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DH  暗闇の手 激動(第二部)   作者: 千波幸剣(せんばこうけん)
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新たなる幕開けと戦いの始まり(5)

なんとか体調を整えたハオは藤原と共に新型エアーサンダーに乗り込んだ。


「リャンミオ、イザベルさんをよろしくお願いします」


「ハオさま、くれぐれもお気をつけて」


「分かってるよ、リャンミオ。藤原さんも楊さんもいるから心配しなくていい」


少し遅れて楊が着いた。


「ハオ様申し訳ありません、少し遅れてしまいました」


「いえ遅れてはいませんよ」


リャンミオが楊を睨んだ。


「ハオ様の前でその格好は何だ。お前は今回の行事がどういうものなのか分かっているのか」


リャンミオが楊の格好に文句を言った。


「リャンミオさん、ご心配なく。行事用に替えの服は持参しております。途中、この中で着替えさせていただきます」


「楊さん、そういうことでしたらあなたは後部座席でハオさんを前の座席にお乗せしますので」


「いえ、体調を崩されているということですのでハオ様はご予定どおり後部座席で私が前でよろしいです」


「自動操縦可能の機体なので着替える時は私も後ろに移動します」


「お気にならさなくても大丈夫ですよ。軍隊では危険な前線では男女関係なく即着替えも経験しておりますので遠慮は入りません。それに暴力女の身体を見てもあなたは照れるのですか?」


楊は藤原の方を見ながら勝ち誇った顔をしている。


「そこは否定しません。そんな格好をされたら誰でも目のやり場に困ります。しかし、そういうことでしたら自分も気にしないようにします」


「正直な方は嫌いではありません」


「楊さん、お兄様に手を出したら私が許しません」


会話を聞きながら我慢していたイザベルまで会話に参戦してきた。


「そろそろ出発のお時間ですね。行きましょう」


その会話を聞き流して楊が出発を促す。


「それではイザベル、リャンミオさん、スミスさん行ってきます」


「リャンミオ、イザベルさん行ってきます」


イザベルは不満そうにまだ何かを喋っているようだが密閉率のいいエアーサンダーの中では聞き取れなかった。


やや顔色の優れないハオだったが窓越しに笑顔で手を振っていた。


楊はまだ勝ち誇った顔をしていた。


エアーサンダーは地下のルートを抜け無事に地上に出てきた。


「楊さん、私が先日言ったことを理解されていないようですね」


ハオは厳しい口調で楊に言った。


「いえ、理解しております。だからこそ私は華の役目をしながら龍の役割も致す覚悟です」


「まだそんなことを」


「ハオ様は失礼ですが龍に見立てることができません。私が感じていることは国民も同じであると思います。しかし、器においては過去の中国の首相の中では誰も及ぶものがいません。私が外側からは龍に見え、華に見えれ、支えになることでハオさまの偉大さが見栄えすると考えました」


「言われてみればそうかもしれないな」


珍しく藤原が楊に同意している。


「藤原さんまで」


ハオが困惑している。


「ハオさん、国民はどれほどあなたの政策が正しいとしても素晴らしい考えを述べても現状では恐らく理想にしか感じてもらえないかもしれない。しかし、一定の時間を経ればハオさんの政策は理想ではなく本物なのだと分かる。それまでの間は楊さんの今言った役目は大事なのかもしれない」


「あなたは思ったよりも理解力のすぐれた方なのですね、藤原さん」


「ハオさんの今の立場を考えただけです」


「国民目線ですか。あなたはどんな環境で暮らしておられたのか興味がありますが組織に詳しいデータがありませんでした」


「今はその事よりも大事なことがあるのでは」


「そうでした。ハオ様、私は私なりに全力であなたを支える決意で今回の帰国に同乗しました。副首相としてだけではなく、元軍人としてあなたを守りぬく覚悟で搭乗しています。1年はこの格好をさせていただきますが新生中国の政策の定着と共に徐々に服装も落ち着くものに変えていきますので信じていただきたい。これは男性には出来ない女性だけの武器でもあります」


「分かりました。楊さんあなたを信じます。ですがなるべく露出の少ないものでお願いします。藤原さんだけでなく私も男なので目のやり場に困ります」


「はい」


自動操縦中、藤原が雲の中に入ると二人に伝えた。


「少しの間揺れるかもしれませんが故障などはしませんので安全ベルトだけはしておいてください」


雲の中に入るとエアーサンダーは蓄電を始めた。


「これは未確認飛行物体の正体ですか?」


楊が不思議がっている。


「この機体のエネルギー供給方法の一つです。渡部さんが採用したDLEDシステムも搭載していますので念のための蓄電ですが今回は何が起こるのか分かりませんので可能なことは出来る限りやっておきたいので」


80%を示していたエネルギー量のメーターは98%を越えた。


「雨雲2つ分でこれだけのエネルギー量になるのですね」


「今回はハオさんの体調を考慮して揺れの少ない小さなものを選びました。台風雲のように大きなものなら0からでも即フル充電が可能です。新型の良いところは0でも通常運転が可能なところです。0だとステルス走行は出来ませんが」


「そんなに日本の機密事項をべらべらと喋ってもよろしいのですか?」


楊は不思議がっている。


「大丈夫です。ハオさんから聞いていないのですね」


「何をですか?」


「いえ聞いていなければ後から分かると思います」


「はぁ」


その後、ハオは二人の会話に入らず、気付くと目を閉じて眠っていた。


「軟弱者ではありますがあなたは素敵な方だったのですね」


「いえ100以上の自分の弱さを言える軟弱ものです。それよりもそろそろハオさんを起こしてあげないとなあ」


すでに通常運転の速度に入っていたために楊は安全ベルトを外し、後部座席に移った。


「ハオさま、起きてください」


そう言いながら楊はハオの頬にキスをした。


「おはようございます」


寝ぼけながらハオが目を開けると目の前には楊の顔が見える。


「ハオさま、私のキスでお目覚めですね」


楊はご機嫌だ。


「楊さん、こういうことは」


「頬よりも唇の方が宜しかったですか?」


その会話に藤原が気付いた。


「こういうところは変わったわけではなかったか」


藤原が呆れた声を出している。


「すいません、唇というのは冗談です。ハオ様のお顔があまりにも可愛くて思わず頬にキスをしてしまいました」


「そのことは忘れましょう。楊さん、ドアが開いた先は戦場だと思ってください。わが国ですがわが国だからこそ欲のために私の椅子を狙っているものもいます」


「承知しております。この身に代えても私がハオ様をお守りします」


「それでは困ります。もし私が死ぬようなことがあればあなたには私の代わりに私の政策を受け継いでもらわなければなりません。あなたにはまだ言っていなかった重要な政策がありますがこの政策によって国民の反対も覚悟しなければなりませんが私が生きている限りは貫き通す覚悟で望みます。あなたにも出来れば賛同してほしいのですが強制はしません。賛同できないのであればそれでも構いませんが私に何かあればこの国のことはよろしくお願いします」


楊にはハオの言う政策が分からなかったが副首相の自分にさえ言えないことへの不信感よりも覚悟を感じた。


エアーサンダーは気付くと仮に建てられた新生中国の国家統一院の建物の横に到着した。


「ハオさん、楊さん、覚悟は出来ていますか?」


「はい」


「もちろんです」


しかし、藤原はまだステルス機能を解除しない。


「まずはライブヒューマノイドでと」


真剣に藤原がディスプレイに目をやっている。


「大丈夫そうだな。次はこれだな」


今度はムーブを取り出して確認している。


その時だった。


「お兄様無事に到着されたようですね」


「イザベル。お前こんな時に」


「楊さんと親しく会話をされていたようでリャンミオさんも私もじっくりと拝見させていただいておりました」


「中国の今後について真面目に話をしていただけだ」


「リャンミオさんから伝言がございます。無事に帰ってきたら半殺しさせていただきますとの事です」


「無事に帰ってこれたら覚悟しておきますと伝えてくれ」


「それから私からは無事に帰ってこなければ私が世界を崩壊に導く恐れがありますのでご注意ください」


「おいおい、物騒なことを言うな」


「お兄様のいない世界など私には必要ありません。というのは冗談です。リャンミオさんにアドバイスをいただきました」


「冗談か。お前がいうと本気にしか取れないがリャンミオさんのお怒りは本物だということがよく分かりました」


何故か言葉が丁寧になっている藤原。


「ハオ様、藤原さん。私はこちらでお待ちしております」


リャンミオはそれだけ言うと警護に戻ったらしい。


「リャンミオ」


「リャンミオさん」


ハオと藤原の目に力が入る。


「それでは私はいつでも見ておりますので。追加された機能も楽しみにしてください」


「分かった。イザベル、お前も気をつけるんだぞ」


「こちらは大丈夫です。私の再構築したセキュリティシステムで万全な構えで備えていますので」


「そうだったな。それにリャンミオさんやスミスさんがいればもしもの時も大丈夫だな」


「はい」


「こっちのほうも安全の確認は取れたのでそろそろステルス機能を解除する」


「分かりました。ハオさんが無理しないように楊さん宜しくお願いします」


「承知しました」


ステルス機能解除


システム停止


ドアロック解除


ドア開放


「兄さん、ようやく帰ってこれることが出来ました」


ハオはしみじみと母国の空気と土地を感じていた。


「チャンさん、あなたのお手伝いは叶いませんでしたがハオさんのお手伝いをさせていただきます」


藤原は新生中国の空を見上げながら言った。


「ハオ様、迎えのものがくるまでまだお時間があります」


「そうだね。先に建物の中に入ってしまおう」


「分かりました」


「くれぐれも気をつけましょう」


ハオは国家統一院の扉に設置されている感知システムにセキュリティコードを入れた。


「最重要人物ハオ確認が取れました」


そういうと扉が開いた。


「ここが仮設とはいえ今の中国の心臓部なのですね」


「しかし人影がありませんね」


「役職についているものは私の宣言どおり各地で活躍しています。上も下も無く私の居ない間も盛り立ててくれているようです」


「しかし、培養装置のない以上この地には長居は出来ません」


「分かってます」


建物の中心部の奥に首相専用の部屋が用意されている。


「ここですね」


ハオがまたセキュリティコードを打ち込んだ。


「仮設なので仕方ないですが心もとないセキュリティですね」


そういっている間に扉が開いた。


「これが今の我が国の首相の部屋か」


楊も部屋の規模の小ささに驚いた。


「これくらいで丁度良いのです」


ハオは満面の笑みを浮かべた。


「楊さん、到着したことを伝えてもらえますか?」


「分かりました」


そういうと部屋にあった備え付けのタブホを使用し、どこかに連絡を取っている。


「ハオ様、お迎えがあと数分ののちに到着予定です」


「分かりました」


「私はここに居たほうがいいですよね」


「そうですね。同行してもらえると安心するのですが幹部も含めた会議を開きますので明日の兄の葬儀までこちらで休んでいてもらえますか?私も会議の後にこの部屋に帰ってきます」


「分かりました。楊さん、ハオさんをよろしくお願いします」


「もちろんです」


その会話が終わるタイミングでハオに迎えがやってきた。


「ハオさま、よくご無事で」


それはリャンミオの部隊の兵士だった。


「ハオ様お急ぎください」


ハオと楊は専用の航空機に乗り会議のある街へと向っていった。


「しかしハオさんの考えがうまく国民に伝わるか。明日は勝負の日だな」


「お兄様、お暇なようですね」


「ハオさんと楊さんは会議で迎えが来て出て行った」


「そうですか。そこで何をされているのです」


「休んでいるがどう見える」


「その様に見えますがそれでいいのですか?」


「二人が帰ってくるまでそれ以外何を」


「お二人に何かあったらどうするのですか?」


「しかし、他国の会議に自分が出席するわけにはいかないだろう」


「そこで私の新しい発明が役に立つのです」


「新しい機能のことか」


「はい、ムーブのキーボードに イザベル好き と打ち込んでください」


「お前なあ」


「早く打ち込んでください」


「分かった分かった」


藤原はしぶしぶ打ち込んだ。


するとムーブが藤原の身体をスキャンし始めた。


サングラス越しの藤原のディスプレイに見えるのは藤原の体が何かに包まれてゆく映像だった。


「イザベルこんな時に健康診断機能をつけなくても」


「いえ、空間ステルスです。正確にはムーブを装着しているものをスキャンして特殊な光で全身をカバーしてくれています」


「自分では何も変わっていないように見えるが本当に見えていないのか」


「その窓で自分の姿を確認してみてください」


「確かに見えないな。映らない」


「そのままその建物を出てエアーサンダーでハオさんたちを追ってください」


「分かった。しかしハオさんたちの向った場所が分からないのだが」


「すでにエアーサンダーがその位置を追ってくれています」


「イザベルのストーカー技術にますます磨きが掛かっているな」


「その言葉は否定させていただきます。それよりも早く」


「よし、後を追いかける」


「その後は空間ステルスを使用したまま会議に潜伏してください。ハオさんや楊さんもお兄様のムーブでスキャンしておいてください。何かあれば二人を助け出して逃げてください」


「分かった」


「イザベル、ちょっと待て。そのときに イザベル好きは必要ないのか」


「最初の稼動のときに必要だっただけであとは入りません。インストール時のコードのようなものです」


「そうなのか。まあ稼動の度に打ち込むとなるとめんどくさいからな。助かった」


「ご希望ならそういう仕様に致しますが」


「いえ、イザベル様、この仕様で満足しております」


「お兄様、上空に待機させていたエアーサンダーをステルス機能を稼動させたまま先ほどと同じ位置に着陸させました。ムーブで現在位置を確認しながら空間ステルスを働かせたままお乗りください」


「分かった。自動操縦も頼む」


「はい」


少し頭をぶつけながら何とか藤原はエアーサンダーに乗り込んだ。


藤原はそのときに初めて気付いた。


「イザベルこのエアーサンダーの機体内部にも空間ステルスが効いているのか。


「はい、実は装備させていました」


「お前はやっぱり凄いな」


「感心している場合ではありません。ステルス機能は人の眼球の錯覚を利用しているだけで銃弾や武器の攻撃を防いでくれるわけではありません。私に出来るのはこの程度のことです」


「いつもここぞという時に助けられている」


「それは私もです」


「何も無いとは思うが俺も油断していた気がする」


「お兄様も少しお疲れのようですのでサポートしているだけです」


自動操縦でエアーサンダーが着陸させた場所は噴火口のある活火山の山の中腹だった。


「イザベルの予感が当たったか」


「お兄様くれぐれもお気をつけ下さい」


「行ってくる」


幸い雨が降った後で足跡が付いているのを見つけると藤原はその後を追った。


程なくして人の声が聞こえてくるまでになった。


「ハオさま、あなたにこの国は任せられません」


「私を殺して何か変わるのですか?」


「何も変わらなくていいのです。その方がわれわれには好都合なので」


「あなたは兄の同志ではなかったのですか、リホウ将軍」


「もちろんそうです。今でも同志だと思っています」


「そのあなたが何故こんなことを」


「チャン様は威厳もあり魅力的なお方でしたがあなたは違う。チャン様の意志は私が継ぐ」


「首相と副首相を殺害して許されると思っているのか、リホウ将軍」


「小生意気な女が。その格好でハオを垂らし込んだか。この中国には華はいらないのだよ、華は」


「私の経歴を知ってその言葉を吐いているのだな」


「だから小生意気なと言ったんだ。ハオの命を助けてほしければその服を脱いで裸になり、命乞いをしろ」


「楊さん、そんなことをしなくてもいいです。この者達は私達を助けるつもりはありません」


「本当にハオさまを助けてくれるんだろうな」


「早く脱がないと先にハオをこの中に放り込むぞ」


その会話の間にハオと楊のステルススキャンが終わっていた。


「どのタイミングがいいのか分からない」


藤原は悩んでいたがその時にアイデアが浮かんだ。


「未確認飛行物体作戦で行くとするか」


藤原はムーブを使ってエアーサンダーを遠隔操作し、二人が捕まっている上空の真上に移動させた。


「イザベル、後の操作を頼む」


「分かりました」


楊が服を脱ぎ捨て全裸になった瞬間の事だった。


上空に突如エアーサンダーが姿を現した。


「リホウ将軍あなたの行動は監視されています。直ちに二人を解放しなさい」


イザベルが声を変声して上空から呼びかけている。


「あれは一体なんだ」


兵士達に戸惑いが見える。


イザベルが行動を移したタイミングで藤原は二人に空間ステルスを発動させた。


「今だ」


藤原は状況の分かっていないハオに声を上げないように言った。


藤原の声があっても姿は見えないことに戸惑うことも無くハオはその声に従った。


それはエアーサンダーの姿が見えたからだった。


ハオを安全な場所に隠すと次は楊のもとに近づいた。


楊は何が起こっているのか分からずに困惑している。


「楊さん、このまま連れて行きます。我慢してください」


藤原の声に気付いた楊は声を上げずに頷いた。


リホウ将軍とその場にいた兵士が気付いた時には二人の姿もエアーサンダーの姿も消えていた。


「これまでだ」


そう言うとリホウ将軍は火山の噴火口に身を投げた。


あとの兵士もそれに続いた。


リャンミオの部隊の兵士はその途中で降ろされ、ハオたちの行方を捜したが発見できずにいた。


「ハオさん、なんとか間に合いました」


「また藤原さんに助けられました」


つい先程まで自分の身に起きていたことに少し強張りながらもハオは笑みを浮かべた。


「お前があのような大胆な作戦を決行するとは見直した」


楊がいつもの上から目線で藤原を褒めているがその顔を見ると頬が赤い。


「楊さん、それよりもこれを着てください」


藤原は全裸でも恥ずかしがらない楊の振る舞いに戸惑っていた。


「減るものでもないし、女の体を見るぐらいで照れるな。少しは慣れろ」


「慣れるか」


「しかし会議は開かれていないということでしょうか?」


「いえ開かれていますよ、多分。新たな首相を誕生させる気ではないでしょうか?」


「リャンミオの部隊には何台かムーブを持たせましたので明日の葬儀には出席します」


「こうなったらチャンさんの葬儀ですし、乗り込むしかないですね」


「お前は何故そんなにワクワクした顔をしている。死にに行くのが楽しいのか」


楊は不機嫌そうな顔をしている。


「楊さん、あなたは残ってください」


「いえ、私も行きます。死ぬ為ではありません。私もこの国も新しい扉を開く為にハオ様に同行させていただきます」


「分かりました」


ハオも楊の言葉に納得したようだ。


「それにしても運動不足の俺には少し重たかった」


藤原は楊のことを言っているようだ。


「さすがに軟弱者だな。私の身体に触れることが出来たことを光栄に思え」


「いやいや、筋肉が付きすぎていて女じゃなく男の体だったので照れる必要がなかった」


「それなら全裸のまま寄り添っても大丈夫だな」


「いや遠慮させていただく。いくら男性に近い体とはいえ寄り添うのは好きな女性だけと決めている」


「だからお前は女が寄ってこないのだ」


「楊さん、リャンミオは藤原さんの事が好きなのですよ」


「お前寄りによっていつ殺されてもおかしくない人間に好かれるとはよっぽど運が無いな」


「リャンミオさんに殺されるなら本望だ」


「世界一の頭脳を持つ妹と世界一の殺し屋か。ある意味では成熟している感もある」


何故か楊が納得している。


「楊さん、もうその辺りで。あなたが藤原さんに感謝していることは十分伝わっていますよ」


ハオには楊の性格が分かっているようだった。


「それに今回は世界一の頭脳のおかげであなたも助けられたんです」


藤原も楊との一バトルを終え、声が落ち着きを取り戻していた。


「お前のような人間は初めて会った」


楊は照れくさそうに言った。


「私もこれほどズバズバと言い合える相手に会ったのは初めてです」


「最初はどうなるかと思いましたが私の睨んだとおりの結果になって嬉しく思います」


ハオは出発の時のように笑顔を浮かべていた。


その後国家統一院に到着し、ハオが先に連絡を入れておいたリャンミオの部隊も到着した。


しかし、念のために国家統一院の建物には入ることなくリャンミオの部隊の隠しアジトとしているリャンミオの一族の里でリャンミオとイザベルとも連携を取り、入念に明日の予定を立てると明日に備え3人は就寝した。


3人が就寝している間、リャンミオの部隊は警護の手を一層強めたまま朝を迎えた。


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