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第八十七話〜鳥人族の里を満喫しました〜

七巻発売に向けて連続更新するよ!_(:3」∠)_


タイトル変え忘れてたよ!_(:3」∠)_(土下座

 翌日、早朝にケットシーの集落を出発した俺達は特にこれといったトラブルもなく鳥人族の集落に辿り着いた。もっとも、トラブルこそ無かったものの早朝に出発して昼過ぎまでずっと移動しっぱなしだったのでやたらと疲れたわけだが。

 エルミナさんは知り合いの鳥人族の商人に渡りをつけてくるということで、他の三人は暫し体を休めるということになった。断崖絶壁を見渡せる岬があったのでテクテクと歩いていくと、何羽かペンギンが居た。ここらへんに生息してるんだろうか?

 岬から断崖を見て微動だににしないので、俺もそのすぐ近くに座り込んでペンギンの見ている断崖絶壁を見てみることにした。


「ほぉ、あれが鳥人族の集落かね」


 断崖絶壁に幾つもの穴が空けられており、あの穴がどうやら鳥人族達の住処だろうと予想することができた。無数の穴が空いた断崖絶壁には岩を削って作った階段のようなものも多数拵えられており、海面から崖の上まで安全に上がってこられるように手を入れられているようだ。

 感心して断崖を見ていると、断崖の穴から黒い影が飛び出した。

 飛び出した影は両足を揃えて黒い翼をピンと伸ばし、嘴を真っ直ぐ伸ばして――そのまま海に突き刺さっていった。

 その行動が皮切りとなったのか、断崖の穴から次々と黒い影が飛び出し、短距離を滑空して海へと突き刺さっていく。


「大人達はごっついなぁ。あんなん怖くて飛べんやん」

「そうかぁ? 余裕やろあんなん」

「お前んち下の方やないか。うち上から二列目やぞ」

「それはごっついわ」


 周りのペンギン達が急に喋り始めた。

 うん、あの断崖の穴から飛び出したのがデカいペンギンだったからね。予想はしてたよ。


「ってなんか変なのおるやん!」

「なんやこいつ? エルフか?」

「エルフはもっと細くて賢そうな顔しとるやろ。あと耳が長い」

「確かにアホそうな顔しとんなぁこいつ。で、お前なんやねん?」


 初対面のペンギンにディスられた。鳥類のくせに喋ってるお前らこそ何者だよ。いや、鳥人族なんだろうけど。


「人間だ」

「ニンゲン? 人間てアレやろ、アレ。森の奴ら攫うんやろ?」

「「「「うわこわ、近づかんどこ」」」」


 ペンギンズがよちよちと歩いて俺から距離を取る。口は悪いが可愛いなこいつら。


「攫わねぇよ。今日はエルフと一緒に商売に来たんだ」

「エルフと? エルフは人間嫌いやろ」

「そうなんか? エルフと人間はつがいになることあるって聞いたで」

「マジか。エルフごっついな」


 なんだろう、この……なんだろう、これ。ペンギンが似非関西弁で喋るというこの状況。


「それよりも商売って何持ってきたんや? また布切れか?」

「薪やないか?」

「いや、今回はベヘモスの肉とか皮とか牙とか角とか骨だな」

「ベヘモス? ベヘモスってなんやねん」

「うち知っとるで。めちゃくちゃデカい化物やってん。肉は美味いらしいで」

「マジか。エルフはそんなん仕留めるんか。ごっついなぁ」

「海ではウチらが最強やけどな。陸では勝てんやろ」

「ウチら足が短いからな。走られへんし」

「薪拾いしんどいよな」

「肉、食ってみるか? 少しだけなら分けてやるぞ」

「マジか。兄さん太っ腹やん」

「味見して美味かったら親御さんに買ってもらってくれよ」


 トレジャーボックスから一塊のベヘモスの塩漬け肉を取り出し、ナイフで削ぎ切りにする。


「おお、美味そうやん」

「いっつも魚ばっかで肉はめったに食えんのよ」

「はよくれや兄さん」

「塩漬け肉だからこのままだと塩辛いぞ?」

「塩抜けばええんやろ? 楽勝やで」


 削ぎ切りにした肉がバレーボールほどの水球に包まれ、洗濯機にでもかけられたかのように内部で複雑に回転する。しばらくすると水球がペンギンと同じ数に別れ、その口元へと飛んでいった。

 ペンギン達が水球にクチバシを突っ込み、削ぎ切りにした肉を啄む。


「美味いやん!」

「これぞ肉って感じやな。力出て来る気ぃするわ」

「親父に買ってもらお」


 ペンギン達はプルプルと首を振り、ヒレのような翼をパタパタと動かした。なんだこの可愛い生き物。


「お前ら器用だな……今の水魔法だよな?」

「せやろ? 陸での運動は苦手やけど水魔法はうちらの右に出る者はおらんで」

「大人は陸でも氷作って滑りよるけどな。まだうちらには無理や」

「まぁ水魔法以外は殆ど使えんけどな。大人でもちょっとした火を熾したりすんのがやっとや」


 鳥人族は水魔法に特化した種族らしい。断崖に掘った住居も階段も水魔法で削って作るのだそうだ。俺も水魔法で水球を作って見せる。


「全然ダメやで兄さん」

「生後半年でももう少しマシやで」

「密度が低すぎんで」

「マジかよ。これならどうだ」


 水球に篭める魔力を増やしてより圧縮してみせる。


「さっきよりあかんやん」

「無駄多すぎや」

「魔力量だけはごっついけどな」


 全然ダメらしい。


「もっとイメージや! イメージを固めんと!」

「魔力の無駄遣い多すぎや! イメージよりも構築の緻密さや!」

「ギュッとしてバーンや!」

「どないせいっちゅうんじゃ!」


 エルミナさんもまだ帰ってこないのでペンギン達に囲まれ、半ばなじられながら水魔法の修練を進めた。疲れたし割と無茶苦茶な内容だったのに何故か水魔法の腕が少し上がった。解せぬ。


 ☆★☆


「刺し身うめぇ!」

「兄ちゃんわかっとるやんけ!」

「このショーユってのもええな! 今度ケットシーのとこで取り寄せてもらおか」


 鳥人族と速攻で打ち解けた。食い物の美味さを共有できる相手とは仲良くし易いよな。


「生で食べてる……気持ち悪」

「お腹壊しても知らないわよ?」


 焼き魚を食べながらリファナが心底気持ち悪そうに、エルミナさんは少し心配そうにそう言う。ブリーダは寡黙に海草入りの潮汁を啜っていた。大皿に供されている刺し身はガン無視である。解せぬ。


「こんなに美味しいのに……勿論焼き魚も煮魚も美味いけど、やっぱり刺し身が一番だと思うんだけどな」

「せやで。小魚なら踊り食いも美味いけどな」

「イカとかタコも美味いで」

「イカとかタコは陸の人は食わんやろ」

「俺好きだけどな、イカとかタコの刺し身。刺し身以外でもいいけど」

「兄さんマジか。陸の人は見ただけでドン引きすんのに」


 鳥人族達が驚いた顔――には見えない無表情で俺をじっと見てくる。あんまり表情変わんないよね、ペンギンだもんね。ちなみに大人の鳥人族は身長150cmくらいで結構デカい。手先が器用じゃない分、手足のように水魔法を使って見せる。宴の料理とかも水魔法で作った手というか触手みたいなので持ってきた。

 正直この奇妙な光景には魔法の可能性を感じざるを得ない。スキルで使ってた戦闘用魔法のイメージしか無かったのだが、魔法とは本来もっと自由なものなんだろうな。


「美味いじゃん。あの独特の食感は他じゃ味わえない」

「わかっとるやんけ! おおい、イカとタコもってこい!」

「あいつ、なんであんなに鳥人族に馴染んでるのかしら」


 やんややんやと鳥人族が喝采する中、大皿に新しい料理が運ばれてくる。どうやらイカとタコの刺し身だけでなく、浜茹でにしたタコ足も豪快に乗っかっているようだ。


「ちょっ、それ食べる気!?」

「タイシくん、それはちょっと……」

「いやいや、見た目に騙されちゃいけませんよ。クニュっとして美味いんですって。イカはコリっとした食感に甘みがあってまたタコとは違う味わいなんですよ。少なくとも俺の知ってるタコとイカはそうでした」


 まずタコの刺し身から頂く。これは活だこの刺し身だな。つるんとした舌触りに潮の味と香り、そしてなんとも言えぬ独特の食感に呑み込んだ時の喉越し。全てが美味い。

 次はイカ刺しだ。

 コリッとした食感の後にほのかな甘み、そこに醤油の旨さが合わさって得も言われぬ快楽が口の中に広がる。俺はタコのほうが好きだが、やはりイカも美味い。

 そして浜茹でのタコ足。これは豪快にそのままかぶりつく。美味い。タコが本来持っている旨味が最大限に引き出されている気がする。


「最高に美味い」

「良い食いっぷりやな兄さん!」

「そんなに美味そうに食ってくれる陸のヒトは初めてやで!」

「マジかよこんなに美味いのに」


 エルミナさんとリファナに視線を向けると全力で首をブンブンと横に振る。ブリーダはガン無視を決め込んでいる。解せぬ。食わず嫌いは良くないよ?


 ☆★☆


 鳥人族の集落には三日ほど滞在するらしい。今回は取引量が多いので塩の在庫が足りず、鳥人族もそれなりの人員を割いて塩を精製するらしい。水魔法を使って精製するのだが、見学させてもらっても正直何をしているのかよくわからなかった。

 単に海水から水分を抜くだけでは苦味が残るそうで、それを上手く分離させるのが熟練の技なのだそうだ。多分その苦味というのはにがりってやつだろう。どんな成分かは知らん。温めた豆乳に入れると固まって豆腐になるとかそれくらいしか知らん。

 というわけで、塩が用意できるまで待機である。俺はお買い物タイムである。


「鍛冶道具? 無いなぁ~」

「そんなん扱ってる奴おったかな?」

「海だと金属製品は錆びるさかいな」

「せや、ガラクタ倉庫にあるかもしれんで」

「ああ、あそこならあるかもしれんな」

「ガラクタ倉庫?」

「せや。塩のカタに色々貰うんやけどな、中には使い途無いようなものもあんねん。森で使うやつもおらんで全然取引されんもんはガラクタ倉庫に仕舞い込まれるんや」

「あそこにあるもんならなんでも持ってってええで。誰も使うもんのおらんガラクタやさかいな」

「お題はまぁ勉強するわ」

「おうジャリども、兄さんをガラクタ倉庫に案内したれや」


 鳥人族の子供に案内されて断崖に作られた階段を降りる。この階段は鳥人族用なので、正直俺には少々小さい。しかも手すりが低くて使えない。強風に煽られてバランスを崩したら海面に真っ逆さまだな。こええ。


「兄ちゃんめっちゃへっぴり腰になっとんで」

「ビビリやなぁ」

「お前らと違って足が長い分重心が高いんだよ」


 まぁ落ちても死にはしないと思うが、痛いのも怖いのも御免だ。

 ペンギンズに案内されるがままに断崖の中程まで降り、次は通路を通って端まで歩く。この時間帯はあまりこの辺りを出歩く鳥人族はいないのか、他の鳥人族とすれ違うことはなかった。

 しかし断崖から臨む海はなかなかの絶景だ。陽の光を反射してキラキラと輝く海面がずっと水平線まで伸びている。紺碧の海面にはゆらゆらと大人の鳥人族が漂っており、しきりに海に潜って何かしているように見える。漁でもしてるのかね?


「あん? なんやガキども。ここは危ないからはいったらアカンって言われてるやろ?」

「おっちゃんに言われてこの兄さん案内しに来ただけや」

「おん? 人間やないか。久々に見たなぁ」


 断崖の端、他の家屋にされているよりも遥かに大きな洞穴の入り口には一羽の――いや、一人の老鳥人族が居た。身体のあちこちに傷跡があり、片目も失っている鳥人族だ。歴戦の老兵といった雰囲気だな。

 俺をここまで案内した子供ペンギンズはさっさとどこかに行ってしまった。まぁ入ったら怒られるっぽいし俺を待っていても仕方ないと思ったんだろう。ヨチヨチ歩いて行く子供ペンギンズから視線を外しつつ、老兵ペンギンに話しかける。


「ここに鍛冶道具は無いか? あったら譲って欲しいんだが」

「鍛冶道具? あー、奥の方に錆びた鉄床とかあった気がすんなぁ。どこにあるかわからんから勝手に探して持っていってくれや」

「んじゃお言葉に甘えて」


 ガラクタ倉庫に入り込み、中を見て回る。

 広さとしては鳥人族の一般的な住居よりはかなり大きいようだ。白っぽい岩を削って作られた倉庫内はひんやりと冷たく、潮風が入ってくるせいか少しジメッとしているような気がする。

 この倉庫に収められているものは実に様々だ。どれも塩の対価として置いて行かれた品なのだろうが、ぱっと見て使い途がすぐわからないようなものも多い。すぐ見てわかるものもおよそ実用的とはいえないものが多いようだ。


「装飾過多な武器防具が多いな……」


 宝石や金銀で装飾された剣や槍、鎧などが結構ある。だが、よく見てみるとなまくらや見た目だけの鎧が多いようだ。他には華奢すぎてすぐに折れそうな武器か、逆にデカすぎて使いにくそうな武器しかない。使い勝手の良さそうなものはすぐに交換されていってしまうのだろう。

 置いてあるのは武器や防具だけではない。宝石箱のようなものや、何かの実験器具のようなもの。得体の知れない機械のようなものもある。概ねガラクタ倉庫という名前に相応しい収容物が多いようだ。

 ガラクタを掻き分けながら奥に進んでいくと、地べたに横倒しになって他のガラクタの下敷きになっている錆びた鉄床を見つけた。すぐ近くにこれまた錆びたハンマーとやっとこも見つけた。鉄床とハンマーは錆を落とせば使えそうだが、やっとこは要ネジの部分が錆びついてしまっていて、軽く力を入れた程度ではびくともしなくなってしまっている。これはダメかな? まぁ試してみてダメだったら鋳潰して使おう。他にも数点鋳潰して使えそうな鉄製の小物を拝借する。

 黒鋼やミスリルっぽいものもあったが、間に合わせの自作炉では細かな温度の調節ができないので扱うのは無理だ。残念。

 他にも何か使えるものはないかとガラクタ倉庫を見て回る。なんというかこういうのワクワクするよな、宝探しみたいで。元の世界でもリサイクルショップを見て回るのは結構好きだった。

 見る人が見ればお宝があったのかもしれないが、少なくとも俺はそういったものを見かけたことは無い。まぁ、このガラクタ倉庫も例に漏れず錆びついた鍛冶道具の他には何か役立ちそうなものを見つけることはできなかった。


「目的のものは見つかった。ありがとう」

「良いってことよ。少しでもガラクタが減ってくれるのは助かるわ」


 ガラクタ倉庫を去る俺に老兵ペンギンが傷だらけのヒレを振る。こちらも老兵ペンギンに手を振り返しながらおっかなびっくり断崖を登った。別に高所恐怖症ってわけじゃないが、手すりのない狭い階段を登るのはやっぱ怖い。 


 ☆★☆


「ふぅーむ……」


 手に入れてきた鉄床と金槌を砥石で磨きつつ、何を作るか考える。正直手持ちの材料は非常に少ない。ギリギリ剣を作ることはできるかもしれないが、柄や鞘を作るための材料も乏しいのであまり作る気になれない。そうなると、何を作るかだが。


「投げナイフでも作るか」


 俺の膂力で投擲すれば石でも立派な武器になるのだが、石は簡単に砕けてしまうので魔物相手では少々殺傷力に欠ける。しかし鉄製の投げナイフや礫であれば表皮の硬い魔物にも手軽に有効打を与えられるだろう。魔法でも良いのだが、投擲武器のほうが静かで気づかれにくいという利点もある。

 そうと決まればまずはやっとこを作り直さなければならない。しかし蝶番の部分が錆びついてるんだよなぁこれ。ちょっと無理矢理動かしてみるか。グッグッグッ、と何度か力を入れると錆びついていたやっとこが僅かに開閉した。動き始めればこっちのものだ。要ネジの部分にベヘモスの獣脂を擦り込み、根気よくガシガシと開閉する。少し時間がかかったが、使用するのに問題ない程度にまで機能を回復できた。

 最低限の道具が揃ったので錆を落とした鉄床を設置し、土魔法で土台を固めて固定する。地魔法で作った器に焼入れ用の水を溜め、これまた土魔法で簡易型の精錬炉を作って餅鉄や屑鉄と一緒に予め作っておいた木炭を投じ、火魔法と風魔法と使って溶解させる。

 溶解させた鉄を冷やしたら炉を破壊して取り出し、地魔法で精錬してやっと鉄ができた。精錬した鉄塊を魔力を纏わせたブッシュナイフでぶった切って切り分け、加熱用に作った炉に突っ込んで火魔法で加熱する。こんなやり方は断じて普通の鍛冶じゃないが、十分な設備が無いので使えるものはなんでも使う。

 加熱した鉄を叩き、成型して投げナイフを作る。まぁ投げナイフというよりは棒手裏剣と表現したほうが妥当だろうか。もう少し大型のものを作りたいが、いかんせん材料が豊富とは言えないので中指くらいの太さのものを五本ほど作るのが精一杯である。

 こんなことならもう少しケットシーの集落の近くの皮で鉄鉱石を拾っておくべきだっただろうか。

 砥石でゴリゴリと研磨して五本目の棒手裏剣ができた頃には日も暮れかけていた。作業に熱中しているうちにいつの間にか時間が過ぎ去っていたようである。ふと顔を上げるとジト目で俺を睨んでいるリファナが居た。ちょっとびっくりして仰け反る。


「なんだ? どうした?」

「どうしたはこっちのセリフよ。カンカンカンカン何やってるのかと思ったら鍛冶師の真似事?」

「真似事とは失礼な。これでもそれなりの腕だぞ?」

「そう? なんだか作ったものはへんてこな棒みたいだけど」


 そう言いながらリファナが俺の作った棒手裏剣を手で持ち、眉を顰めた。思ったよりも重くてびっくりしたんだろう。


「何なの、これ」

「棒手裏剣だな。投擲して使う武器だ」


 俺も一本掴み取り、近くに生えている木に向かって投げる。スコーン、と良い音を立てて棒手裏剣が半ばまで木に突き刺さった。本気で投げたら貫通しそうだな。残った三本も連続で投げ、同じ木に次々と命中させる。

 多少着弾点はズレているが、投擲スキルも完全に失われたわけではないらしい。


「ふぅん、結構器用じゃない」


 リファナも俺と同じ木に向かって棒手裏剣を投げたが、変に回転したのか上手く突き刺さらなかった。それが悔しかったのか、無言で棒手裏剣を拾いに行く。俺もその後について棒手裏剣を木から引っこ抜いた。

 先端も欠けたり丸まったりしていないし、どうやら上手く作れたようでほっとする。魔法文字を彫るための道具があればもう少し細工できるんだけどな。

 そんなことを考えながらリファナが差し出してきた棒手裏剣を掴む。


 ぐいっ。


 何故かリファナが棒手裏剣を離してくれない。


「……?」

「なんか負けたみたいで気に食わないわ」

「えぇ……?」

「ちょっと練習しとくから貸しときなさいよ」

「えぇ……まぁ良いけど。五本作ったし二本やるよ」


 一本じゃすっぽ抜けてどっかに飛んでったら練習できなくなるしな。材料さえありゃ今後いくらでも作れるわけだし、とりあえず三本もあればいいだろう。

 リファナにもう一本棒手裏剣を押し付け、道具を回収して作業所で出た灰やなんかを地魔法で埋める。作業を終え、視線を上げてギョッとした。リファナが両手に棒手裏剣をニギニギしてニヨニヨしているのだ。こう、笑みを無理矢理抑えているような表情で。

 ふと目が合う。


「な、何よっ!?」

「いや、気に入ってくれたみたいで良かったよ」

「べっ!? なっ!? あっ!?」


 あ、これなんかヤバイ。逃げよう。危険を感じた俺はダッシュで逃げた。後ろから罵声と一緒に風圧弾が飛んできた。なんなんだよもう。

 当たっても効かんがな!

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一級フラグ建築師
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