メイドロボット
博士
「井上君、メイドって……いいのぉ」
井上
「冥土?ついに旅立つんですか?」
博士
「いやいや、メイドじゃよ、メイド。使用人のほう」
井上
「あ、そっちっすか。博士の口から出るメイドって、あの世のイメージしか浮かばないから…」
博士
「勝手に殺さないでくれない?」
井上
「で、そのメイドがなんですって?」
博士
「いや、うちの研究所にも一人欲しいなと」
井上
「うわ、出た…」
博士
「え?出たって何が?」
井上
「どうせ『お帰りなさいませ、ご主人様』とかって言われたいだけでしょ」
博士
「よくわかるのぉ」
井上
「それだけの理由で、よくわからないもの造らないでください」
博士
「ふぉっふぉっふぉ、残念ながらもう造っちゃった」
井上
「造ったの!?」
博士
「さ、お入りなさい」
メイドロボット
『お帰りなさいませ、ご主人様☆』
井上
「うわ、本格的なやつだ…」
博士
「じゃろ?じゃろ?いい線いっとるじゃろう?」
井上
「このメイド服は、どうしたんですか?」
博士
「コスプレショップで買ってきた」
井上
「コスプレショップ……。でも、よく合うサイズありましたね。ぴったりじゃないですか」
博士
「設計段階でワシと同じ身長にしたからの。コスプレショップで何着か試着して、ぴったりのものを買ってきたのじゃ」
井上
「試着したんすか!?お店で!?」
博士
「だって、サイズわかんないじゃん」
井上
「想像しただけで寒気が………」
博士
「店員の引きつった笑いが印象的だったの。花粉症だったのかな」
井上
「それ、完全にひかれてますから」
博士
「メイドロボットにメイド服を着せる瞬間が、なんともいえずドキドキしたもんじゃ」
井上
「博士…、あなた、ただのヘンタイオヤジになりさがってます」
博士
「そこで完成したのが、このメイドロボット『花子さん』じゃ」
井上
「博士のネーミングセンスがいまいちわかりません」
メイドロボット
『もう!いつまで他の男としゃべってるのよ!!私をほっとくなんて許さないんだから!!』
井上
「き、キャラが違う…。メイドはそんなキャラじゃない…」
博士
「すまんすまん、花子さん。こやつはワシの不出来な助手での」
井上
「不出来ってなんすか」
博士
「どうしても花子さんを紹介してやりたかったのじゃ」
井上
「どうも、はじめまして」
メイドロボット
『お帰りなさいませ、ご主人様☆』
井上
「あ、いえ、ども」
メイドロボット
『お茶はいかがですか?出来立てをお入れいたしますよ』
井上
「あ、お願いします」
メイドロボット
『博士、この方にお茶をお入れ差し上げて』
博士
「あ、うん」
井上
「博士、博士!!立場逆転してますよ!!」
博士
「ハッ!!そうじゃそうじゃ。思わずお茶を入れに行くところじゃった。なんか違和感は感じてたんじゃよな」
井上
「いや、普通、気づきます」
博士
「あの、花子さん、お茶を入れるのはあなたの役割なんだけど…」
メイドロボット
『かしこまりました。お紅茶でよろしいですか?』
井上
「あ、はい、お紅茶でよろしいです…」
メイドロボット
『博士は泥水でいいですか?』
博士
「泥水!?いやいや、ワシはブラックコーヒーを…」
メイドロボット
『気安く命令しないでください』
博士
「あ、はい、すいません」
井上
「弱えぇ!!」
メイドロボット
『では、お紅茶をお入れしてまいります。お待ちください』
メイドロボットは奥に下がった。
博士
「………と、まあ、あんなんじゃが、なかなかいいじゃろ?」
井上
「博士はあのロボットにとって、どんな立場なのか気になります」
博士
「ちょっとツンデレ系をプログラムしたからの。言葉はキツイが、優しい子じゃよ」
井上
「メイドにツンデレ機能はいらないと思いますけど」
数分後───
メイドロボット
『お待たせいたしました。お紅茶をお持ちしました』
井上
「あ、どうもありがとうございます」
メイドロボット
『おクッキーも焼きました☆お召し上がりください』
井上
「あ、おいしそうですね」
博士
「ほんとじゃ、うまく焼けてるの。どれどれ」
メイドロボット
『くおら!!殺すぞくそジジイ!!ご主人様のために焼いたクッキーを気安く食べるんじゃねえよ!!』
井上
「こわっ!!」
博士
「ていうか、ご主人様、ワシだけど!?」
メイドロボット
『てめえはこの館の番犬だろーが!!』
井上
「あ、博士の立場がはっきりしましたね」
博士
「ワシ、犬扱いなの!?」
最後までお付き合いありがとうございました。つづきます!!




