第六話 今の日常
すいません。インフルエンザBで寝込んでましたm(_ _)m
予備を投稿する間もありませんでした。まだ本調子ではありませんが頑張って行きます。
夜明け前、ヴァンパイア達の眠る頃。
「おやすみ、アリシア」
「はい、おやすみなさいご主人様」
その時間にアリシアは眠る。
「おっと日が出る前に水やんなきゃ」
前回、魔法の練習中に吹き飛んだ庭は責任を持って自分で直した。今は花壇を作ってバラの花を育てている。なぜバラの花かって? 屋敷に置いてあった種はそれだけだったからだ。
「大きくなれよ~」
こういう時にヴァンパイアの筋力はかなりありがたい。水を多く持っても全く問題ない。
「うっ、日が出てきた」
昨夜はアリシアと遅くまで本を読んでいたせいで寝るのが遅かった。そのせいで水やりが遅れてしまった。ヴァンパイアな俺は日に当たってしまうと肉体的な能力が大幅に下がってしまう。
「ステータス」
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名前 :佐渡 誠 性別 :男
種族 :吸血鬼男爵
レベル :0
能力値 ▽
HP 400(1000) MP 1500
筋力 15(120) 魔力 90
体力 12(90) 知力 100
俊敏 22(45) 精神 110
器用 10(11) 運 2
スキル ▼
称号 ▼
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「日中の能力低下が半端ないな、まあ夜は完璧に無双出来るんだが日中襲われたら死ぬなこれ」
「大丈夫です。ご主人様。日中は我ら使用人がご主人様をお守りしますよ」
「……信じらんないぐらい完璧な執事になったよな、お前。これが執事の仕事かどうかはさておき」
我が家の執事、バアルが水やりを手伝ってくれる。
召喚した次の日から急に口調が変わり、家の使用人を纏めてくれている。他にも今の様に色々細かい所で気を使ってくれたり、なかなかいい仕事をする。
「前から気になってはいたんだが急に口調とか変わったがそれは演技なのか? そうは見えないんだが」
「これは存在を書き換えたんですよ」
「存在を書き換えた?」
「ええ、我々悪魔は高位の精神生命体ですから意志さえ強ければ存在すら変えられるのです」
「…もしかしてお前凄い悪魔?」
「いえいえ、ただ神代から生きているだけの老いぼれですよ」
「神代って何!? 俺凄い悪魔召喚しちゃった!?」
「そうですよ? ご主人様が召喚した際かなりの魔力を使って下さったおかげで私の様な高位の悪魔でも召喚できたのです。メルも中位悪魔の中でもけっこう上位の方ですよ」
どうやら俺は良い召喚をしたらしい。神代ってなんですか神様。この眼チートです。ありがとうございます。
「そうそう、ご主人様。身勝手ながらお願いがあるのですが」
「なんだ? かしこまって」
「はい、料理が出来るものを用意して欲しいのです。さすがに私でも料理の事までは知識が無く、サキュバスは夜以外の事は基本的にダメですので」
「めんどくさいし屋敷の使用人全部悪魔で揃えちゃおうか」
水やりも終わり一息ついた所で悪魔召喚の準備をする。
「『来い、料理できるやつ!!』」
最近は悪魔の召喚になれてきてそんな適当な詠唱で悪魔召喚が出来るようになってきた。
「私を召喚したのはお前か。望みはなんだ、報酬はお前の魂だ」
「今、家で料理人を探していてな。料理は出来るのか?」
なんとなく悪魔を召喚する時は偉そうな態度をとってしまう。何故だろう。
「ふっふっふ、そんな事を願うとは。思わずあの世へ行ってしまうほど美味な料理を出してやろう」
「そうか、なら『ルトマ・ディアボロ・ノーリマ』お前を我が家の料理人長にしよう」
「真名を奪うか、面白い。よし、約束は約束だ。主に最高の料理をご馳走しよう」
なんとなく受け答えにデジャブを感じる。
確かディアボロって言うとイタリアの調理方法だっけ? 食べた事がある気がするな。
「彼が我が家の執事のバアルだ。言う事は聞くようにな」
「わかりました」
「宜しくお願いします。ディアボロさん」
後は適当に下位の自我の薄い悪魔をディアボロに部下として与える。
「ご主人様、このレッサーデーモン共は?」
「こいつらに料理を教えろ、きっと面白い事が起こる」
「わかりました、ご主人様に付いていけば面白い事が見れそうですね」
こいつも急にしゃべり方が変わった。悪魔って凄いな。
その後、日中は魔法の修行を行う。身体的な能力は低下するが、魔力などは低下しないのでありがたい。なので日中は魔法の修行を行う。俺はアリシアの指導を思い出しながら修行を始める。
時は数日ほど時間をさかのぼり、庭を吹き飛ばし、ファイヤーボールで懐かしのネタをやった翌日になる。
深夜、夜暮らすものの昼。魔法の修行を再開する。
「ご主人さま。基本は覚えましたね。もう教える事が無くなっちゃいますよ」
「いやいや、基本的な事は本に書いてある通りだしアリシアの教え方とその本の理論が良いんだよ」
「本に書いてあることがそのまま出来たら苦労しません。それは天才の言い分です」
魔法書に書いてあった通りにやっただけだから誰でも出来ると思うのは間違いなのだろうか?
最近はアリシアも気楽な感じで話してくれるようになった。
「次は属性魔法などになりますね。普通の魔法使いは火水土風の四大元素魔法から覚えるらしいですよ」
「昨日のファイヤーボールとかの?」
「はい、属性魔法と呼ばれていてるものの中でも基本となる四つの魔法がそう呼ばれています」
「それは本にも書いてあったな。そこで気になったんだが雷の魔法はないのか?」
様々な魔法書を読んだが、樹や氷、神聖や暗黒などかなり豊富な属性魔法があったが雷は無かった。
「雷の魔法は勇者様の使う魔法です。雷は神様の怒りを現しているそうで伝説の勇者様が魔王討伐の際にも使用したそうです」
「この世界には魔王もいるのか」
「はい、でも伝説の勇者様が討伐した魔王は大魔王と言われ何と魔王を何体も従え世界を滅ぼしかけたんですよ」
「ん? と言う事は魔王と言うのは何体かいると言う事か」
「そうです、魔王は災害と言っても過言ではないほどの脅威で、不規則にあらわれるのでどういった条件で魔王が生まれるかは分かっていません」
「魔王が現れた時はどうするんだ?」
「基本は成長する前にランクの高い冒険者等に討伐して貰いますね。ですがそれで手におえない場合は最悪勇者様を召喚します。勇者様の召喚は本当に最後の手段です」
「話に出てきたが冒険者もいるのか?」
「はい、冒険者ギルドというものがあってそこに登録している者を冒険者と言います。傭兵と似たようなものですね」
よし、落ち着いたら冒険者にもなってみよう。面白そうだ。
「そうか…、話がそれたな魔法の修行を始めよう」
「はい」
俺はその後、順調に四大元素魔法を習得しアリシアを驚かせた。
思い出すのをやめ今日の予定を決める。
「よし、今日は四大魔法以外の魔法行ってみようか」
俺はまず氷の魔法を習得しようと思う。魔法習得の方法は二つあり、一つは火魔法を習得した時の様に魔術を詠唱しスキルを覚える方法。もう一つが今回行う方法で使いたい属性の物をを魔力で操って行く方法。
まずはコップ一杯の水を用意する。そこに魔力を流しながら水の分子がとまって行く事をイメージする。これは理論的な考えの方が俺の場合やりやすいと思ったからだ。ちなみに風魔法の時は扇風機をイメージした。
ポーン スキル『氷魔法』を得ました。
「よし、バンバン魔法をとって行こう」
次に影に向かって魔力を流していき影を動かす事をイメージする。これはかなり大変だ。どんどんMPが減って行く。かなりのMPを消費してやっとのことでスキルを手に入れた。
ポーン スキル『空間魔法』を得ました。
スキル『影魔法』を得ました。
ん? 空間魔法? なんでだ?
そう思い影魔法を鑑定する。その結果分かったのが影魔法の空間魔法を含む魔法を発動しようとしたため空間魔法も同時に手に入れたらしい。先ほど注いだ魔力はその分アイテムボックスとなっておりそのぶんの物を入れられる。今度ステータス画面に組み込もう。
さて、最後は本命の雷魔法を目指してみる。雷はつまるところ電気なので電気に魔力を流せば手に入ると思う。今回の為に森を必死で探し回ってウサギを捕まえている。ちなみに俺ではつかまらずバアルに隣の森まで行ってもらってやっと捕まえられた。
さて、今回やるのは科学の授業でもやった静電気の実験だ。うさぎのさばき方などは知らないのでこれもバアルに教えて貰いながらやった。バアルは多才だ。長年生きているだけある。
ウサギの皮と銀のナイフをこすりあわせ離す瞬間に魔力を流す。
失敗だ。銀はこの世界だと魔力を通しやすいらしくそっちに魔力が行ってしまった。次は気をつけよう。ちなみにヴァンパイアな俺は銀製品にさわると痛い。なので早く終わらせたい。
再度ウサギの皮と銀のナイフをこすりあわせる。さっきと違う皮とナイフだ。何度か失敗するが繰り返す。
ウサギの皮とナイフをこすって…離す瞬間魔力を流す。
ポーン スキル『電気魔法』を得ました。
成功かな? 他にも覚えたい魔法はあるが影魔法のせいであいにくMPが心もとない。
暇だ。今は昼を過ぎたぐらいだが昼ごはんも食べ終わってやることが無い。昼はディアボロがウサギのディアボロ風と言う辛味の効いた焼きウサギを作ってくれて食べたが美味しかった。ヴァンパイアだから食事はあんまり必要ないんだが美味しい物は良いな。
取りあえず食休みも終え何をするか迷っている。戦争が始まっても戦いが無いとすることが無い。死体を死霊術で操るのは良いがその死体が無いとそれも不可能だ。
「とりあえず、バラでも愛でるか」
娯楽の少ないこの異世界。する事が無いのでバラの育成に手をかけている。水はもうやったので悪い虫がついてないか確認するだけだ。
「悪い虫って俺は娘を心配する父親かって、ん? 『カメムシめ、燃えろ』」
カメムシが悪い虫かどうかは知らないが臭いので燃やす。ちなみに「カメムシめ、燃えろ」が詠唱でバラに一切の傷をつけずまた、臭いも残さないほどの火を出した。こげてないかくきを確認する。
「これで良し、っ痛い」
くきに傷が無いかバラのくきを撫でたらとげに当たってしまった。人差し指の先から血がにじむ。以外に傷は深く血が滴る。
「自分の血は美味しくないんだよな、取りあえず実践だ。『ヒール』」
折角なので光魔法の回復魔法を試してみる。詠唱は省略だ。
ポーン スキル『光魔法』を得ました。
ふと思ったが闇の眷属っぽいヴァンパイアが光魔法とか使えていいのかな?
「まぁ、傷がふさがればいいか」
バアルはバラの刺抜きを提案したが俺は却下した。やっぱり綺麗なバラにはとげがあるべきだと思う。
こんな風に今の日常は過ぎて行った。