履歴書作成機
博士
「コンコン、失礼します。博士太郎です。趣味はロボットを造ることです。特技はロボットを造ることです」
井上
「………博士、何してるんですか?」
博士
「おお、井上君。いいところにきたの。ちょっと手伝ってほしいんじゃが」
井上
「な、なんですか?」
博士
「ワシ、就職活動しようと思ってるんだけど」
井上
「就職活動!?いまさら!?」
博士
「いやいやいや、働くのに年齢は関係ないじゃろ」
井上
「職種にもよりますけど…」
博士
「適当なところでルイ・ヴィトンあたりを考えてるんじゃが」
井上
「博士、身の程をわきまえてください…」
博士
「そんなわけで、面接の練習をしようと思っての」
井上
「いや、むしろ書類選考で落とされますよ。あるのか知りませんけど」
博士
「フランス語も勉強したんじゃ。ボンジュール」
井上
「しかも本店のほうっすか!?ずうずうしいにもほどがある…」
博士
「ただ、ひとつ大きな問題が…」
井上
「博士の場合はすべてが問題だらけです」
博士
「ワシ、履歴書書いたことないんだよねー」
井上
「ないんだよねーって笑顔で言われても」
博士
「顔パスでオーケーしてくれないかな」
井上
「博士、前から言おうと思ってましたけど、あんた世の中舐めてるでしょ」
博士
「井上君、言いたいことはわかっておる。君の言いたいことはじゅうぶんわかっておるぞ」
井上
「わかっているのなら、それ以上言いません」
博士
「自分で履歴書が書けないのなら、誰かに書いてもらえばいいのじゃ」
井上
「わかってないよ!!ぜんぜんわかってないよ!!」
博士
「見よ!!究極の履歴書作成マシーンじゃ!!」
井上
「そんなの造る暇あったら、自分で履歴書書いてください!!」
博士
「すごいじゃろう、この前ゲームセンターで一人でプリクラ撮ってる時に思いついたのじゃ」
井上
「博士、一人で何やってんすか…」
博士
「この箱に入って、パシャッと写真を撮ると、自動的に履歴書が出てくる仕組みじゃ」
井上
「それ、ねつ造じゃないすか?」
博士
「いや、ちゃんと中のコンピューターがネットにハッキングして、国が極秘に管理している個人情報のデータを出力してくれるんじゃ」
井上
「あ、あの…、いろいろとツッコミどころが満載なんですが…」
博士
「まあまあ、ものは試しじゃ。やってみい」
井上
「結局、実験台なんすね、自分」
箱の中に入る井上君。
ライトに照らされながら、写真を一枚撮った。
博士
「これで、井上君の個人情報が履歴書となって出てくるはずじゃ」
井上
「ドキドキしますね」
ウイーーーン。
井上
「あ、出てきた。すごい、ほんとに履歴書になってる」
履歴書
『氏名:井上君
年齢:10~40歳
性別:たぶん男
国籍:アメリカ』
井上
「違うよ!!全然違うよ!!自分、アメリカ人じゃないよ!!っていうか、たぶん男って何だよ!!名前だって、君づけしてるし、年齢の幅も広すぎるよ!!」
博士
「まあまあ、そこは修正すればいいじゃん。趣味とか特技とか見てみい。ちゃんとなってるから」
『趣味:畳のにおいを嗅ぐこと
特技:畳のにおいで産地を当てること』
井上
「そんな趣味ないよ!!っていうか、においで産地を当てるってどんだけすごいんだよ!?」
博士
「すごいな、井上君!!そんなことできるのか!?」
井上
「できないよ!!」
博士
「ま、こんだけちゃんと書いてあれば就職活動できるじゃろうな」
井上
「どの辺でそう思えたのか教えてほしいです」
博士は就職活動用に1枚履歴書を作成した。
履歴書
『氏名:スーパー博士くん(仮名)
年齢:500歳(推定)
性別:男(笑)
国籍:地球(爆笑)』
井上
「落とされるよ!!その段階で落とされるよ!!なんすか、(笑)って!!最後、爆笑してるじゃん!!第一、名前が仮名ってありえないっすよ!!」
博士
「いいのお、これ、いいのお」
井上
「よくないよくない」
『趣味:握力測定
特技:鉄アレイを握力でつぶせる
志望動機:この会社も握力でつぶすため』
井上
「黒いよ!!志望動機が真っ黒だよ!!」
博士
「これ提出したら受かりそうじゃの」
井上
「これで受かる会社こそ潰れるよ!!」
転職活動に励む博士。
彼の就職先はまだまだ決まりそうもなかった。
最後までお付き合いありがとうございました。終わります!!




