第五話 エルフの国
私の名はイリス・ファルーン。森の民エルフ族の族長の娘だ。エルフは他種族が大災害と呼ぶ災害の前はそれなりの数が生きていた。だが大災害時に勇敢なエルフの戦士たちは殺され元々繁殖能力の低いわれらエルフはあれから数をさほど増やしていない。今は精霊樹を囲むように集落を築いている。そしてあの大災害から100年目。精霊樹様から天啓を授かった。その内容は再びプレイヤーが生まれ世界には混乱と大きな進歩が起こり私がプレイヤーの一人、王プレイヤーとなるらしい。私は王には私ではなく我が父ルーファス・ファルーンこそがふさわしいと言ったが父は高齢でとても戦えないそうだ。王プレイヤーとなった者は世界を征服する権利があるらしい。そのために卑しい人間どもは戦いを始めるだろう。それに対して我らは一致団結し森を守らなければならない。
私の名前はクリス・ファルーン。森の民エルフ族が大災害の呪いをその身に受け、ダークエルフへと変化した者たちのまとめ役だ。大災害時に勇敢に敵に立ち向かった戦士達の生き残りだ。我々は敵に立ち向かったがその圧倒的な力の前に屈し、その身に呪いを植え付けられた。その呪いのせいで同族であった者たちに忌み嫌われ矢を向けられた。そんな私たちにも精霊樹様は天啓を下さった。その内容は混乱と進歩の世が訪れプレイヤーがまた生まれるとの事。そして私の娘達がダークエルフをまとめる王プレイヤーとなること。娘たちは襲い掛かってくる敵から身を守り、生き続けなければならない。あの大災害の真実を伝える為にも。
俺の名前は佐渡 誠。昨日まではのんびりと魔法の修行をして称号に<魔の理を知りし者>なんて称号があったら良いなーっていうくらい魔法の腕が上達したのは良いんですが厄介な事が起こりました。昨日の朝方、隣国のグライト王国が魔導王国メルスタに宣戦布告をしたんです。それに魔導王国メルスタは応戦するどころか逆にグライトをその配下に収めてやるなんて挑発をしました。そして俺はならば二つの国を手に入れて見せるなんてアリシアに言ったら…
ポーン 隣国 エルフの里 が グライト王国 魔導王国メルスタ の二国へ宣戦布告を行いました。
ポーン 隣国 ダークエルフの里 が グライト王国 魔導王国メルスタ エルフの里 の
三国へ宣戦布告を行いました。
ポーン 隣国 エルフの里 が ダークエルフの里に応戦します。
隣国 グライト王国 が エルフの里 ダークエルフの里に応戦します。
隣国 魔導王国メルスタ エルフの里 へ停戦の訴えを送りました。
増えてる、手に入れる国増えてる。
「…アリシア、大変な事になったぞ」
「グライトとメルスタの戦争以上に大変な事なんてあるんですか」
「あぁ、それ以上だ。森の中のエルフの里って言う国とダークエルフの里って国が他の三国に対して宣戦布告してそれをメルスタ以外の国が応えた」
「……………」
「おーい、大丈夫かアリシア」
「はっ! 大丈夫じゃないですよご主人様、森のエルフなんて大災害以降見つかってませんよ。精霊樹の森に居るかもしれないとは言われてましたがもう伝説に近い種族ですし、ダークエルフなんて聞いた事も無い種族です」
「大丈夫だ。ダークエルフについては少し覚えがある。でも大変なのはそこじゃない。俺らの居る場所だ」
以前魔法の修行中、魔力加減を誤って空を飛んだことがあった。そう、漫画なんかでキラーンと言う擬音が付く感じでだ。その時に屋敷を中心に北西に現実じゃあ考えられない様な大きな木。南西に大きな城のある国。南東に南西の城とは違った城のある国があった。
「と言う事はその四国の中心がここだって事ですか!?」
「面白い事にそうだ」
「面白くなんかありませんっ」
「なんでだ? 少しめんどくさいが一気に四つもの国が手に入るんだぞ? 面白いじゃないか」
「…そうですね、四つも国が手に入るんなら面白いですね…」
アリシアは何処か冷めたような目でこちらを見てくる。やめてくれ、俺にそういう趣味はない。
「それじゃあ俺は本読んでから寝るからアリシアは先に寝てろ」
「はい、おやすみなさいご主人様」
アリシアは綺麗な礼をして寝室へと向かっていく。アリシアには本を読んだら寝ると言ったが最近はほとんど寝ていない。やりたいことが多すぎて眠る暇がないのだ。アリシアが寝室に向かったら日課の読書を始める。基本の魔法関係の本は読みつくしたが死霊魔術の本を使いながら実践してみる。
まずは裏のお墓へ向かう。日本にいたころには死んだ人の安眠を妨げるなんてなどと思っただろうが今はそんな事を考えていない。今まで読んだ本に魔物は自分の欲望に忠実だと書いてあったが俺の場合は知識欲が強いようだ。
「死者の骸よ、我が前に立ち我が敵を討ち倒す兵となれ」
『創造骸骨兵』
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種族 :骸骨兵
隷属 :佐渡 誠
レベル :1
能力値 ▽
HP 150 MP 10
筋力 18 魔力 5
体力 ∞ 知力 8
俊敏 18
器用 1
スキル ▼
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「能力的には微妙だな」
ステータスにある各能力だが一般的な村の男どもが大体の能力で平均7~9程度だった。HPは90~120程度だった。これを見て判断するにこの骸骨兵は普通の男の倍ほどの力を持っていて知力もそれなりにあることから簡単な仕事なら命令通りこなしてくれるだろう。だがレベルアップのあるこの世界では兵士はもっと強いだろう。やはりこれでは少し不安が残る。
「まぁ、その兵士たちをスケルトンにしてしまえばいいか」
次に呪文の実験を行う。
「死者の骸よ、我が前に立ち我に仕える騎士となれ」
『創造骸骨騎士』
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種族 :骸骨騎士
従属 :佐渡 誠
レベル :1
能力値 ▽
HP 220 MP 20
筋力 40 魔力 10
体力 ∞ 知力 18
俊敏 25
器用 9
スキル ▼
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「魔力はそれなりに必要だがこっちは結構強いな。これを騎士団のスキルと掛け合わせれば」
血を吸って陞爵した際に手に入れた『眷属騎士団』のスキルは自分に属する者を騎士として部隊を作れるスキルであった。一見使い道がなさそうだが騎士団内である程度の意志伝達が出来るので指揮がしやすくなる。また、他の場所で眷属として再召喚する際の必要MPが減る。これは地味に嬉しい。
「これで詠唱の言葉を変えれば効果が変わるとわかったが、骸骨騎士一体にこれだけの魔力をとられるとなると今の魔力だとつたないな」
確かにアリシアが普通の魔術師じゃ数体が限界と言っていたがその通りだ。けれど俺は普通じゃない、ヴァンパイアっぽさの為なら悪魔とだって契約するぜ。
「よし早速悪魔と契約しよう」
俺は『悪魔召喚の方法100選』の中で血を代償に召喚するタイプの召喚陣を使用する。この召喚使用する血によって効果が変わるらしい。取りあえず俺の血を一滴使用し召喚してみる。
「よし、『来い』」
俺の言葉に応える様に魔方陣が光、悪魔が召喚された。召喚陣はアリシアの使用した物を少し改造し、召喚に必要な物を人から血へ変えた。ちなみにアリシアの作成した魔方陣は不完全で、そのせいで悪魔が魔方陣の外に出てしまった。普通は召喚陣の外側にそこから出られないようにする魔方陣を描くのだがアリシアはそれを知らなかったらしい。
「私を呼んだのはあなた?」
召喚陣から現れたのはこの世の物とは思えないほどに美しく、今すぐにでも押し倒したいと思うような妖艶さを持つ悪魔だった。服は大事な部分が見えるギリギリで危うく、後少しでノクターン行きだ。
「ねぇ、あなた? こんなところじゃなくてお部屋に入れてくれないかしら? そこで良い事しましょ」
「すまないが魔方陣から出すことは出来ない。今でさえ襲おうとするのを我慢するので手一杯だ」
俺が召喚したのは淫魔、サキュバスと呼ばれる色欲の悪魔だ。どうせ召喚するなら美女が良いと思ったがこれは危険だ。特にあの巨大な双子山が…。
これ以上は本気で危険なので鑑定の魔眼を使用して真名を奪う。
「『アルマス・メル・キュバス』、俺の物になれ」
「な、なんで真名を知ってるの、やめて、お願い」
「やめるも何ももう俺の物だろ、取りあえず血を吸わせろ」
俺はアルマスを召喚陣から連れ出し、彼女の首筋に噛みつく。
「んっ…吸血鬼だったのぉ…」
「ああ、もうお前は俺のものだ」
首から牙を抜き、耳の近くでそうつぶやく。
ポーン スキル『魅了の魔言』を手に入れました。
なんかスキル手に入れちゃった。『魅了の魔言』って『鑑定の魔眼』の口バージョン?
「ご主人様ぁ、私はご主人様の物です。ご命令ください」
「あ、ああ魔法を使う際にMPを分けて貰う。普段はこの屋敷の掃除などの手入れをしていてくれ。これからお前の部下も召喚するつもりだから取りあえず今は屋敷の中の確認をしてきてくれ」
「わかりました、ご主人様ぁ」
……すごい、これは凄いぞ。『魅了の魔言』恐るべし。早速サキュバスを召喚しまくろう。やっぱメイドは美人に限るよね。
俺はそれからメルを除く19体のサキュバスを召喚した。
「個々のばらつきはあるけどMPは平均1200くらいか、10体で12000か」
ポーン スキル『算術』 を手に入れました。
「今ので算術になるのか。なら」
地面に足し算、引き算、掛け算、割り算と適当な計算を書いていく。
ポーン スキル『算術』 がレベル8になりました。
「取りあえずこれ位で良いか。良し、メイドさんがいるなら次は執事だよな、うん」
『悪魔召喚の方法100選』の中でそれなりの強さの悪魔を召喚できる魔方陣を探していく。
「よし。『来い悪魔よ』」
「…わしを呼んだのはおまえか」
召喚に応えた悪魔はどこか神々しくもあり自分とは比べる事もないほどの力の壁を感じた。だがそんな事は表情には出さない。あくまで自分が主であることを忘れたりはしないように心掛ける。
「ああ、うちの執事を探していてな」
「ふっふっふ、面白い。わしをそんな目的で呼び出したのはお前が初めてだ。わしを従えさせられると言うならばやってみろ。その時は大人しく執事として最高の仕事をしよう」
「その言葉、忘れるなよ? 『ヤグルス・バアル・マイム』」
「ほう、真名を奪うか。考えたな。よし、我が主よ、わしは主に従おう」
「取りあえずは普通に屋敷の世話をしていてくれ。もう少ししたら戦争が始まる。その時には力を貸してもらおう」
「ほう、戦争か。プレイヤーでも現れたのか?」
「ああ、だからこれから戦争が始まるんだ」
「主も戦うのか?」
「ああ、俺の国の周りの四か国相手にだ。丁度中心がここになってその周りに四つも国がある」
「ほう、災難だな。我が主よ」
「いや、丁度いい。俺はその四か国全てを手に入れる」
「大きく出たな、作戦でもあるのか?」
「ああ、取りあえず二国なら落とせる、後の二国の為にお前らを呼んだ。エルフの国だやれるよな」
「ふっふっふ、出来るとも。楽しみにしてるぞ。我が主よ」
俺は必ずエルフとダークエルフの国を手に入れる! 人間の国は二の次だ。
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また、今後登場する国についても募集しています。
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なるべく登場させます。こちらの問題で部分的に変更等しますが。それで良いと言う方お願いします。