第五話~冒険者はボロい商売でした~
「もー、酷くありませんか? こんな美少女と一夜を共にして悲鳴とか」
マールは唇を尖らせて俺の胸板を指で突付く。
ショックで放心状態になった俺を他所に不満たらたらである。
ああ、何も考えたくねぇ。
「タイシさんだって途中からはノリノリだったのに…」
「…マジで?」
「そうですよ、私怖いって言ったのに抱え上げたり、後ろから「あ、ごめんやっぱ言わないでゴメン」」
ヤってしまったものは仕方ない。
いくら逃避しても現実は変わらないのだ。
戦わなきゃ、現実と。
いや、俺は現実と戦いたくなくてここに来たんじゃなかったか?
自由を求めてここに来たんじゃなかったか?
一日で詰んでる、死にたい。
しかしそれはそれ、コレはコレだ。
ヤってしまった以上は責任は出来る限り取りたい。
マールは可愛いしな、うん。
「…身体は大丈夫か?」
俺の言葉にマールは驚いた表情だ。
そりゃそうだろう、事実を知るなり放心状態だったんだから。
大丈夫だ、俺は切り替えは早いんだ。
「ええと、怒らないんですか?」
ああなるほど、と納得した。
そうですよね、無理矢理ヤりましたもんね、貴方。
一応自覚はあるんだね。
「怒ったって仕方ないだろ、やり方は酷いが覆水盆に返らずだ。マールの覚悟はよくわかったよ、俺の負けだ」
マールの頭を撫でると、マールは目を細めて抱きついてきた。
くそ、可愛い。
なし崩しとは言えこんな可愛い子と関係を持てたのだ、多少足手まといでもなんとかしてやる。
ベリーイージーだからいける、きっといける。大丈夫。
「とりあえず起きるか。依頼をこなして金も稼がなきゃならん」
「はぁい」
マールがもそもそとベッドから抜け出して脱ぎ散らかしてあった服を身に着け始める。
oh…なんというかこう、エロい光景だなこれ。
なんていうかこう、まっぱより脱ぐよりも履くのを見てる方がエロいですよ?
「もう、何見てるんですか…グッときちゃいました?」
「うるせー」
ニヤニヤと笑うマールから視線を逸らして俺も服やら装備やらを身に着ける。
そうしているうちにマールは部屋を出て行った。
自分の荷物を取りに行ったんだろう。
俺も気を引き締めよう、うむ。
階下に降りると亭主がこちらに気づき、声をかけてきた。
「お疲れ様です。裏手に井戸がありますので、身だしなみもそちらでどうぞ」
そう言ってにっこりと笑う。
全て解っているという顔が腹立たしい。
素直に裏手の井戸を使って石鹸で顔を洗い、軽く身体を拭く。
マールも遅れて現れたので、石鹸を放ってやる。
「いいんですか?」
「良くなかったら渡さない」
マールの頭をポンポンと叩き俺は食堂へと向かう。
そこでは既に宿泊客達がピニャの配膳で朝食を摂り始めていた。
食堂へと入った俺に視線が集まる。
全員俺にぐっと拳を突き出してきた。
人差し指と中指の間に親指が挟まってる。こういうのは世界が変わっても同じなのな。クソが。
「ねぇどうだった? 盛り上がっががががいたいいたい!」
宿泊客達を代表してニヤニヤしながら問いかけてくるピニャの頭をむんずと鷲掴みにしてやる。
殆ど手加減なしの全力全開だ。
「二人分だ、サービスしろよ?」
「あだだだだだ! わかったわかったから降参降参!」
俺の手から解放されたピニャが涙目のまま厨房に消えてゆく。
昨晩のアレは宿のスタッフ側が協力したんだからまことに性質が悪い。まぁ、これで手打ちにしよう。
一度ヤったら二回も三回も同じだしな、HAHAHA…はぁ。
少しして丁度良いタイミングでマールがテーブルに着く。
なんか歩き方が妙――見なかったことにしよう。
「改めておはようございます!」
「ああ、おはよう。メシ食ったら早速冒険者ギルドに行くぞ」
「もー、タイシさんったらもう少し会話に潤いというものを意識しましょうよー」
「俺も恥ずかしいんだよ言わせんな」
そんなくだらない事を喋りながら食事を終える。
朝食のメニューは焼き立てのパンに目玉焼き、それにスープとオマケに俺達のテーブルにだけ果物が供された。
昨晩のお詫びだかお祝いだかしらないが、そういう類のものだそうだ。
朝食を終えた俺達は昨晩のメシ代やらを清算し、一路冒険者ギルドへと向かう。
くそう、ただでさえ資金が目減りしてきていると言うのに。
なんというか昨晩の記憶があまりないだけに、損した気分だ。
「はっ! そらぁっ!」
渾身の突きで矮躯のど真ん中、胸の辺りをを突き、そのまま振り払って別の個体の側頭部を殴打する。
クォータースタッフで突かれ、打ち払われた二体が気味の悪い体液を撒き散らしながら吹き飛んだ。
それとなんかクォータースタッフからミシッて嫌な音がした。
ちょっと太いけど木の棒だもんなぁ、これ。武器での攻撃を何回か受け止めたせいで傷も入ってるし。
「無事か!? マール!」
「けけ、怪我はしてません! けど…」
「けど?」
「漏らしました! 右後方から二匹きます!」
「ああそうかい!」
すぐ傍に居るマールの姿をチラリと確認し、飛び掛ってきた二匹のゴブリンをそれぞれクォータースタッフの一撃と回し蹴りで吹き飛ばす。
今、俺達は魔物の群れに囲まれているのだった。
「お前らでも出来そうな実入りの良い依頼、ねぇ」
俺の相談にウーツのおっさんは依頼を纏めているファイルをパラパラとめくり始めた。
「んー、迷い猫探しとか?」
「私得意ですよ!」
「それはマールができそうな依頼だろ。もう少し俺向きの依頼は無いか?」
「つってもなぁ…お前も駆け出しには違いねぇし」
それなりの実力があることは判っているものの、いざ実戦となると実績が無いから、ということか。
でもほら俺としてはそういうおつかい系クエストよりも討伐クエストとかしたいわけですよ。
「あー、ならこれだ」
そう言ってウーツのおっさんが一枚の依頼書を出してくる。
依頼人は冒険者ギルド?
「ゴブリン退治、ではなく調査だな。ヤツラはすぐ増えて農作物や家畜を襲うから定期的に間引くんだ。その間引きのタイミングを計るための調査になる。ゴブリンを殺せば討伐報酬も出る」
「どうやって討伐したかどうかの確認を取るんだ?」
「冒険者カードに記録される。ただ、しっかりトドメを刺せよ」
なるほど、そんな便利機能がついてるのか。
むしろそういう機能がついてないと詐称し放題になるから当然か?
そうじゃなければ殺した獲物の死体をいちいち引きずってくるか、誰かに確認してもらうか、身体の一部を持ってくるか…どれにしろ面倒だな。
俺は多分ストレージに入れて持ってこられるけど。
「タイシさーん…」
くいくい。
「それじゃそれを請けよう。地図とかはあるのか?」
「たいしさーん」
くいくい。
「ああ、これだ。いいか、確認するだけで良いんだから欲張るなよ。戦闘は最小限で済ますつもりでやれ」
ウーツのおっさんが寄越した地図を見てみる。
街から程近い場所にある森が怪しいらしい。
西門から徒歩で大体一時間くらいだろうか?
「タイシさーん!」
ぐいぐい。
「なんだよ」
「嫌な予感がするんですよー、危ないですよー、やめましょうよー」
「そりゃ危険はあるだろ。というか危険を避けるなら冒険者やってられないだろ」
「うー、そうなんですけどー…」
どうにもマールはあまり乗り気ではないようだ。
まぁ、あんなへっぽこじゃなぁ。
「大丈夫だ、ヤバそうだったらとっとと逃げるし何かあっても守ってやるよ」
「! え、えへへ。そうですか?」
そう言って照れ臭そうに身をくねくねし始めるマール。
別に誤魔化そうと思って言ったわけじゃないがチョロいな。
飛び掛ってきたゴブリンをクォータースタッフの突きで撃墜する。
横合いからゴブリンが飛び掛ってきて噛み付いてきた。
右の二の腕にしがみついてガジガジとこっちの腕を齧っているが、革鎧のお陰で肉までは達していない。
左手の人差し指と中指で目を突き、口を離して転がるゴブリンを力いっぱい何度か踏みつけて沈黙させる。
「わー! タイシさん右から5匹きますー!」
「ええい! 鬱陶しい!」
林の奥から新たに飛び出してきたゴブリンの数は五匹、その全てを視界に納めて純粋魔法レベル1で覚えた魔矢を発動する。
魔矢の狙いはシューティングゲームで言うところのロックオン攻撃みたいなイメージだ。
風弾や風刃は狙った場所に飛んでいく、いわば銃のような射撃感だったがこっちはミサイル、あるいはホーミングレーザー的な感じ。
発射数五倍拡大、目標補足、魔力収束開始。
クォータースタッフの先端に五個の光の玉が発生し、回転を始める。
「エネルギー・ボルト!」
クォータースタッフを振ると同時に金属音のような甲高い音を立てながら五本の光の矢が迸り、ゴブリン達を貫いた。
見た感じ、五百円玉くらいの穴が開いたっぽい。全て頭部に命中したためか、五匹のゴブリン達は全滅だ。
レベル1の魔法なのに強いな、エネルギー・ボルト。
対象を五倍拡大にして消費MPが25、風弾に比べるとやっぱり消費は重いな。
『ギゲゲ!?』
『グゲッ! グゲッ!』
俺が魔法を使ったことに驚いたのか、周りを囲んでいるゴブリン達に動揺が走る。
今がチャンスだな、撃ち殺しまくってやる。
「やれやれ、なんとかなったか、っと!」
まだ息のあるゴブリン達ををショートソードを使って止めを刺して回る。
手傷もそれなりに負ったが、回復魔法で跡形も無く癒えた。
傷口が一瞬で塞がっていく様はなかなかショッキングだったぜ。
「うぅ…お嫁に行けません。あ、でもタイシさんに貰ってもらうから問題ないですね」
「口より手を動かせよ」
俺の言葉に唇を尖らせながらマールも同様にゴブリンに止めを刺して回っていた。
ちなみに下着は既に交換済みだ。
俺も実はちょっと漏らすかと思った。
やっぱ明らかに異形とは言え人型の魔物を殺すってのは精神的にキツい。
「全部で29匹か。こいつらの死体は売れるのか?」
「内臓が薬の元になるらしくて、そこそこの値で売れますよ。あとは飼い慣らした魔物の飼料としても使えるらしいです。その他には呪術に使ったり、燃やした灰を利用したりする場合があるみたいですね」
「なら持って帰るとしよう」
死体をストレージに次々と収納していく。
しかしマールのこういう知識は俺にとってはかなり貴重だ。
戦闘では役に立たないけれども、こういうところで博識なのは素直に助かる。
「トレジャーボックス便利ですねぇ…私も覚えたいなぁ」
「俺のは特別製だ。やり方もなんとなくやってるだけだし、教えろって言われても無理だぞ」
まさか謎の存在(神?)に貰った能力の一部とは言えないしな。
「やっぱりタイシさんは凄いですね。普通これだけの数のゴブリンに襲われたら、FとかEランクの冒険者二人だと全滅するのが当たり前らしいですよ」
全てのゴブリンに止めを刺し、収納したところでマールがキラキラした目でこちらを見てそう言う。
MPもまだ半分くらい残ってるし、掠り傷は負ったが大きな怪我はしていない。
正直もう1.5倍くらい沸いてきてもなんとかなったと思う。
レベルも3つ上がって5になったし、この分だと討伐報酬と売却報酬、依頼達成報酬で相当の儲けが出そうだ。
「結構怖かったけどな。やっぱリアルとゲームは違うわ」
肉を打つ感触、弾け飛ぶ体液、刃を刺しこむ手に伝わる痙攣。
どれもこれもあまりにもリアルで、身体の芯が震えた。
命を絶つ感触、というものを元の世界で感じたことは一度もなかったから。
「りある? げーむ?」
「…気にするな、マッピングは大丈夫か?」
それでも思ったより動揺しないで済んだのは、現実味がまだ身に沁みてないからだろうか。
それともそういうゲームを沢山プレイしていたからか?
国産のゲームよりも核戦争後の世界を放浪するアレとか、近未来の戦場で戦争をするソレとかの洋ゲーを好んでやってたからなぁ。
どれもこれも最近のは映像がリアルだし。
「逃げた方向もばっちりです!」
「よし、警戒しながら戻ろう」
とにかく今日は怪我も無く生き延びた。
帰ろう。
「よく怪我一つもせずに五体満足で帰ってきたな…」
俺とマールの冒険者カードをチェックしたウーツのおっさんが冷や汗を垂らしながら呟いた。
撃墜スコアは俺が23匹、マールが6匹だ。
マールのはトドメ刺しただけだけども。
「死体も全部持ち帰ってきたぞ、買ってくれ」
「なんだと? 全部か?」
「全部だ」
俺がそう言うとおっさんは他のギルド職員を呼んで、俺とマールを奥の倉庫のようなところに案内した。
ひんやりとしているってことは冷蔵倉庫なんだろうか?
どうも天井にぶら下がっている光る結晶から冷気が漏れ出しているらしい。実にファンタジーだな。
「出すぞー」
ゴブリンの死体を29体分並べて放出する。
ううむ、流石にこれだけあるとなんというか不気味だな。
「頭部を一撃…魔法か?」
「こっちのは打撃痕があるな」
「状態は全体的にさほど悪くない」
ウーツのおっさんをはじめとした職員がゴブリンの死体を検分する。
どれほどの値がつくかは判らないが、これは結構期待できそうだな。
「ところで討伐報酬って一匹いくらなんだ?」
「ん? 一匹大銅貨5枚だ。言ってなかったか?」
なん…だと…? ということは合計29匹で大銅貨145枚、銀貨14枚と大銅貨5枚!?
討伐報酬だけで宿屋に58日も泊まれるじゃないか。
装備の更新も夢じゃないな。
「マール、ゴブリンの死体って相場はどれくらいなんだ?」
「うーん、需要によってある程度変動するみたいですけれど、概ね大銅貨2枚から3枚くらいみたいです。最近はゴブリンの大型討伐が無かったはずなので、大銅貨3枚ついてもおかしくないと思いますよ」
「ということは更に大銅貨87枚、つまり銀貨8枚と大銅貨7枚。金貨2枚くらいの儲けになるのか」
「さすがタイシさんです。私だといくら美味しい仕事にありつけても一日に銀貨一枚稼げるかどうかですよ!」
「ああ、うん…」
定食が銅貨2枚から4枚くらい、飲み物が大体銅貨1枚、朝食つき一泊で銅貨25枚。
大体銅貨一枚が100円くらいの感覚なのではないかと感じている。
換算すると大銅貨が1000円、銀貨が1万円、金貨が10万円相当の価値となるだろう。
朝から依頼で外に出て、今は昼過ぎだ。
半日足らずで20万円ほどの収入である。
ボロい、ボロ儲けすぎるぞ冒険者。
いや、命を張っているんだから当然といえば当然なのかもしれないけれども。
それに装備の維持管理にかかる費用等も考えればそこまででもないかもしれない。
ウーツのおっさんに連れられて元のカウンターへと戻ってくる。
「討伐報酬と素材の買取、依頼の達成報酬、合わせて銀貨25枚と大銅貨5枚だ。確認してくれ」
とウーツのおっさんはなにか文字のようなものが書かれた紙を出してきた。
確認してみると、やはりゴブリンの死体は1体辺り大銅貨3枚で買い取られたようだ。
それに依頼報酬の銀貨2枚が加算されている形になる。
依頼報酬少なくね? いや、元々は戦闘をする必要のない偵察だけの依頼だったんだからこんなもんか。
「分配はどうするんだ?」
「ああ、分配ね…どうしたもんか。その辺の勝手は正直よくわからん」
ゲームとかならデフォルトで山分けとかに設定されたりするのかもしれんけど、そういうわけにもいかないだろうからなぁ。
「普通は討伐数や依頼達成への貢献具合なんかで算定するんだが…」
「私はタイシさんが倒して動けなくなっていたゴブリンにトドメを刺しただけです! 戦闘面では小指の先ほども活躍していません!」
どうしてそこでキリッ、と擬音のつきそうな表情をするんだこの娘は。
言ってることは正しいけどな。
「嬢ちゃんがこう言ってるしなぁ…」
ウーツのおっさんも困ったように頭を掻く。
そんな中、俺は25枚の銀貨から5枚の銀貨をより分けてマールの方へと動かした。
マールとおっさんがキョトンとした顔をする。
「マッピングはマールが一人でやったし、俺より先にゴブリンに気づいて警告を出してくれた。戦闘中もわかりやすくどの方向からどれだけの敵が迫っているか教えてくれた。とは言え戦闘の大半を担ったのが俺なのは間違いない、ということで銀貨5枚ってことで」
そして俺は更に10枚の銀貨をより分けてマールの方へと動かす。
「で、これは俺とマールのパーティ共有財産。管理はマールに任せる。これからはここから俺とマールの生活費やなんかの雑費を捻出する。装備品なんかを買う時に予算が足りない場合は相談の上ここから都合する、という方向でどうだ?」
戦闘で役に立たない以上は面倒な雑事を担ってもらう。
我ながら外道、うむ。
しかしマールは顔に満面の喜色を浮かべた。
パァァァっと擬音までつきそうな勢いだ。マゾかこいつは。
「そして残りは俺がいただく」
というわけで銀貨10枚と大銅貨1枚ゲットだ。
なんかクォータースタッフが嫌な音立ててたし、もうちょっとマシな発動体武器を工面するべきのような気がする。
木製はやっぱいかんね、ゴブリンの粗末な武器程度でも着実に傷ついてるし。
このまま使ってたら折れそうな気がする。
「俺はこれから武器屋に行ってこいつをどうにかするが…マールはどうする?」
「あ、私も武器屋に行きます。タイシさんを援護できるような武器を見繕いたいので!」
マールはそう言いながら拳を握りしめてフンスと鼻息を荒くする。
マールも一応ショートソードを腰に下げているが、動けない相手くらいにしかまともに当てられない。
少しくらいは使えるように稽古をつけてやった方が良いかもしれない。
「んじゃまぁ、行くか。またな、おっさん」
「また明日ー」
冒険者ギルドを後にして武器屋へと向かう。
「えへへー」
にこにこしながら横を歩くマール。
こう、割と控えめに表現しても美少女と言える女の子がにこやかに隣を歩く光景というのは、慣れない。
もう違和感を感じなくなってしまっているけども、ほら、俺ってば幸せがいっぱい詰まったメタボ腹だったしね?
そうなる前には女の子と付き合ったことはあるけど…まぁ、やることはやったけども別れ方があまりにもアレでなぁ。
それ以来色恋沙汰に興味なくなったし。ああ。鬱になりそうだ。
と、過去のトラウマを穿り返しているうちに武器屋へと辿りついた。
さて、手ごろな武器があれば良いが。
~ゴブリン~
個体としての実力は訓練されていない(戦闘スキルを持っていない)健康な成人男性に劣る。
ただし徒党を組み、群れで行動し、また粗末で不衛生な武器を使うため危険度は意外に高い。
その武器による傷は治りにくく、また適切な手当てをしないと容易に化膿し、病気になってしまうからだ。
強い繁殖力を持つ上、ヒト種の女を母胎とする場合もあるので注意が必要。
前述の繁殖力の高さによって根絶が難しく、また力の弱い子供や婦女子にとっては危険極まりない魔物であるため、常に討伐依頼が出されている。
皮肉なことに、冒険者にとっては良いメシの種なのだが。