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インターハイ編 第一部 選抜編 ⅡーⅡ

しばらく更新できなくてすいませんでした

「ほぉ、転入二日目でその態度か……良い度胸だ。褒めてやる」

「悪いけどこんな遊び(・・)で負ける気はないからよけてください先生」

 和音は突然のあまり、止める事もできずただ唖然としていた。周りの教師陣もそのようで全く動く気配がしない。その空気の中ただ一人動いているやつがいた。

「何勝手にケンカしようとしてんだ?俺も混ぜろよ!?」

 そう言いながら我らがクラスの戦闘狂で問題児の「上風かみかぜ) けん)」が突っかかって行く。彼は今のところケンカは百戦百勝という無敗伝説を持っている。

「悪いなあんたとも戦う気はない。他の奴にしてくれ」

 焔が冷たくそうあしらって立ち去ろうとすると、素早く刀型のSAを展開し道を塞いだ。

「通りたかったら俺の相手してからにしてくれないかな!?」

 そう言いながら切り込む。しかし焔は、それを軽く右へサイドステップしてかわした。

「へぇー、今の切り込みかわせるのか。やるじゃないか」

 先生は呑気にも戦闘を鑑賞している。

「……手加減はしないからな」

「上等だ!!」

 焔と健のSAがぶつかったかに思えたしかし、

「な!?」

「嘘だろ!?」

「有り得ない!」

 その光景に周りの生徒から次々と有り得ないと言う発言が飛び交った。

「ちと驚いたぞ転入生」

「良い振りだったぞ野犬」

 そこには両手で真上から刀を振り下ろしている健と両手でその刃を受け止めている焔の姿があった。

 しばらく刀と白刃取りのつばぜりあいをくりひろげたあとに、二人は同時に後ろへとバックステップをとり距離を置いた。

「初めてみたぞ生の白刃取りなんて」

「こんなの朝飯前だ」

 お互いにそんな事をいいながら全く隙を見せずに見合った。

「よし。できた」

 そう言って焔は虚空から刃渡り二十センチほどのナイフを取り出した。

「ちゃちなSAだな転入生」

「バカにできるのは今のうちだ野犬」

 和音はあれが何なのか一目でわかった。

(あれは、錬成!?確か、周りのSAから物質を生成する高等技術のはず……一体とこで?)

 そんなことを考えている間に戦闘は動いていた。

 始めに動いたのは焔だった。身を低くして素早く接近して、ナイフを突き出した。それを怯むことなく健は刀ではじきとばそうとして、思いっきり横へはじいてそのまま切りつけようとしたが、思いっきりやったせいもあり、焔はその流れに逆らわず右へ回避した。

「ちっ!!」

「はっ!」

 二人の小さな気合いの声と共に再び刀とナイフがぶつかりあい、金属同しがこすれて火花散り、再びつばぜりあいを繰り広げ、その後またもや刀とナイフの火花と、かん)高い金属音が鳴り響く。

 その様子を見てか周りのテンションも上がってきたようでそこらじゅうから「いけいけ!!」「負けんな転入生!」「右だ健!!」などと言った歓声が飛び交い始めた。

 そこでようやくあの先生を除く、他の教師が動きだした。

「坂本先生!彼らを止めてください!」

 その呼びかけに先ほどの女教師、「坂本さかもと) 龍子りょうこ)」が教師陣を睨みつけ

「うるさいので黙っててください」

と言い放ちその場は再び凍りついた。

 二人の戦闘はさらに激しさを増してぶつかりあった。均衡しているかのように見えたその戦いは、焔が健の鳩尾にいれた一発の拳と共に幕を閉じた。

「すぐに、医務室へ!」

 そう言って白目を向いた健は保険医の先生と担架を持つ数名の生徒と共にソーサラーフィールドを後にした。焔は心配する様子もなくその場から立ち去ろうとしたが一人の影、龍子によって塞がれた。その手にはゆうに二メートルはあると思われる大刀が鞘に入った状態で握られている。

 それを見た焔はバックステップで距離をとり、再びナイフを構えるが

「悪いがその程度の錬成で作った鋼で防げるほどやわではないぞ?」

 そのセリフが言い終わるのと同時に焔は手からナイフを消した。

 そして背中に手を持って行きその手から自分のSAである淡い紫色の剣を出した。

「え?あれがSA?じゃあ、さっきのは一体……」

「なになに?錬成って?」

「たしか、空中のSPから物質を作り上げる高等テクだったはず」

「何なんだアイツ!?」

 よりいっそう周りの声が高まる。先ほどとは打って変わり今度はほとんどが疑問の声だった。

 焔は汗を一筋かきながら龍子をすきのない構えで見据えていた。

「どうした?切り込んできたらどうなんだ」

 龍子の声が焔を刺激したのか焔は一直線に突っ込んで行き剣の切り上げを放った。

「……バカめ」

 龍子はそうつぶやいてから見えないほどのスピードで居合いギリを放った。無論剣は折られその体に届くはずだった(・・・・・)

「簡単に終わるかよ」

 しかし、体は無事でそのまま突っ込んできている。そこで龍子は驚きを隠せなかった

(まさか、剣をはじかれるのを覚悟のうえでこちらの居合いをそらすためだけに剣を振り抜いたと言うのか!?)

 そして、待ってましたと言わんばかりの顔と共に左手からもう一つの黒い剣を出して斬りつけた。

 だが、斬られたのは龍子ではなく、焔のほうだった。

「悲しいがこれが生きた年の長さの差だ」

 そのセリフと同時に焔は気を失いその場に倒れてしまった。

 こうして、この騒動は幕を閉じた。


◇◆◇◆◇


 俺の意識が覚醒したときに真っ先に目に入ったのは白い天井だった。

 痛い腹を押さえながら起きあがるとそこはどうやら保健室のようだ。

「あ、起きたんだ。お疲れさま」

 あ、和音だ。両手に水を持っている。片方のくれないかな~

「はいこれ。焔のぶんね。」

 本当にくれた。お礼いわないと

「ありがとう」

「ところで調子は大丈夫?吐き気とかない?」

 調子?そんなの絶好調……って、あぁ。さっき謎の先生と戦ったんだっけ?

「大丈夫。快調だ」

「そう?ならよかった」

「そうそう、俺あの後どうなった?気絶してたのか?」

「うん。きれいに燕返しくらって気絶してたよ」

 ツバメガエシ?なんだそれ?

「ツバメガエシってなんだ?」

「刀の技の一つで一度斬った刀を切り返して同じように斬りつける事のことだよ」

 へぇー、そんな技があったのか。もっと勉強しないと、

コンコン

 ん?ノックか。とりあえず中に入れるか。ここは学校だから危険な人間はこないだろうし

「どうぞ」

「失礼する!腹の具合はどうだ中条?」

 前言撤回。先ほど人のこと気絶させた大刀Tがやってきた。 

「龍子先生!保健室では静かにしてください!また武蔵先生と明智先生に怒鳴られますよ」

 つっこむのはそこじゃない。

「おぉ、すまんすまん。次気をつけるよ」

 とりあえずなにしにきたかだけを

「あ、中条。心配しなくていいぞ。ただ見舞いにきただけだ。うん、見舞いに来ただけだ」

 予想されていた!?……顔にでもでてたかな?

「それじゃ、お大事にな中条」

 ……みやげもなしにでてきやがった。何か持ってくるのが礼儀じゃないのか?気絶させた張本人なんだし……まぁいっか

「それじゃあ私も行くね立てるようになったら電話頂戴」

 ちょっまて、!おい……人の話し聞いてから出てけよ。もういい、かけてやる。なんと手頃にお金をいれたら電話をかけれそうな代物が

プルプル…プルプル

『焔、ふざけてんの?』

『人の話しを聞かないででていくやつが悪い』

『……そうね』

 あ、戻ってきた。これでやっと帰れる


◇◆◇◆◇


「今日は買い出しとかないのか」

 焔が和音に話しかけると頬を膨らませながら

「べーつーにー」

 とふてくされているような声で返事を返した。

 焔はきょとんととしながらも後ろについて行く。

 ついて行くと普段の商店街へ向かい様々な店を時に覗いたり、時に眺め、時に値切りしながら焔の滞在先の和音のおばあちゃんが住んでいる山へと向かっていった。


 家に着いたときには日もすっかり暮れていた。時刻はすでに七時半をまわっている。

「急いでごはんしたくするね」

 和音はそう言い残すとキッチンの方へ消えていった。やることのなくなった焔は自分の部屋へと足を向けた。

 部屋には布団と木製の机しか置いておらずその他にはなにもない殺風景な光景が広がっていた。

(リーナやアリスがいたらなんか言われそうだな)

 そう思い焔は庭の木から少し大きめの枝を切り落として部屋の中に持ち込み、あらかじめしいてあった新聞紙の上にそれを置いた。

 そしてSPから木を削ったりする工具を作り出し、削りはじめた。


 それから二日がすぎたころ、机の上にはかわいらしい耳が上にピンとのびた兎がのっかっていた。

──────そして代表者決定トーナメントの火蓋が切って落とされた


 続く

誤字脱字あったら教えてください。よろしくお願いします


by音無

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