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第八十九話〜遺跡の探索を始めました〜

次回更新は7/5水曜21時!_(:3」∠)_

 目を覚ます。

 まず目に入ってきたのは見覚えのない天井。緻密に年輪が刻まれた木の天井だ。次に嗅覚が汗と情事の匂いを拾う。寝床に俺以外の温もりは感じられない。気配察知にはちゃんと引っかかる。先に起きているようだ。

 目を擦りながら身体を起こし、辺りを見回す。やはりあまり見覚えのない部屋だった。しかし心地よい疲労感と気怠さ、それと自身の寝ていた寝床の状況から全てを思い出す。


『昨晩はお楽しみでしたね』


 はいはいテンプレ乙。ああ、んー……うん、やっちまったな。うん。


『ぎっこんばったん大騒ぎだったね』


 頭のなかで下品に囀る駄神を無視して余韻に浸る。うん、背負う相手が一人や二人増えたところで今更さしたる違いも無い。これまで以上に頑張るだけだな。

 自分の身体に浄化をかけ、ベッドにも浄化をかけようとしてふと考える。うーん、自分の身体はともかく、ベッドまで浄化するのはどうかな? 一応聞いてからにするか。下着とズボンだけ身に付け、昨日お茶を飲んだ居間へと向かう。

 リファナは居間に据え付けられたキッチンで朝食の準備をしているようだった。俺が居間に現れた音にびっくりしたのか、後ろ姿がビクンと揺れる。


「おはよう」

「おっ、おはっ、おはようっ!?」

「どうどう、落ち着け」


 手に持った包丁を振り回さんばかりの勢いだったのでそっと近づいて包丁を持った手の手首をそっと押さえる。


「だ、だだ、大丈夫! 大丈夫よ!」

「本当か? 包丁で怪我するなよ?」

「大丈夫! 大丈夫だから! いいから席についてお行儀よく待ってて!?」


 近くにいるとかえって危ない感じだったので素直にその言葉に従うことにする。

 リファナは銀色の髪を後ろでポニーテールにまとめ、ラフな格好にエプロンという姿でキッチンに立っていた。その後姿をぼーっと眺めながら今後の事を考える。

 とりあえず、旅の用意をしなきゃならない。簡易的なものでもいいから寝具を一式、調理道具に保存の効く食料に調味料、着替えは塩交易の際に獣人の村で作られたものを何着か手に入れたので、それで大丈夫だ。燃料や水は火魔法水魔法で代用できるから良いので、とりあえずはそんなところだろうか。灯りは生活魔法のライトで補えるが、最低限たいまつくらいは用意したほうが良いだろう。

 その辺の装備を一週間くらいで整え、擬神格の探索を開始する。

 恐らくは大森林に点在する古代の遺跡にあるだろうから、禁足地に関する情報も集めるべきだろう。あとはエルミナさんの方もどうにかしなきゃならないかもしれない。今日一日くらいはゆっくりしたいところだが、エルミナさんとデルフィーダさんに何の挨拶もしないのはやっぱ不義理だろうな。


「難しい顔してるわね」

「今日からどう動こうか考えててな。ゆっくりもしてられないし」

「そう」


 俺の前に大きな目玉焼きとナンのようなパンが置かれる。何の卵だろうか?


「美味そう」

「ハーピィの卵よ」

「え゛っ!?」

「心配しなくても無精卵よ」

「そう言う問題か……?」


 目の前の目玉焼きを思わず凝視する。ハーピィの卵……これがハーピィさんから。

 食うのか? これを? それは良いのか? アリなのか?


「どうしたの?」


 食ってるゥー! ナンみたいなパンに乗っけて普通に食ってるゥー! 気にするほうがおかしいのか? そうだな、きっとそうに違いない。何から出てこようと卵は卵だ。うん、気にしない。

 俺もリファナに倣ってナンのようなパンの上にハーピィの卵の目玉焼きを乗っけてかぶりつく。目玉焼きには予め適度な塩が振ってあり、程よい塩気だ。


「美味いな」

「そ、そう? 料理とも言えないような簡単なものだけど」


 そう言いながらリファナの耳がピコピコと忙しなく動く。やだこの子可愛い。目玉焼きナンをもぐもぐしつつ、昨日淹れてくれたものと同じ爽やかな花茶で喉を潤す。

 ああ、大森林に来てから一番リラックスできてる気がする。


「気の抜けた顔ね」

「リラックスできてるからな」

「そう」


 リファナが微笑む。こいつ、こんな柔らかい顔できるんだな。ツンツンしないでいつもこんな風に笑ってればいいのに。


「何よ?」

「別に。ただお前の顔を見たいだけだ」

「やめてよ、恥ずかしい」


 今度は顔を赤くして顔を逸らす。なんというか猫みたいなやつだな。懐いたと思ったらそっぽを向くあたりなんか正に猫っぽい。


「そういえばベッドなんだが、浄化していいか?」

「だっ、ばっ……!? あの部屋に入るの禁止! 禁止よ! 私がやるから!」

「お、おう」


 リファナが顔を真っ赤にして立ち上がり、がおーっと吠える。うむ、猫ではなく猛獣の類であったか。いや、がおーっていうよりフシャーって感じだしやっぱ猫だな。しかし身体の方はなんともないようだ。回復魔法は偉大だな。


「も、もうっ! ご飯も食べたし私は掃除するから出ていきなさい!」

「えぇ? 昨日あんなに愛し合ったのに追い出すのか?」

「あ、あいっ!? だうっ!? い、いいからっ! 早くっ!」

「あー、わかった、わかったから引っ張るな押すな押すな」


 ぐいぐいと引っ張られ、押されて席から強制的に立たされて出口に追いやられる。ちょっとからかいすぎたかもしれない。


「こ、今晩は……どうするのよ!?」


 この子なんで半ギレなんですかねぇ。


「うーん、エルミナさんに何も言わず外泊したからなぁ。今までの恩もあるし、ちょっと話してこないとなんともだな。大森林の探索準備もしなきゃならないし」

「そ、そう、そうよね……その、何を探しているかわからないけど私も」

「気持ちは嬉しいんだけどな、ちょっと何とも言えない。禁足地に出入りするつもりなんだ」

「な、なんで……」

「探しものがあるのが禁足地なんだよ。絶対に危険だから、俺としては一人で行きたいと思ってる。でも、俺は旅の素人だしな。その辺もちょっとエルミナさんとかデルフィーダさんに相談するつもりだ」


 俺自身に戦闘力はあっても旅の経験が豊富とはいえない。ましてやここは大森林、比較的平和な街道沿いを旅するのとは勝手が違う。大森林での生活経験が豊富な人に意見を聞いたほうが良いだろう。


「心配しなくてもお前に黙って出ていったりしないよ。安心しろ」

「べ、別に心配なんてしてないし」

「そっか。んじゃ、行ってきます」

「い、いってらっしゃい」


 顔を赤くしたままのリファナに見送られながら俺はエルミナさんの家へと足を向けた。


 ☆★☆


「無断外泊とはやるわねぇ」

「はい、すみません」

「随分とさっぱりすっきりした顔じゃない?」

「はい、すみません」

「なんで謝るのかしら? もしかして謝らないといけないようなことをしてきたの?」

「いえその」

「メルキナを傷物にしておきながら他の娘と浮気なんてね……タイシくんは悪い子ね?」

「えぇ……昨日笑顔で見送って」

「何か?」

「いえ、なんでもありません」


 そっとデルフィーダさんに助けてくれと視線を送るが、無理だと首を振られた。


「少し私は出てくる。久々にガルニーダの顔を見てくるから三日ほど戻らん」

「ちょっ」


 デルフィーダさんが俺を見捨てた! 信じてたのに! デルフィーダさんは俺の非難の視線を顔をツイっと逸らすことで受け流し、玄関脇に置いてあった弓と矢筒を持ってさっさと出ていってしまった。


「さて、邪魔者は居なくなったわ」

「ひぇっ……」


 エルミナさんが正座している俺との間合いを詰めてくる。あの目は飢えた野獣、いや魔獣の目だ。


「だらしないタイシくんには教育が必要ね?」


 ぺろり、とエルミナさんが舌なめずりをする。獲物を前に舌なめずりは三流のすることだってどこかの軍曹が言ってたけど、これ威圧効果半端ないです。


「えっ? ちょ、いやっ! やめてっ! そんなところ踏まないでっ!? あ……アッー!?」




「はー、満足満足」

「うっ、うっ……」


 俺から諸々吸い取ってご満悦なエルミナさんのお肌がツヤツヤだ。色々と初体験させられてしまった。というか、一度も攻め手に回れなかった……エルミナさん強すぎる。野獣化したマールが子猫に思える。


「泣くことないじゃない。良かったでしょ?」

「そりゃそうですがプライドが、尊厳が……っ」

「経験の差よ。私に勝とうなんて五十年は早いわね」


 あっけらかんとそう言うエルミナさんに諸々の事情に対する懊悩は一切見られない。


「しかしその、ここまでしておいてなんですが良かったんですかこれ。色々と」

「別に構わないでしょ。長い道行きのうち五十年かそこらの時間をタイシくんに注ぐのくらいなんでもないわ」

「あ、その言い方メルキナにそっくりです」

「メルキナが私に似てるのよ。それに十人もいるなら一人や二人増えたところで構わないでしょ?」

「いやうん、良いんですけど色々とこう、あるじゃないですか?」

「大丈夫大丈夫、お姉さんに全部任せなさい。私がタイシくんのお嫁さん達には話をつけてあげるから。メルキナも含めてね」


 エルミナさんがそう言ってニッコリと微笑む。やだ凄い頼りがいある。かっこいい惚れそう。なんだろうこの安心感。これが大人の魅力か。


「目下の目標は強くなることだったわよね? 何かあてはあるの?」

「はい。禁足地に神の力を取り戻すための道具があるらしいんで、とりあえずそれを集めるつもりです」

「禁足地に? あまりオススメしたくはないわね」

「危険だって話ですよね。まぁそうなんでしょうが、それしか方法は無いみたいなんで。普通の方法で元の力を取り戻そうとしたら数十年はかかるみたいですから」

「そんなに長い間お嫁さん達を放っておいたら愛想尽かされちゃうわね」


 エルミナさんが苦笑する。


「じゃあ禁足地に向かう準備をしないとね。手伝ってあげるわ」

「それは嬉しいんですが、一人で行くつもりだったんですよね」

「それはだめよ。他の集落のエルフに見つかったら殺されちゃうわよ? 今回の塩調達で寄った集落なら迎え入れてくれるだろうけど、それ以外の集落の人に見つかっても大騒ぎね」

「あ……なるほど」


 そういえばこの大森林に住む人々は本来とても排他的なんだってことを忘れていた。俺が快く迎え入れられたのはエルミナさん達に同行していたからなのだ。


「私も一緒に行くわ。それに、一人旅は大変よ? 交代で夜番もできないし、ちょっとした怪我や病気で動けなくなったら野垂れ死に確定ね」

「やっぱそうですかね」


 寝床に関しては地魔法でなんとかできると思っていたが、ちょっと見通しが甘すぎたかもしれない。


「私に任せておきなさい。それに、禁足地への案内も必要でしょう?」

「そう、ですね。助かります」

「いいのよ。私も叶うなら禁足地の中を見てみたいしね」


 そう言ってエルミナさんはベッドから起き上がり、ぐっと体を伸ばした。こちらに背を向けているが、白い肌と綺麗なお尻が眩しい。


「さぁ、そうと決まれば早速準備するわよ」

「元気っすね」

「タイシくんから沢山元気をもらったからね」


 エルミナさんが髪を紐で束ねながら振り返り、色っぽい笑みを浮かべる。あー、いけません、いけませんお客様。私も元気になってしまいます。


「吸い尽くされるかと思いました」

「あら、嫌だった?」

「最高でした」

「素直でよろしい」


 頬に一つキスを落としてエルミナさんが部屋を出て行く。流石に体力オバケな俺でもこの連戦はキツい。足腰立たなくなりそう。


『いいねいいねー、満喫してるねー』


 うん、そろそろ出てくる頃だと思ってたよ。何もかも思い通りにいって満足か?


『大満足だよ。キミは満足していないのかい?』


 大満足だ。しかしそれはそれとして、お前の手の平の上で踊らされたのは気に食わないね。お前何様だよ。


『神様だよ?』


 そうですよねー。ふぁっきん。


『いつでもOK! かもーん!』


 そう言う意味じゃない。罵り言葉だ。はぁ、やれやれ。


『でも、これで探索が楽になるね?』


 お前のそういうとこ嫌いだ。自分の目的のために他人の運命を捻じ曲げても屁とも思わないとこがな。


『む、それは傷つくなぁ。それもこれも君のためなんだよ?』


 わかってるよ。結局のところ俺のために他人の運命が捻じ曲がるってことの重さが辛いだけなんだろうな。こんなのただの八つ当たりだな、すまん。ありがとうな。


『んぐっ……そう素直に感謝されると反応に困るよ』


 そう言って駄神――リアルは黙り込んでしまった。

 こうなった以上、もう開き直ったほうがいいんだろうな。なんせ相手は神なんだ。神に迫ろうって時にこんなことでウジウジと思い悩んでちゃ足元を掬われるってもんだ。どんな手を使ってでも俺は俺の居場所を取り戻す。そう心に決めよう。




 それから一週間ほどかけて旅の準備を整えた――と言っても、ほとんどエルミナさんに頼りっぱなしだったが。寝具に食料、調味料に調理器具、その他細々とした道具や装備の調達は俺一人じゃきっと集めきれなかっただろう。

 勿論、俺も遊んでいたわけじゃない。地魔法を使ったシェルターづくりの練習をしたり、エルフの樹上村で様々な道具を調達する対価として鍛冶仕事をしたりした。やったのは主に刃物の手入れや矢じりの作成、その他金属製品の整備だったが、それなりに好評だった。


「それじゃ、行きましょうか」


 弓のチェックを終えたエルミナさんが微笑む。木漏れ日を受けてキラキラと輝く金髪が眩しい。


「ええ」


 キリっとした表情のリファナが頷く。こちらもエルミナさんと同様に弓と矢筒を背負った狩人スタイルだ。腰に大型ナイフを装備しているのもエルミナさんと同じで、この恰好がエルフの狩人の基本的なスタイルなんだろう。

 微妙に肌の露出が多いので、それで大丈夫なのかと聞いてみたところ森での活動中は常にウィンドシールドを張り続けているので毒虫などに刺されたり噛まれたりする心配はないらしい。小枝などを引っ掛けないのかと聞いたら狩人はそんなヘマはしないと言われた。


「何よ?」

「いや、結局ついてくるんだなぁと思ってな」

「悪い? これでも私だって狩人よ。足を引っ張ったりしないわ」 

「そんな心配はしてないよ」


 リファナの実力は約二週間行動を共にしたことで十分に理解している。一日中風魔法を併用して移動しても平然としているスタミナと魔力に加えて、正確無比な弓の腕も確かだ。それでもこれから行く場所のことを考えると心配なだけだ。


「それよりあんたの準備は大丈夫なの?」

「勿論だ。武器もしっかりしたのを作ったしな」


 そう言って神木を加工して作った棍をくるくると回してみせる。

 結局金属製の大型武器を用意することはできなかったが、ベヘモスの爪や骨や皮、あと少量の金属パーツで神木製の棍を強化することはできた。元々魔力の通りが良く、魔力保持量も多かった神木の枝にベヘモス素材を使用することによって物理的な強靭さも加わった。今となって下手な金属製の武器よりもバランスの良い武器に仕上がっている。何の心配もない。


「そんな棒きれでほんとうに大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。これなら大岩だって一撃で木っ端微塵にできるぞ」

「あんたがそう言うなら信じるけど」


 そう言いながらリファナは疑わしげな視線を隠さない。まぁ、元々の棒きれ状態を知っているリファナとしては当然の心配なのだろう。


「じゃあ行きますか。とりあえずの目的地はここ、悪夢の爪痕と呼ばれている禁足地だな」


 そう言って俺は簡素な地図の一点を指差す。

 この地図はエルミナさんとデルフィーダさんの記憶を頼りに描いた大森林の地図だ。エルフの樹上集落を中心に二人の知っている主な集落の位置と禁足地の場所、休息に向いた場所や水場、移動中の目印となるポイントが書き込まれている。


「あそこねぇ。ぼっこぼこのクレーターだらけで何もないわよ? 魔力溜まりになってて魔物は近寄ってこないけど」

「ええ、なのでそこで野営して本命はここ、閉ざされし大扉ですね」


 ☆★☆


 最初に向かった場所は悪夢の爪痕と呼ばれている禁足地だ。

 エルミナさんの言うとおり、多数のクレーターが存在するだけの寂しい場所だった。植物も乏しく、小動物の気配も殆どしない。


「ここで寝るといつも悪夢を見るのよねぇ」

「ええ、そうなんですか?」

「こっち方面の集落に用事がある時にたまにここに泊まるんだけど、高確率で悪夢を見るわ。別に実害は無いんだけど、出来れば長居したくない場所ね」


 エルミナさんが燐光の漂う禁足地を見回しながら苦笑いをする。リファナはエルミナさんの話を聞いてちょっと気味が悪そうに辺りを見回していた。


『擬神格反応もまったくないね。恐らくだけど、ここは当時の神力砲の陣地か何かだったんじゃないかな。反撃で跡形もなく吹き飛んだみたいだね』


 悪夢を見るって辺りに何か心当たりは?


『カウンターでここをふっ飛ばした神力砲の動力源が悪夢を司る悪神か何かだったんじゃないかな。神力の微かな残滓は感じるけど、判別は難しいね』


 なるほど、と納得しながらリアルの見解をエルミナさんとリファナにも伝える。


「神様を武器の動力源にねぇ……なんというか、昔の人間は凄いことするわね」

「正に神をも恐れぬ蛮行ですね」

「結果として跡形もなく滅んでいる辺り、因果応報じゃないですかね」


 一応何か無いかと辺りを探し回ってみたが、何も見つからなかった。完全に骨折り損である。収穫らしい収穫といえば魔力溜まりにしか生えない貴重な薬草を摘めたくらいだろうか。


「魔力回復薬の素材でね、結構貴重なのよ」

「大森林の外に持ち出したら高く売れそうですね」

「かもね。でも日持ちしないから持ち出すのは難しいと思うわ」

「なるほど。でもそれだと摘んだ意味が無いんじゃ?」

「何日かは保つし、このまま食べてもそこそこ効くのよ。いざという時の備えになるから適度に摘んでおいたの」


 ちなみに、モシャモシャしてみたら結構美味しかったので少し多めに摘んで夕飯にサラダとして出してみた。そこそこ好評だった。


 ☆★☆


『じゃんじゃじゃーん♪』


 銀髪の邪神が現れた。


「流石悪夢の爪痕、夢見が最悪だ」

『いきなり喧嘩売ってる?』


 満を持して登場したリアルが額に青筋を浮かべる。まぁ、久々だがいつぞやと同じ夢の空間だろう。いきなり合体してないだけでも有情だったのかもしれない。


「それで、久々だが今日はどうした。とっとと寝たいんだが」

『微かな神力の残滓があるって言ったでしょ。それが寝ているヒトの精神に作用して悪夢を見せるの。今日出てきたのはそうならないように守るためなんだから、感謝して欲しいね』


 リアルが腕を組んで頬を膨らませ、プリプリと怒って見せる。くそ、不覚にも可愛い。


『あれあれぇ? もしかしてちょっと可愛いとか思っちゃった? 思っちゃったよね? うんうん、やっとボクの魅力に気づいたみたいだね』

「黙ってニコニコしてりゃ完璧なのになぁ。残念なやつだ」

『残念じゃないし! もっと褒めても良いんだよ、ほらほら』


 駄神がニヤニヤしながら清楚な白いワンピースの裾をちらちらと捲ってみせる。見えそうでギリギリで見えない。くっ、視線が誘導される……悔しい!


『あははは、効いてるね! いやぁ、苦労してパラメータいじった甲斐があったってもんだよ!』


 以前の俺なら無視して腹パンくらいはしてただろうに、何故かそんな気が起こらない。これがいじられるってことなのか。


「悪夢だ」

『まだ言う!?』

「茶番はいい。何の用だ?」

『もうちょっとトークを楽しもうよ。なんなら裸のお突き合いでもいいよ?』

「丁重に遠慮しておく。なんか怖いし」


 こいつに心を許して一度溺れてしまったらもう二度と抜け出せない、そんな予感がしてならないのだ。底なしの深淵に足を踏み入れるのはあまりにも恐ろしい。


『ふーん、それはそれで面白いと思うけどね? ボクの中で永遠に溺れ続けてくれてもいいんだよ?』


 銀髪の邪神が擦り寄ってくる。ふわりと女の子の匂いがして色と反応しそうになった。やっぱダメだこいつ危ねぇ。


「やなこった」

『それは残念。まぁそうなっちゃうのはボクとしても本意ではないけどね』


 意思を総動員して睨みつけると駄神は案外あっさりと俺から離れた。


『まぁ、今日は別に用事はないよ。たまにこうして触れ合っておかないとキミに捨てられちゃうんじゃないかと思って出てきただけだから』

「捨てられるならとっくに放り捨ててるわ」

『あはは、それじゃあね』


 宙に溶けるように光の粒子となってリアルの身体が白い世界に溶けていく。目が覚める。


 ☆★☆


「ここが閉ざされし大扉よ」

「なんか想像してたのより小さいですね」


 翌日、悪夢に苛まれること無く朝を迎えた俺達は目的地に到着していた。場所としては悪夢の爪痕から三時間ほど移動した地点の岩山である。エルミナさんの案内に従って岩山の南側に回り込むと、いつぞやの白い廃都で見かけたのと同じ、白い陶器のような質感の素材で作られた扉が現れた。

 扉の大きさは縦横三メートル程で、取っ手は無い。というか、これは扉なのだろうか? 白い扉のようなものには複雑な幾何学模様のようなものが刻まれているが、どこがどう開いていくのか想像することが難しい。

 扉の前に幾つか錆びた鉄片のような物が落ちているが、これはこの扉をこじ開けようとして犠牲になった道具の成れの果てだろう。


「これどうするの? こじ開けるの?」

「昔全力で風魔法を篭めたミスリルの矢を射ってみたけど傷一つつかなかったわよ?」

「うーん、ちょっと待って下さいね」


 ペタペタと扉のような物体の周囲に手を触れ、解錠装置のようなものがないか調べる。考えつくのはカードか何かを通すスリットとか、何かの入力装置とかなのだが。


「これはお手上げか」


 どこにもそういったものが見当たらなかった。そもそもこの物体が扉なのかどうかも定かではないが。


『確かにこれは扉だよ。対神シェルターの防爆扉だね。ちょっと待って、今ロック解除する。そのまま扉に手を触れといて』


 リアルがそう言うので言われた通りに扉に手を触れたままにしておくと、急に扉に刻まれた幾何学模様のようなものが緑色の光を発し始めた。程なくガシャガシャと駆動音を立ててまるでパズルが解けるかのように白い扉が開いていく。


『擬神格の波動はないけど、動力は生きてるみたいだし中に情報があるかも。ざっと見た感じ民間用のシェルターみたいだからあまり期待はできないけどね』

「いやいや、十分だよ」


 思わず駄神への返答を口に出してしまう。後ろを振り返ってみるとエルミナさんもリファナも口をぽかんと開けて驚いていた。


「ど、どうやったの?」

「頭のなかにいる神が開けてくれたみたいです」

「そ、そう……半信半疑だったけど、本当なのね」


 とにもかくにも扉が開いたので内部を探索することにする。

 シェルターの内部も扉と同じ白い陶器のような素材で作られているようだった。どれだけの時間が経っているのかは判然としないが、塵一つ積もっていない。空調のようなものが利いているのだろう。

 天井はさほど高くはなく、2メートル半くらいだろうか? 俺が手を伸ばしてぎりぎり手がとどかないくらいなので多分それくらいだろう。一定間隔で光源が設置されており、内部は結構明るい。LED照明のような白い光が壁面や床に使われている白い陶器のような素材に反射してちょっと眩しく感じるくらいだ。

 俺が先頭に立ち、周囲を警戒しながら先に進む。気配察知に引っかかるのは俺達の気配だけで、生き物の気配は一切感じられない。少し進んで角を曲がると、再び扉のようなものが見えてきた。この扉はSFとかでよく見るような上下スライド式の自動扉だ。近づいただけで駆動音とともに上下に開いた。

 音にびっくりしたエルミナさんとリファナが腰の大型ナイフを抜きかけたが、ただ扉が開いただけだとわかると二人とも深く溜息を吐いた。


「びっくりしたわ」

「急に動くから」


 そこから先の探索はサクサクと進んだ。特に厄介なセキュリティなども無く、生き物も一切いなかったからだ。


「これは……凍って干からびた死体?」

「そうみたいですね。冷凍睡眠カプセルか何かだったのかも」

「冷凍睡眠カプセル?」

「クマの冬眠の超長いやつみたいな感じ」

「なるほど」


 リファナは俺の色々端折った俺の答えで納得してくれたらしい。気配察知にも一切反応ないし、完全に死んでるんだろう。辺りには色々な道具があったが、どれもこれも経年劣化で使えなくなっているようだった。まぁ動いたとしても使えなさそうなものも多かったけどね。タブレットとかノートパソコンみたいなものとか、スマホみたいなものとかがあっただけだ。有機物の類は朽ち果てて塵になってしまったらしい。

 探索の途中でシェルター内の案内図を見つけたので次は案内図に従って別の部屋に向かうことにした。


「よくわからないものだらけね」

「これは何かしら?」

「なんだろう」


 ぱっと見ですぐにわかるのは魔晶石がいくつかと、何かの金属のインゴットのようなもの、素材不明のケーブルのようなもの、シェルターの補修素材らしきパイプやボルトやナットの類くらいだ。工具のようなものもあるのだが、使い方がわからない。

 他には宇宙服のようなスーツが何着か壁にかけられている。なんというか見るからに動きにくそうだ。


「魔晶石と謎のインゴット、ケーブルは持っていきますか。パイプやボルト、ナットも何かに使えそうだし持っていくかな」


 魔晶石は魔核を加工したもので、魔力を溜め込むことができるバッテリーのようなものだ。魔導具の動力として使うことができるので、そこそこ汎用性が高い。予め魔力を篭めておけば魔法を使う際の外部魔力バッテリーとしても使うことができる。


「ここはこれくらいかしら?」

「そうですね。次はこの別の部屋でも見てみますか」


 案内図を見た感じだと、ナイフとフォークのようなマークが書いてあったので多分食堂か食料庫だと思う。

 どれくらいの時間が経っているのかは判らないが、数千年単位で時間が経っているのは間違いない。収穫に期待は全くできないが、行くだけ行ってみるのはアリだろう。なんせ時空庫なんてものも普及していたらしいし、意外と無事かもしれない。

 部屋の前に到着してみると、意外なことに先程の倉庫らしき部屋よりも随分と堅牢そうな扉に守られていた。


「なんだか随分と立派な扉ね」

「開くの? これ」

「とりあえず開けてみようか」


 何故か気配察知でこの部屋の中が探れない。何か特殊な魔法でもかけられているのだろうか? 扉の脇に開閉を操作するコンソールらしきものがあったので、適当に操作して扉を開く。まぁボタンが二つしか無いんだから楽勝だ。

 プシュー、と空気の抜けるような音を立てて重厚な扉が開いた。


「おお、缶詰が整然と並んでいる」


 どうやら食料保管庫だったらしい。


「かんづめ? なにこれ、本当に食べ物なの?」

「多分ですけどね。ちょっといくつか運び出してみましょうか」


 棚に整然と並べられていた缶詰をパッケージ別に二つずつ取り出し、部屋を出る。そうするとすぐに自動的に扉が閉まり、ロックされた。どうやら開けっ放し対策がされているようだ。

 持ってきた缶詰らしき物体はほぼ無地で、読めない文字が簡潔に一行から二行プリントされているだけのシンプルなものだ。きっと書いてある文字は中に入っている食品の名前だろう。

 クリーム色の大きくて少し重めの缶詰、ライトブラウンの軽い缶詰、黄色い缶詰、白くて無地で細長い缶詰の四種類を二個ずつ取り出してきた。どれもプルタブのようなものが付いていて、特別な道具が無くても開けられそうだ。


「まずこのクリーム色のを……いや、軽いライトブラウンのを開けてみますか」


 どの缶詰も変に膨らんでいたり錆びていたりしないので、多分中身は大丈夫だろう。味の保証はできないが。

 パキッ、という音を立ててライトブラウンの缶詰が開封される。ふわりと漂ってくるのは微かに甘い香りだ。中を見てみると丸いクラッカーのようなものが沢山重なって入っていた。おもむろにそれを取り出し、口に運ぶ。


「ちょっと!?」

「タイシくん!?」


 ボリボリと咀嚼して飲み込む。うん、クラッカーだこれ。クラッカーというかビスケットかな? 湿気ってる感じもしないし、普通に美味い。


「ビスケットですかね。普通に美味いですよこれ」


 缶詰からビスケットを取り出して差し出すとリファナが恐る恐るといった感じで受け取り、口に運んだ。両手でビスケットを持ってコリコリと齧る姿がちょっと可愛い。


「へ、変な味はしないわね? 美味しい? かも?」

「私はやめておくわ。全員で食べてお腹壊したら危ないし」


 エルミナさんは一歩下がり、苦笑いする。


「それもそうですかね。次行ってみましょうか」


 次々と缶詰を開けていく。クリーム色の缶詰の中身は野菜と鶏肉っぽいものが入ったホワイトシチューのような料理が、黄色い缶詰にはシロップ漬けの黄桃のような果実が入っていた。細長い白無地の缶詰は経口補水液のようなものだったようだ。味は元の世界でよく飲んでいたスポーツ飲料にそっくりだった。


「この果物のシロップ漬けは結構美味しいわね」

「シチューはちょっと脂っこいかな。とりあえず全部持っていきますか。これでお腹を壊さなければ食料には困りませんし」

「いいけど、お腹壊しても知らないわよ?」


 もう一度食料庫を開けて中に入っていた缶詰や箱の類を根こそぎトレジャーボックスに収納した。細かい検分は後にしておこう。

 後は細々とした生活スペースやトイレで、さしたる収穫はなかった。そして最後に残っていたのがやたら厳重にロックされた扉である。銃のようなマークが付いていたので恐らく武器庫ではないかと思うのだが。


「開かないわね」

「ちょっと頭の中のやつに聞いてみます」


 というわけでヘイ! 開けてくれよ。


『別に良いけど、大したものは無いんじゃないかな? 民間の家族用シェルターっぽいし。とりあえず扉に触れてくれる?』


 最初にこのシェルターの扉を開いた時と同じように閉ざされた扉に手を触れて少し待つと、扉のロックが外れた音がした。

 ナイス、いい子だ。


『もっと褒めていいのよ?』


 リアルの言葉に賞賛の意を返しながらロックが解除された扉を開く。


「何かしら、これ」

「多分武器です」

「これが?」


 棚に整然と並べられているのは、多分銃のような類の武器だろう。身体の作りが同じなら、武器の形も大体似かよってくるものなんだな。置いてあるのは二種類で、拳銃のようなものとライフルのようなものが四丁ずつだ。あるのは銃本体だけで、弾丸のようなものは見当たらない。ということは、実体弾を飛ばすようなタイプの武器ではないのだろう。

 全て回収してトレジャーボックスに収納する。


「試さないの?」

「試すなら広い場所のほうが良いだろうな。爆発でもしたら大変だぞ」

「それもそうね。これでこの建物は全部回ったわよね? 早く出ましょう」


 エルミナさんに促されてシェルターの外に出る。いざという時の隠れ家にできるかもしれないので、出入り口はしっかりと閉めておいた。

 

 ☆★☆


 今回のシェルター探索で手に入れた物は大量の缶詰と用途不明の資材少々、拳銃型の武器が四丁、長銃型の武器が四丁だった。手に入れた戦利品を地面に並べて検分する。


「カンヅメは開けた分も合わせて各三百六十個ずつみたいね」

「冷凍睡眠ポッドの数も武器の数も各四つずつでしたし、缶詰は一人あたり各九十個の取り分ってことでしょうね。一日一缶ずつ消費したとして九十日分かな?」

「水はこれっぽちじゃ一日持たないわよ?」

「水の精製施設は別にあったのかもしれない。もしくは魔法で補う前提だったのかも?」


 資材倉庫らしき部屋にもしかしたら水を作る道具があったのかもしれない。


「結論としてはこの施設は恐らく四人用の避難所みたいな場所だったんでしょうね」


 そう言いながら拳銃型の武器を手に取り、二人から離れた場所で弄り始める。

 形そのものはシンプルな拳銃型だ。材質は白い陶器のようなものでできていて、先程まで潜っていたシェルターの構造材と同じものだろう。拳銃としては少々重いのではないだろうか? 弾倉の類は見当たらず、可動部分も少ない。分解整備することすら想定されていなさそうな構造だ。武器としてそれはどうなんだろう? メンテナンスフリーなのだろうか。

 グリップを握り込むことによって解除されるグリップセーフティと親指で操作できる位置にあるマニュアルセーフティの二つのセーフティで暴発を抑止しているようだ。どちらのセーフティも解除し、前方の木に向かって狙いをつけて引き金を引く。


 ビシュンッ! という鋭い音と共に銃口にあたる部分から青白い光弾が発射され、狙っていた木の幹に握り拳大の大穴を開けた。反動はごく少ない。連続で引き金を引くと三十発くらいで撃てなくなった。よく見ると銃の後部、元の世界の拳銃であれば撃鉄がある辺りに円形のインジケーターがあり、徐々にメモリが回復している。どうやらこれが残弾数らしい。動力は何なんだろうか?


「なんか凄い威力ね?」


 大量の光弾を浴びて標的にしていた木が三本ほど倒れてしまっていた。拳銃のインジケーターが回復したタイミングを見計らい、再度射撃を開始する。うん、アホみたいな速度で連射しなければ連続で四十発くらい撃てるかな? そんなにバカスカ撃つもんじゃないだろうし、ちょっとした魔物や対人の護身用としては十分な性能だろう。


「まぁ、魔法の方が威力の面でも使い勝手の面でも優れている部分もありますけど、概ね優秀な武器ですかね」


 今度は二丁拳銃で光弾をばらまく。これはなかなか楽しい。

 エルミナさんとリファナにも使い方を教えて実際に撃たせてみる。一応最低限のルールとして味方に銃口を向けない、銃口を覗かない、撃つ時以外は引き金に指をかけないということを徹底して教えておく。


「大丈夫よ。普段から弓矢や魔法を扱ってるんだから」

「それもそうですかね。でも慢心しないようにしてください」

「わかってるわ。でも、よく使い方がわかったわね?」

「俺が元々住んでた世界に似たような武器があったんで」


 拳銃の射撃訓練を始める二人を横目に長銃型の武器を手に取る。こちらも使い方は基本的に同じようだが、より威力が高く、射撃モードが複数選べるようだ。

 単射、三連射、連射が選べるライフルモード、射程が長くなって威力が高い代わりに連射が効かなくなるスナイパーモード、射程が極端に短くなる代わりに同時に複数の光弾を発射するショットガンモードの切り替えができる。それぞれのモードで変形して銃身長が長くなったり短くなったりするのにはびっくりしたね。可変ライフルとかロマン過ぎる。

 しかしこんな摩耗の多そうなシステムを積んでいる割にはメンテナンスの仕方が不明だ。本当にメンテナンスフリーなのだろうか?


「そっちの方はまた……強そうね」

「まぁ、普通の魔物相手には十分な威力だな。ただ、ベヘモスを相手にするのは少々つらいんじゃないか?」

「そうねぇ、一撃の威力なら風魔法を篭めた矢の方が上でしょうね。ただ、狙って撃つだけで良いこっちの方が弓よりは使い勝手は良いかもしれないわね」

「お守り程度に使うのはアリかもしれませんけどね」


 俺としてはまったくもって物足りない。普通の魔物相手には十分有効な武器だろうが、神を相手にするには力不足も良いところだ。こんな豆鉄砲ではかすり傷一つ負わせられないだろう。威力が十倍くらいあれば牽制くらいには使えるかもしれない。

 なんせあいつら極大爆破の直撃とか至近距離での魔力爆轟食らってもピンピンしてやがるからね。

 一通りの検分を済ませた俺達は閉ざされた大扉の前で野営を行い、翌日の移動に備えた。

 ちなみに俺とリファナはお腹を壊さなかった。それによって俺達の食事に缶詰を利用した料理が並ぶ事になるのはこの翌日からの話である。 

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