじゃあ、いこうか」
俺は微笑みながらもレイナを促した。
驚愕が多い一話でした。
これからは投稿が滞らない限りは日を跨いだときに投稿しようと思います。