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DH  暗闇の手 激動(第二部)   作者: 千波幸剣(せんばこうけん)
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信頼と裏切りと真実と偽りの交わり(1)

信頼と裏切りと真実と偽りの交わり(1)



渡部がデトロイト到着する2時間前、ブランの起こした出来事に怒りを顕にしていた。


「至急、ブラウンと連絡が取りたいのだが通信は取れそうか」


今回の訪米には専用機に乗り込む前にアメリカからの親善大使のマクドナルドも日本から一緒に同乗していた。


「申し訳ありません。自分の部屋への通信を遮断しておられるようです」


「あの馬鹿者がドイツの信頼を得るために唆されてトールハンマーを使用したようだな」


「本国では副大統領のジャクソンが大統領に緊急就任する用意をしているようです」


「今回は外交関連に口を出す為にアメリカを訪れるわけではないがアメリカ側からはブラウンにどういう処分をするつもりだ」


「1国に値する責任になるかどうかは分かりませんが上層部は表の世界での引退とともに抹消を考えているようです」


「それだけで済む問題ではないだろうがブラウンが抹消ということになるとこちら側の問題が今回片付かなくなる恐れがあるのだが」


「はぁ、そう言われましても今回は事が事だけに」


マクドナルドは困った表情をしている。


「話は変わるが、突然の訪問ではないが研究所には到着後すぐに移動することが出来るのか」


「そちらの方は大丈夫です」


「自分1人で解決するしかないか」


「どういったご用件で久々のアメリカ行きをお決めになったのかまでは私はお聞きしておりませんがブラウンの処分はアメリカ側としてもWR組織内の立場上、敏速に処置しなければならない問題になりますので諦めていただくしかありません」


「結局ブラウンはあの事件以降も最後まで変われなかったか。いずれこういう失態をする日が来るとは思っていたが」


渡部は力強く腕を組んだまま目を閉じて黙ってしまった。


「これから先、アメリカという国はテロリストよりも世界中から嫌われる国になるのでしょうか」


不安そうにマクドナルドが問いかけてきた。


「大統領はアメリカの象徴であり、意志を表している存在ならそう思われても仕方ないだろう」


目を閉じたまま渡部はマクドナルドの質問に答えた。


「歴史は繰り返すですか」


「今までの歴史とは違う。いくらアメリカとはいえ今回は友好国を跡形も無くほぼ消滅させてしまったのだからな」


渡部の言葉にマクドナルドも黙ってしまった。


その時、渡部のムーブに通信が入る。


「藤原です。今回の一件見過ごすわけにはいかないのでご連絡させていただきました」


「もう少しでデトロイトに到着する。外交に口を出すつもりで来たわけではないが私もそのつもりで対処するつもりだ」


「あれはトールハンマー以外考えられません。しかも出力が最大で発射された後にトールハンマー事態も爆破され落ちたと思われます」


「まず先にトールハンマーから発射はされたということか。それでようやく全ての事の合致がいったが今回もまたあの国か」


「はい。今回の一件、やはりドイツが絡んでいると思われます」


「痕跡のようなものは残っていたのか」


「トールハンマーの制御が少しの間ですがアメリカの制御を外れている時がありました」


「その場所の特定は出来たか」


「いえ、特定しようとしましたがその痕跡を先に消されてしまいました」


「証拠を残さずか。ブラウンには抹消よりも詳しい尋問をすることのほうが先だな」


「はい。いつからドイツとの繋がりが出来たのか。その部分も重要なことだと思います」


「なるほどな。しかし今回のことを考えるとWRの内部機密のほとんどは漏れているということになるのか」


「残念ですが自分はそう思います」


「組織としての牙城も崩される可能性も出てきたということか」


「いえ、もうそういうことではないのかもしれません」


「どういう意味だ」


「相手は世界が滅んでも何とも思わない恐れすら感じています」


「いくらお前の意見でもそれは考えすぎではないのか」


「それならいいのですが」


「そういえばお前は明日はハオと中国か。破壊された研究施設跡地で相手組織の姿が少しでも見えてくればいいのだが」


「そうですね。継続して事件を起こされていますがその正体もやり方も掴めないままです。神出鬼没に世界中を混乱させようとしているのかもしれませんがそれも少し言葉が違うのかもしれません」


「こちらが考えてきた目的のさらに先の行動をされているが相手組織の本当の目的がまだ掴めていない現状では対処もできない」


「表向き結束を強めたように見える組織も崩壊寸前なのかもしれません」


「お前にはそう映るのか」


「映るというよりもブラウンさんの失態は個人の失態ではなく、アメリカ国民だけでなく、世界中の国民を巻き込んだ大きな変革の時期を後押しするような出来事になってしまった気がします」


「たったというには大きな国の消滅だが、そんな出来事でWRが滅びの道に近づくことになるとは自分も考えてはいなかったが世界の民をコントロールできなくなってきているということはそういうことだな」


「そうなるとWRの存在と継続そのものが危うくなるのではないでしょうか?」


「世界の表側での影響力のあるアメリカを立て直さないと結果的にWRの影響力も小さくなるということだな」


「これから予定されているアメリカでの緊急会合は篠山さんも出席されるそうです」


「それは聞いていたがお前がそう言うなら私も出席することにする」


「それがいいと思います」


サングラスタイプのムーブ装着のため、搭乗中渡部が組んでいる腕を解くことは無いと思われたが、ブラウンの突然の抹消処分を聞かされると苛立ちの表情を見せた。


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