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第九十七話〜ついに力を取り戻しました〜

 一瞬の視界のブラックアウトと、浮遊感。

 視界が戻ってすぐに目に入ってくるのは巨大なドーム状の白い構造物。そして蛍のように辺りを舞う燐光。少し離れた場所にはセキュリティゲートのような構造物と、それを守る機械兵士が見える。


「ここは……ハーピィの集落の近くの禁足地ね」

「そうですか。ここの名前は?」

「機械兵の駐屯所よ。休憩に都合が良いから休憩所とも呼ばれているけれど」

「なるほど」


 今更といえば今更だが、やはり人を殺めた後はテンションが上がらないな。身を守るためには仕方がないこととはいえ、やはり魔物と違って言葉の通じる相手を殺めるのはあまり気分が良くない。

 俺の顔色から何かを察したのか、エルミナさんが俺にそっと抱きついて背中をさすってくれた。柔らかい身体の感触に包まれ、落ち込んでいた気分が少し上向きになる。


「大丈夫?」

「あんまり大丈夫じゃないですね」


 正直に言う。襲い掛かってきた相手とはいえ、やはり人を殺すのは精神的にキツい。相手がド外道の悪人とかならまだ心も痛まないんだけどな。


「殺したの?」

「恐らく。死体は確認してませんが」


 あれで生きてるなら大したもんだ。もしまた現れたら次こそは念入りに、確実に殺そう。


「そう」


 エルミナさんはそれ以上何も言わなかった。ただ、俺を抱きしめたまま背中を撫で続けてくれた。


「立ってないで、少し休みましょう?」

 そう言ってエルミナさんが俺から身を離し、リファナに目配せをする。そうするとリファナは草むらの上に座り、自分の膝をポンポンと叩いた。


「ほら、膝枕してあげるわ」

「お、おう」


 何か流れるような連携というかなんというか……まるで予め話し合っていたみたいだな。今は難しいことを考えずに黙って膝枕されよう。草むらに寝転び、リファナの膝枕に頭を預ける。リファナの手が俺の頭を撫でてくる。なんだか意味もわからず涙が出そうになった。


「ここに来る前、ひどい顔をしてたわよ」

「そうか」


 黙って撫でられているうちに気分も良くなってきたので、身を起こす。


「もういいの?」

「ああ、ありがとうな」


 いつまでも落ち込んでもいられない。お腹も空いてきたしな。


「あの男何者だったのかしらね。リイの氏族が人間にあんな態度を取るなんて信じられないのだけれど」

「リアルに聞いてみないとわかんないですけど、多分古代人の生き残りだと思いますよ。なんで生きてるのか知りませんけど」

「古代人って、禁足地を作った? 随分長生きなのね?」

「ほら、缶詰拾った施設に干からびた死体あったじゃないですか。多分ああいう感じの装置が上手く機能し続けて冬眠してたんじゃないですかね」

「なるほどね」

「とりあえず、ここなら禁断の園からも随分離れてますし追手がかかることもないでしょう。リアルのやつが擬神格の処理を終えるまで休憩ってことで」

「そうね、じゃあ野営の準備をしましょうか」


 エルミナさんの号令で俺達はすぐに野営の準備を始めた。ストレージからテントを出して設営し、地魔法でかまどや流し台、食卓を作る。流し台は石で作ったタンクから配管を通して簡単に水を使えるようにした。排水も完璧だ。


「なんだか随分器用に魔法を使えるようになったわね」


 テントの設営を追えたらしいリファナが俺がサクサクと流し台や食卓を作る様子を眺めて呟く。


「力が戻ったからな。今なら石造りの家だってものの数分で作れるぞ」


 時間さえかければ城塞だって築けるだろう。建築の専門家じゃないからどっちも雑な作りになるだろうけどな!

 ストレージから調理器具を出しつつ本日の昼食メニューを考える。禁断の園突入後は休憩をする暇もなかったので、実はかなり腹ペコだ。もう完全に昼時は過ぎているしな。


「何が良い?」

「あんまり重くない物が良いわ」

「そっか。んじゃスープとかでいいかね」


 川魚の焼干しで出汁を取ったスープをメインに、果物の缶詰を出してやるとしよう。それに塩漬けのベヘモス肉を適度に塩抜きしてから茹でで、煮豚ならぬ煮ベヘモスを添えるか。多めに作って晩飯に食うなり夜番の夜食にするのも良いな。

 火魔法で火力を出しているかまどに薪拾いから帰ってきたエルミナさんが薪を放り込んでくれる。火魔法で加熱する場合はずっと見てないといけないから、薪があると楽なんだよな。


「鳥を獲ってきたから向こうで捌いてくるわね」

「食える内臓あったら鮮度が落ちる前に持ってきてください。ストレージなら新鮮なまま保管できるんで、夕飯に使えますよ」

「わかったわ」


 エルミナさんが少し離れた風下で既に血抜きを終えているらしい名も知らぬ鳥の羽を毟り始める。リファナはエルミナさんの毟った羽を選別していた。矢羽にでもするのかね。

 そうして小一時間ほど経った頃、俺達はだいぶ遅い昼食をとり始めた。


「お疲れ様でした」

「そうね、色々と疲れたわね」

「タイシくんといると退屈しないわ」


 本当に疲れた様子のリファナと微笑んでいるエルミナさんの表情が対照的だな。即席のマグに入った氷水をまず一口飲み、溜め息を吐く。本当に疲れてる時にはキンキンに冷えた氷水が至福だ。


「とりあえず、状況をまとめましょうか」

「そうね、そうした方が良いと思うわ」

「ええ、お願い」

「今は取り込んだ擬神格の処理待ちですね。あの大層な剣から取り込んだ擬神格は相当力の強いものみたいなんで、大きく前進したんじゃないかなと」


 早速煮ベヘモスをもしゃもしゃとやりながら話す。うん、もう少し塩抜いても良かったかな? ちょっと塩辛いが、これはこれでパンが進む。エルミナさんとリファナはスープから取り掛かるようだ。


「そうだといいわね。あとはリイの氏族かしら」

「ですね。推測の域を出ませんが、古代人の生き残りらしきおっさんとリイの氏族は協力関係……というよりは、リイの氏族はあのおっさんを上位者として敬っていた感じでしたよね」

「そうね。あの気位の高い連中がただの人間に傅くとは思えないし、タイシの推測は多分当たってるんじゃない?」


 スープにパンを浸して口に運びながらリファナが頷く。


「まぁ、そうかもな。やり合ってるときの会話の節々からも古代人っぽい感じはあったんで間違いなさそうだ」

「ところで、あの男はなんでタイシくんに襲い掛かってきたのかしら?」

「ああ、駄神――リアルは旧世界、つまり古代人達を滅ぼした邪神みたいなんですよね。なので恨みつらみが募ってるっぽっかったですよ」


 ちょっと塩辛いが、煮ベヘモスを食う手が止まらない。うーん、この噛みごたえが良いんだよな。ベヘモス肉は。大樹海にもいないのかな? いるなら是非狩りたいところだ。


「邪神って……大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないかな。俺が聞いた旧世界滅亡の経緯を大まかに話すと、古代人達は神々を奴隷化して擬神格って形にして使い潰してたらしくてな、あいつが最後の生き残りだったらしい。まぁ邪悪過ぎるというか力が強すぎて制御できないから最後まで放置されてたみたいなんだが、神という資源を使い潰し続けた古代人は最終的にあいつに手を出して、狂乱したあいつに滅ぼされかけたんだと」

「大丈夫な要素無いじゃない」


 氷水で冷やしてあった果物の缶詰を開封していたリファナの頬が引きつる。


「まぁ最後まで聞けよ。で、その狂乱して世界を滅ぼうとしていたあいつを止めたのが今日見つけたあの剣なんだとさ。正気に戻ったあいつは生き残っていた擬神格持ちの人間を配下として、邪神の本分を捨てて世界の再生に尽力したらしい。本分は邪神なんだが、生き残った本物の神があいつしかいなかったから世界再生をあいつがするしか無かったって感じのことを言ってたぞ」


 スープを口にする。うん、あっさりって感じで良いな。煮ベヘモスが塩辛い分バランス取れてる気がする。


「スケールの大きい話ねぇ。こんなところで今の世界の成り立ちの真実を聞くことに鳴るとは思わなかったわ」

「まぁ本人、本神? が言ってますからねぇ。少なくとも俺はヴォールトやガイナの現物と会ったことがあるわけですし、あいつらの態度から考えてもほぼ真実じゃないかなと……って話が逸れたな。で、話を戻すと明確な敵が増えたってのが現状だな。あのおっさんは――まぁ多分くたばったと思うけど、リイの氏族は俺達を許さんだろ」

「そうね。リイの氏族が自分達の縄張りから出てくるとは思えないけど、事が事だけに警戒はしたほうが良いと思うわ」

「こことリイの氏族の勢力圏は距離的にかなり離れてるから、差し迫った脅威ではないと思うけどね。私達の行方を追えるとも思えないし」


 木製のフォークでシロップ漬けの果物を食べているリファナを見て、俺も冷やしてある缶詰に手を伸ばす。食後のデザートっていいよな。


「転移で飛んできましたからね。ただ、リイの氏族はもしかすると旧世界の遺産を秘匿してる可能性があるんで……何か特別なアイテムで追ってくる可能性もあります」

「そうねぇ、禁足地で発掘される品には特殊なものが多いし」


 先日缶詰拾った魔法拳銃や可変型の魔法長銃も今の時代の魔導具としては多分にオーバースペックな品だ。異常に頑丈な素材のせいで分解もできないしな。せめて分解ができればリバースエンジニアリングでもしてやるところなんだが。


「とりあえず、現状把握はこんなところかな。他に何かあるか?」


 俺の言葉にエルミナさんが手を上げた。


「力を手に入れた先がわからないのは少し不安ね。どうするつもりなの?」

「あー、俺も具体的には把握してないんですよね。神々も一枚岩じゃないみたいなんで、いくらか味方につけて勢力を拮抗させようという方針があるだけです」

「上手くいくの?」

「さて、俺も殴り合っただけだからなぁ。リアルには何かしらのあてがあるようだったが」


 シロップ漬けの黄桃のような果実にかぶりつく。ちょっと硬めの果肉の食感が心地良いな。シロップの甘さに果実そのものの甘みと酸味が合わさって非常に美味しい。

 今のところこの缶詰の消費がダントツで早いんだよな。リファナが特に気に入ってる。


「実質的にノープランに近いなぁ。また殴り合うってわけじゃないと思いますけど」

「まぁ、仮に殴り合ったとして滅ぼすのはどう考えてもまずいわよね」


 エルミナさんが苦笑する。ヴォールト達は本物の神とは言えない存在かも知れないが、実際にこの世界で崇められている存在だ。俺は神殿とは今まで殆ど関わってこなかったが、信仰することによる現世利益もあるらしいのでもし滅ぼしてしまった場合はそういうものが無くなる可能性がある。稀に降臨して力を振るうこともあるらしいしな。


「まぁ、出たとこ勝負なのは割といつものことです。なるようになるでしょう」

「適当ねぇ」

「俺の頭がもう少し良ければマシな手も思いつくのかもしれないけどな」


 とりあえずは目の前のことを一つ一つ片付けていくしかない。俺にできることなんて限られているからな。


「さしあたってやることもないし、イチャついてまったりと待つとしよう」

「禁足地を攻略しないの?」

「軍事施設っぽいし、セキュリティが厳しそうだからリアルが動ける時の方が良いだろうな。意気揚々と突撃していった挙句、扉が開けられなくてすごすごと帰ってくる羽目になりそうだし。それに、騒ぎを起こすとリイの氏族に感づかれるかもしれない」

「そうね。どういった方法でかはわからないけれど、あの巨木に入っただけで向かってきていたみたいだし」


 恐らく俺達が気づかないようなセンサーか結界か何かがあったんだろう。今の俺なら結界は見破れると思うが、直接的な危険の無いセンサーなんかは見破れないかもな。


「それじゃ、ゆっくりしましょうか。今日は大変だったしね」

「も、もう一回膝枕してあげてもいいわよ?」


 微笑むエルミナさんと顔を赤くしたリファナに挟まれ、自然と笑みが溢れてくる。きっと二人とも気を遣ってくれているんだろうな。うん、グダグダと引きずっていないで気持ちを切り替えよう。


 ☆★☆


 機械兵の駐屯所に転移で逃げてきてから三日が過ぎた。この三日間は実に平和な三日間だった。この辺りの森は比較的穏やかで魔物も少なく、そもそも俺達がキャンプ地にしている禁足地には魔物が近寄ってこないので夜も安心だ。俺の結界もあったしな。

 食料に関してもストレージに入っていた分と周辺で採取した山菜や獲った獲物で十分に賄えたので、何の心配もない。水や住居に関しては言わずもがなだ。

 で、特にこれといってやることも無かったのでこの三日間は大変穏やかに過ごした。エルミナさんに甘えたり、リファナに甘えられたり、三人で昼寝をしたりとそれはもう充実した三日間だった。


「ズルい。ズルくない?」


 そして駄神ことリアルがお冠である。


「ボクが不眠不休で擬神格を処理している間に三人でしっぽりですかぁ~? いいなぁー、ズルいなー。ボクもイチャイチャヌプヌプしたいなぁー」

「わかったわかった。今度な、今度」

「それ絶対やる気ないやつでしょ。そんなのやだやだやだやだやだぁー!」


 という感じでヘソを曲げたので、ご機嫌を取るのに更に一日を費やすことになった。神の威厳もクソもない。問答無用で祟ってきたりしないだけ有情といえば有情か。

 エルミナさんとリファナは気を利かせて最寄りのハーピィの集落まで行って泊まってくるということなので、今日一日はリアルと二人っきりだ。まぁ、早速テントの中に引っ張り込まれたわけだが。


「なかなかいいもの手に入れたじゃない。あの子達を滅ぼせはしないけど、撃退するには良い武器だよ」


 一戦致した後、俺がおっさんから奪った剣を弄びながらリアルがそう言う。どうでもいいけど、二人とも裸なんだから扱いに気をつけろよ。それ切れ味も半端ないんだからな。


「どういうことだ?」

「この剣はね、世界に干渉するためのアバターを破壊できるんだよ」

「アバター?」

「神がこの世界に干渉するための仮の身体だよ。キミに分かりやすく言うと、ゲームの操作キャラみたいなものかな。ゲームの操作キャラなんていくらボコボコにされてもプレイヤー自身は痛くも痒くもないでしょ?」

「んー……? まぁ、そうだな?」

「この剣はそんな神のアバターを完全に破壊して再使用不能に、つまりコンティニューできなくさせられるのさ。新しいアバターを作るのにはそれなりにコストも時間もかかるから、とりあえずの撃退ができるってわけ」

「なんとなく理解はできたが、前回俺が追い詰めたヴォールトは結構苦しそうだったぞ?」


 確かに普通の斬撃や魔法じゃ対してダメージは通っていなかったみたいだが、剣の勇者である義父の必殺技、百閃での攻撃はなんか効いてたっぽいし、斬った身体の部位をストレージに収納して解体するのは滅茶苦茶効いてたっぽいんだが。


「それはキミの斬撃が一瞬世界の理を越えて神の本体を傷つけたのと、より上位の神であるボクの権能でヴォールトのアバターごと彼の本体を傷つけたからだね。前者はゲームキャラが受けた傷がモニター越しにフィードバックしたようなもので、後者はモニターからいきなり手が生えてきて顔面ぶん殴ってきたようなものかな?」

「なにそれこわい」

「ヴォールトはさぞかしびっくりしただろうね」


 リアルがクスクスと笑いながら剣を置き、俺の胸板を撫でてくる。例えの内容が明確にイメージできるだけにそりゃ怖いよなって感じだ。


「んじゃあれか、今の俺は箱庭育成ゲームの中に突如現れたお邪魔キャラみたいなもんで、しかも排除しようとすると画面越しに直接殴ってくるホラーな存在か」

「概ねそんな感じかな。あるいは畑に沸いた害虫というか害獣というか」


 そりゃ排除しようと躍起になるわな。つか畑なのかよ。一体何を収穫しているんですかね?


「ゲームなら即リセットか、出現より前のセーブデータをロードするところだよな」

「ゲームならね。残念ながらゲームじゃないからそうもいかない」

「下手に手を出さないで寿命で死ぬまで待ってくれりゃいいのにな」


 神の視点で見れば俺の寿命なんて大した時間でもないだろうに。放っておけよって感じだ。


「まぁボクが関与してるからね。ヴォールトとしても放っておけなかったんじゃない?」

「お前のせいかよ」

「要素の一つとして、だよ。君が街に引きこもって生産活動だけしてるとかならここまではならなかったんじゃないかな?」

「なるほど」


 確かに。別に良い暮らしをするだけならそこそこに鍛えてから街の中で働く魔法使いとか鍛冶師とか、そんな感じで過ごすこともできたな。勇者ルートに乗っかったのはどこが起点だったか……あのトロール退治か、騎士団訪問だな。あそこをスルーすれば今とは全く違う生活を送ってたのかもしれない。


「ifの話をしても不毛だな。それよりも今後どう動くかだ。力の回復具合はどうなんだ?」

「そうだねぇ、まぁ以前と同程度まで回復したかな? もう少し上積みしておきたいね」


 リアルが自分の手を眺めながらそう言う。


「そうか。それで、機が熟したらどうするんだ? 具体的にどうするかは聞いてないんだが」

「そう言えばそうだったね。あの子達のうち何人かをこっちに引き込むつもりなんだけど、具体的方策としてはキミに神の試練を受けてもらう」

「神の試練?」

「そう。神々の課す試練を突破して、祝福を授けてもらうんだ。そして、最終的には神の座に上がってもらう」

「いやいや、嫌だよ。神の座に上がるって神になるってことだろ? そんなのお断りだ」

「なんでさ? 不老不死になれるし、色々と融通もきくようになるよ?」

「いや、不老不死とかダメだろ。俺一人だけ生き残って嫁達に置いていかれるとか嫌すぎるわ」

「眷属にしちゃえばいいんだよ。そうすれば永劫の時間をキミの伴侶達と一緒に過ごせるようになる」

「んー……」


 なんでもないことのように言うが、正直言ってまったく実感が沸かないぞ。神になるってなんだよ、神になるって。眷属にして解決ってのも、結局のところ嫁達も俺と同じく不老不死にするってことだろう? それはどうなんだ。

 創作でも神やら不老不死やらになってハッピーエンドってのはあまり見ないぞ。


「まぁ焦って結論を出すことはないよ。取り敢えずあの子達の干渉を止めるために、神の座に至る条件を満たしてしまうのが良いさ。寿命が尽きて神の座に至った後に君が後始末をするってことにしておけば、あの子達もとりあえず納得するだろうしね。本当に神として活動するかどうかはキミの伴侶達と相談して決めれば良い。寿命が尽きるまで時間はあるわけだしね」

「簡単そうに言うなよ」

「今とそう変わりゃしないよ。今よりも力が強くなって、人間としてのしがらみがなくなるだけさ。そりゃ神としての制約は色々とあるけれど、基本的にはお気楽なもんだよ」


 リアルが寝転がる俺に身を寄せ、耳元で囁く。


「それに、ボクにだって手を出したんだから責任取ってくれないとね?」

「お前そりゃちょっと卑怯だろう……」

「邪神だからねぇ。夜襲、朝駆け、なんでもござれだよ?」


 リアルがクスクスと笑う。まぁ、いいや。とりあえず先送りにしよう。死ぬ時までに決断すればいいってんなら今すぐに思い悩むこともないな。明日できることは明日やる、の精神で行こう。問題の先送りでしかないけどな。

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