第四話 吸血鬼の食事
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「ご主人様、ここが一番近い村です」
どうも誠です。今は屋敷から一番近い村に食事に来ています。でも普通の食事とは違う所があります。
「アリシア、お前はここで待ってろまだ人から血を吸うのは怖いだろ?」
「はい、ごめんなさい。やっぱりまだ…」
「大丈夫、気にするな。それじゃあいってくる」
いつもと違うのはまず時間、ただ今、夜十時を少し過ぎたぐらい。時計は無いので正確な時間は分からないが。次に食べるもの。それは人間の血、出来れば処女が良い。書斎で見つけた『吸血鬼の生態』には吸血鬼は処女の血を好むと書いてあった。おそらく処女の血は美味しいのだろう。アリシアも旨かった。
俺は村に入り込みまず村の守衛をやり過ごす。小さい村なので幸い守衛など一人しかいないしレベルも低い。守衛はレベル15だった。そのまま俺は処女の女性を探す。
結果、ほとんどいない。15才を超えて処女の娘は一人しかいなかった。農村の娘って早いね。ちなみに15才を超えて童貞じゃない男はいなかった。14才でも結構なやつらが卒業していた。なんだこれは年齢イコール彼女いない歴の俺に対するあてつけか? まず手始めにこの村を征服してやろうか。
…あぶないあぶない。力が溜まるまではむやみに暴れるべきじゃないな。
取りあえず14才くらいの子から血を吸ってこよう。俺はそう思い村の一軒の家に入ろうとすると微かに入りずらかった。水の壁があるみたいな感じだ。なんだろうか。取りあえずは無視して女の子の血を吸う。生活に支障のない程度だけだ。そんな感じで何人か血を吸っていく。味は全員少し甘い程度でアリシアほど美味しくはなかった。
「よし、帰るぞ」
「はい」
家に帰って来て直ぐにお皿を用意する。スープ皿だ。屋敷にそれなりの数の食器類はあった。その中にあったナイフで手首を深く切る。
「っく」
結構痛い。だがどうせ不死者なんだから大丈夫だろう。
「ご主人様!! 何やってるんですか!!」
「なにって血をとってるんだよ。首から吸うのはまだ抵抗あるだろ」
「だからって、何で腕を切ってるんですか」
どうやら俺の事を心配してくれているらしい、良い子だ。
「大丈夫だよ。ヴァンパイアなんだしすぐ直るよ」
「でも…でも、少しは自分のからだの事を心配して下さい」
そう言って顔をうつむかせる。
「大丈夫だって、それよりも血が乾く前に飲まなくちゃ俺が傷ついた意味がないって」
「はい」
アリシアは血を飲み始める。
「……すごく…おいしいです。ご主人様ぁ」
飲み終えたその顔は上気しておりとても少女とは言えない艶めかしかった。
「アリシア、大丈夫か?」
「大丈夫です。ご主人様ぁ」
アリシアはそう言いながら俺に寄りかかってくる。意外と大きい。何が、とは言わないが。
「ご主人様ぁ、大好きです…」
そう言った直後に彼女は倒れる。何事かと思って彼女を鑑定するとレベルが45に上がっていた。状況から予想するに俺の血を飲んでレベルアップしたのは良いけど急激なレベルアップで倒れた、ってところかな? 取りあえずベットに運んでおくか。
おもしろいことが分かった俺はてっきり魔物を倒してレベルアップするのかと思っていたがどうやら違うようだ。おそらく俺の血を吸血鬼であるアリシアが飲んだ事によってレベルアップしたんだろう。と言う事は俺の血に吸血鬼にとってのゲームで言う経験値の様な物が入っているのだろう。問題は何がレベルアップを促したのかだ。これはおいおい研究して行こう。神様には世界を征服しろと言われたけど研究も面白そうだ。ある程度安定して来たら配下に国を任せて俺は研究に打ち込もう。
俺はそんな事を考えながらアリシアの最後の一言をどうしようか考えないようにしている。あんな可愛い子に大好きだなんて言われたらどうしていいのか分からない。助けて、神様~。
あれから三日が経った。アリシアはあの日の事を血を飲んだあたりから覚えておらず気まずい思いをせずにすんだ。そして今何をしているかと言うと。
「ご主人様、違います。体の中にある魔力を制御して少しずつ出すんです」
魔法の修行をしていた。吸血鬼なんだし魔法ぐらい簡単だろう。魔力もたくさんあるしね。なんて感じで修行を始めたんだがその魔力の量が問題だった。一番初めの魔力を感じると言うのは簡単にできたんだがあまりに魔力の量が多すぎて俺にはコントロール出来なかった。初めの練習の時にはアリシアが直してくれた庭が半分ほど吹き飛ぶと言う結果に終わった。
「そうです、ご主人様良い感じです。そのまま詠唱を始めて下さい」
「わかった。火よ、球となりて我が敵を討て、『ファイヤーボール!!』」
その言葉と共に白い火の玉が空へと飛んでいき、見えない所まで飛んで行ったあと、大爆発を起こした。
「…アリシア、一応聞いてみるが火魔法の初級魔術ファイヤーボールってこんな威力なのか? 魔法使いって凄いんだな」
「な、な、なわけないですよ!! どれだけ魔力を込めたんですか!? 噂に聞く地獄の炎程の威力じゃないですか!!」
あれか、これは地獄の炎ではない、ファイヤーボールだ! とかやるのか? ちなみに地獄の炎とは数名がかりでやる戦略魔術らしい。攻城攻撃魔術だそうだ。
そんな感じで魔力の修行を始めて更に十日ほど、ついに俺は魔力を完全に制御する事に成功した。コツをつかめばすぐに習得でき、今は火・水・土・風の四大魔法を完璧に操るまでとなった。
「ご主人様、習得が早すぎます。私なんて半年間も魔法の修行をしてやっとファイヤーボールが使えたのに」
「そう落ち込むな、今のアリシアならほとんどの魔法が簡単に覚えられるって」
「それはそれでなんか嫌です」
こんな感じで俺とアリシアの関係も落ち着いた。やっぱり神様に、世界を手に入れる人間だ。みたいなことを言われた人に対して距離感が分らなかったらしい。それで変な感じの敬語になってたわけか。
今ではきちんと、これは地獄の炎ではない、ファイヤーボールだ!! もできる。そんな感じで世界征服なんて忘れて魔法の修行をしていると。
ポーン 隣国 グライト王国 が 魔導王国メルスタ に宣戦布告を行いました。
「なんだって!?」
「ど、どうしたんですか、ご主人様」
「いま隣国のグライト王国が魔導王国メルスタに宣戦布告をしたって天啓が」
「え? 大変じゃないですか!! ここはメルスタとグライトの国境に近いんですから。この森の前の荒野でも小競り合いを何回かしているんです」
「お、それはちょうどいい。戦争のいざこざの間に二国とも落としてしまおう」
「落とすって、どうやったら二国もの国を相手に戦うって言う発想が出るんですか?」
「大丈夫、手はある」
そう言って俺は死霊魔術の本を見せる。
「死霊魔術は並みの魔術師じゃあ十数体しか操れないと聞きますが大丈夫なんですか?」
「大丈夫さ俺は並みの魔術師じゃないしもう魔力操作はかなりの腕があると言える。それに」
「それに?」
「ヴァンパイアっぽくてかっこいいじゃないか」
「……はい、そうでしたここ数日でご主人様を理解したと思っていましたが足りなかったようです」
何かアリシアが言ってるが気にしない。取りあえず日も明けて来たし寝よう。
魔法についての説明ですが誠は初めからかなりのレベルの魔法の腕を持っています。ファイヤーボールは詠唱の際に『球となりて』とある様に少ないMPを球の形に圧縮する事でコスパに優れた魔術となっていますが逆に大量のMPを圧縮すると暴発します。また、圧縮し過ぎても暴発するので誠の腕とMPの多さで大爆発となりました。
いつかはこんな説明が要らなくなる作者を目指します。