お掃除ロボット
博士
「う~ん、あれどこやったっけな~」
井上
「なにしてるんですか、博士」
博士
「いや、ちょっと探し物をしとるんじゃが、研究資料に埋もれてわからなくなってしまったんじゃ」
井上
「この研究室、ぜんぜん掃除してませんからね。いい加減、掃除してくださいよ」
博士
「わかっとらんなあ、井上君。研究者は掃除なんかせんのだ。考えても見たまえ。世の中の研究者がせっせと掃除をしてる姿など誰も想像したくなかろう」
井上
「それは、個人の問題だと思いますけど」
博士
「だから、わしは掃除などしないと誓ったのじゃ。世の中の人々のために!」
井上
「いやいやいや、掃除くらいしましょうよ。人々のためにっていうか、博士が単にめんどくさがりなだけでしょ」
博士
「何を言うか。わしだって掃除がしたいんじゃ。しかし、人々のためにあえて掃除をしてないんじゃ」
井上
「出た…。よくわからない言い訳」
博士
「そこでじゃ。お掃除用のロボットを造ってみた」
井上
「ロボット造っちゃったの!?」
博士
「めんどくさがりな奴が、掃除のためにこんなロボットを造ると思うか?」
井上
「博士みたいなのが、そういうのを一番求めるんですよね」
博士
「紹介しよう。掃除ロボットの『しげさん』じゃ」
しげさん
『レレレのレ~』
井上
「ちょっとまったあぁぁ!!それ、某アニメのあのキャラでしょ!?」
博士
「いや、違う違う。ほら、よく見てよ。顔がぜんぜん違うでしょ」
井上
「あ、ほんとだ。よかった、パクリかと思っちゃいましたよ」
しげさん
『レレレのレ~。お~でかけで~すか~』
井上
「パクリですよ博士!!顔はパクリじゃないけどセリフはもろパクリですよ!!」
博士
「まあまあ、いいじゃん細かいことは。こう言って掃除してもらうのが夢だったんだから」
井上
「そ、そうですか」
博士
「よって、今日からしげさんに研究室の掃除を頼もうと思う」
井上
「わかりました。お好きにどうぞ」
博士
「じゃあ、しげさん、掃除お願いね」
しげさん
『かしこまりました』
井上
「ほんと、こんなの造るくらいなら自分で掃除しろって思いますけどね」
しげさん
『パタパタパタと。あ~あ、掃除って楽しいな』
博士
「思いのほか、よく働くのう」
井上
「博士が造ったにしてはまともですね」
博士
「何を言うか。わしはまともなものしか造らん」
しげさん
『掃除の前にこの研究室の中で、いるものといらないものとで仕分けしますね』
井上
「仕分けまでできるの!?ほんと、まともなロボットですね」
しげさん
『これは、いる。これは、いらない……』
井上
「すごい、ちゃんと仕分けしてますよ」
博士
「ちゃんと必要な資料はインプットしとるからの。それ以外は捨てるように処理してくれるのじゃ」
しげさん
『これは、いる。これは、いらない。あなたも、いらない』
井上
「い、今、博士を指差して言いませんでした?」
博士
「何を言う。聞き間違いじゃろ」
しげさん
『これは、いる。博士は、いらない』
井上
「言ってますよ!!怖いこと言ってますよ!!」
博士
「あ、あの、しげさん?」
しげさん
『博士は、いらない。ごみ箱行き。生ごみで出さないと』
博士
「うおぉい!!生ごみって何よ!?」
しげさん
『井上さんは、いる』
井上
「あ、よかった。なんか嬉しい」
博士
「なんで!?え。なんで君だけ!?」
しげさん
『博士は、いらない』
博士
「もういい!!しげさん。掃除はもういいから」
しげさん
『あ、いいんですか?これからゴミ捨て場までごみを捨てに行こうと思っていたんですが。特に大きな生ごみを…』
博士
「やらんでいい、やらんでいい!!」
井上
「こ、怖すぎる…」
博士
「もういいから、床に落ちている工具や機械のパーツを棚にまとめておいてくれんかの」
しげさん
『かしこまりました』
井上
「そういうこともできるんですね」
しげさん
『よいしょっと……。う…お、重い……』
井上
「重いの!?」
しげさん
『わたし、1㎏以上は持てません』
井上
「非力だな!!」
しげさん
『でも頑張ります!だって、ロボットだもん』
井上
「かわいらしく言ってもかわいくないから…」
しげさん
『ふんぬううう!!!!』
グキッ!!
しげさん
『うげ』
井上
「な、なんか変な音が…」
しげさん
『こ…腰が……』
井上
「もしかして…やっちゃいました?」
博士
「うむ、ぎっくり腰じゃの」
井上
「ロボットがぎっくり腰って…」
しげさん
『……面目ない。動けなくなっちゃいました』
博士
「いや、いいのじゃ。ロボットであろうとなかろうと、ぎっくり腰は誰もがなるものじゃ。この際ゆっくり休むがよい」
しげさん
『博士、ありがとうございます。こんな私を人間のように扱ってくださるなんて、とても光栄です』
井上
「博士もたまにはいいこと言いますね」
博士
「ロボットにも人権が必要じゃよ」
しげさん
『反省しております。博士を生ごみ扱いして、大変申し訳ありませんでした。博士は生ごみなんかではありません!!』
井上
「あ、よかったですね、博士」
しげさん
『博士は不燃ごみです!!』
井上
「それ、ランクアップしたの!?」
博士
「っていうか、わし、まだごみ扱い!?」
最後までお付き合いありがとうございました。つづきます!!




