別世界のお話し(1)
一、とある赤い髪の少女
「ちょこまか逃げるな!!」
「キャウン!!」
この日は、迷子の犬を探すと言う依頼を受けて私、アリス・ローゼは頑張っていました。
……というかこの子犬カワイイ顔してとんでもないことしてくれた。
なにせ新調したお出かけ用の靴におし○こかけたんだから!
必ず捕まえてクリーニング代稼いでやるんだから!!
──────十分後
こいつ、すばしっこい!!この魔王討伐にも尽力した私がここまで追いかけても捕まらないなんて…………
油断できない!
ここは一旦杖を取りに戻るべきね。そうと決まればGPSの発信機を…………あれ?おかしいな持ってきたはず何だけど、あれぇ?
鞄をひっくり返しても…………ない。ここは思い出して見ましょう。まず今日は服とか買いにやってきて…………あ。これ仕事用じゃなかった。
仕方がない。やっぱり地力で……っていない!
「しまった!見失った!!」
辺りには………ダメねもういない。
「もぉ!どこにいったのよ!!」
……そして私の時間は流れていった。
◇◆◇◆◇
二、とある金髪の少女
あぁ。今日も忙しいなぁー。でも、それがいいんだけどね
えっと……そうそう次はお洗濯した服干さないと。
しわを伸ばして物干し竿に……よいしょ!フゥ……胸重いなー。またおっきくなったのかな?
ジリリリリ ジリリリリ
あらまぁ、電話。急がないと切れちゃう。
「はい。どちら様でしょうか?」
「どうもお久しぶりです。リーナさん。マグヌスです」
「どうも、マグヌスさん。お久しぶりです。今日はどのようなご用件で?」
「実は…………」
◇◆◇◆◇
三、とある栗色の髪の少女
その日は気持ちいいくらいの晴れだった。私はとある小さな村に訪れていた。そこには私の育った小さな教会があり、今回近隣の村々と合併する事になったので最後のお別れをしに来たのだ。
レンガ造りの家が数件立ち並ぶ本当に小さな村で農作物を作り人々が暮らしている。
私は村長(今年で一〇七さい)に挨拶してから、教会へ向かった。
教会は私がいたころとちっとも変わらずに、小さくながらも堂々と十字架を掲げそこに建っていた。
中に入ると中は綺麗だったが、イスや装飾品がすべて持ち出されており、ただ広い空間が広がっていた。
少し寂しいな……そう思いながら私は立ち去ろうとした。その時一羽の鳩が唯一割れていた天井の天窓から直滑降で飛んできた。……危ない奴だ。
しかも、よくよく観察するとリーナの出はないか。一通の手紙を持っていたので私は広げて見た。
どうやら、とても大事なことがあるので、大東連合の蒼穹城に来なさいとのことのようだ。……仕方がない。直接向かうと手紙で伝えることにしよう。
「じゃ、頼んだよ。」
そう言ったのを聞いて鳩は開けた出入り口からその小さな羽を羽ばたかせとびさっていった。
では、私も向かうとしよう『蒼穹城』へ…………
◇◆◇◆◇
四、そして三人は集う
「奇遇ね。まさか全員同じタイミングで同じ門の前につくなんて」
赤い髪の少女が言った。
「確かにそうですね。でも、私とアリスは一つ屋根の下で暮らしてるんですよ」
金髪の少女が言った。
「…………早く中に行こう」
栗色の髪の少女がつぶやいた。
三人は使用人に案内されてある大きな扉のある部屋へやってきた。中にはいると色々な機械が所狭しと並んでおり壁には、見てるだけで頭が痛くなりそうな大型のディスプレイが置かれていた。
部屋の中心には大型の測定器みたいな機械があり、物の出し入れをするためにあるであろう小さな窓からは、彼、中条 焔が残した置き土産(または遺品)のどこからでも通信ができる十字架のペンダントがあった。
「で?わざわざ私たちを呼んだ理由をお聞きしたいのですがよろしいでしょうか?」
アリスがそう問いかけると、マグヌスは一度だけうなずいて話し始めた。
「単刀直入に言うが焔は生きている」
「「「!!?」」」
予想だにしないそのセリフに全員が驚き目を見開いた。
「実際にはこの十字架の解析をするために図書室で古い文献とかを漁っていたら隠し部屋をみつけてね。その中から探してたら別世界なる文献を見つけたんだ。そこには校書かれていたよ」
白光に包まれ天に導かれし者異を越えた世界へ行くであろう
「まさか……偶然でしょ?」
「かもしれない。だから裏付ける証拠を見つけたよ」
そしてマグヌスは一冊の古びたノートを長い白衣の懐から取り出した。
「それは何ですか??」
リーナがもっともな質問をする。
「異世界への生き方と帰り方がまとめられたノートだ。……あまりにも古くて解読に時間が掛かるができないことはない。あと一日もあれば完了する」
「で?私たちに何をしろと?」
アリスがそう聞くと歩きながらマグヌスは話し始めた。
「それでだ。君たち三人に異世界の偵察をしてもらいたい……もちろん任意だけどね」
そして、こちらの顔色を伺ってきている。
三人も一度だけお互いの顔を見合わせてから
「もちろん行くに決まってるでしょ!」
「アリスが行くなら私も!」
「ホムホムに……会う!」
それを聞いたマグヌスは手を一度叩き
「よし!これより異世界への転移魔法の発動始める!いいか、失敗は許さん……なあに、リハーサルどうりやれば問題ないさ。ほら動け」
と、声を張り上げながら忙しく動き始めた。
◇◆◇◆◇
──────一日後
研究所の様子は昨日とはうって変わり巨大なカプセルが出現した。高さは十メートル以上あり、横幅も十分で、五、六人は余裕で入れそうな広さがあった。三人は驚きながらも何のためらいもなく同じカプセルに入りこむ。
「覚悟はいいかい?」
「えぇ」
「もちろんです!」
「……いいよ」
マグヌスが手のひらサイズのリモコンのスイッチを押すと、マグヌスから乗り込む前に渡された十字架のペンダントがそれぞれの石と同じ輝きを放ち始め、瞬時に三人を包み込んだ。
「君達の帰還心より待っているよ」
その言葉を最後に三人は光の粒となって空間を飛び越えた。
──────二○XX年 国立広島能力科高等学校敷地内
ここの警備員の津田 村正は「校内に白い大きな光が落ちた」という通報を住民から受けて重いからだにムチを打ち、急いで現場の実習室に向かっていた。
警備用のパスワードを使い、扉のロックを開けるとそこには三人の少女達が目を回してその場に倒れていた。
(ここの生徒……なのか?だが、しかし時間外実習の申請なんて私は承ってはいないのだが……)
そこへ、もう一人の女子が入ってくる。振り向くとそこには一部から「ロリ校長」という不名誉なあだ名を付けられたら身長百四十四センチの和田 遥香が立っていた。
「なぜこちらに和田校長先生が??」
「おう、気にするでない。そこにいる客人を迎えに来ただけじゃ」
「……こちらの方々が客人と?」
津田は目を細め、目つきも悪くして訪ねてみるが
「うむ。いかにも彼女らだ……とりあえずこれを受け取りたちさるがよい。」
そう言って和田は白い封筒を受け取った。中を確認してみると五万円ほど入っていた。
つまり、口止め料と言うことだ。
「……わかりました。では事故として片付けておきます」
「すまんのぉ。たのむよ津田君」
その後、津田は鍵だけ渡してその場から立ち去った。
「さて、こちらは家につれて帰るとするかのぉ」
そして、彼女は彼女しか未だ使う人がいない能力を行使し彼女達と共に霧のように消えていくのであった。
◇◆◇◆◇
午前七時のとあるニュース
─────只今ニュースがはいりました。
国立小笠原能力研究センターで世紀の大発明がありました。
なんと、能力行使による人へのダメージを痛覚と疲労感へと変換するシステム……名付けて『ラグナロクシステム』が完成したとのことです!
さらに、すぐさま来月に行われる全国能力者戦闘競技大会の方にも導入がきまっており、…………
このニュースは瞬く間に全世界へ知れ渡ったという。
続く
いつものように誤字脱字あったらおしえてください!
byちょっとユーザー名変えた音無&島風