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始まりの前の初まり

 人間界とは別の世界。

 創りモノの青空が広がる草原。そこに、白いワンピースを着た長い髪の美しい女性がいた。黒いローブを羽織っている男性が、その女性に近づく。

 「なあ、エマリエ」

男性は、目の前にいる女性、エマリエに話しかけた。

 「なんですか、夜壱様?」

エマリエは、自分の名を呼ぶ声に気づき、振り返った。

 悲しそうな表情を見せる男性、夜壱(よるいち)は、やっとの思いで話し始めた。

 「エマリエ」

 「はい」

 「もうすぐ、わたしはここ‥‥‥いやこの世界、と言うべきかな?どちらでもいいだろう。この世界を去らなくてはならない」

 さらに話を続ける。

 「わたしは、元々この世界の住民ではないからね。この世界に、体がついていけなくなってきたんだ‥‥‥」

 「そんな‥‥‥」

 エマリエの美しい不思議な色の目に涙がうかんでいた。


『ザワァアァァァッ』


 風が吹き、緑茂る草原がザワザワし始めた。エマリエの流れるように美しい髪が白いワンピースが、夜壱の黒いローブが、風になびく。

 「すまない。その子たちの成長する姿も見ることができないんだね‥‥‥」

 夜壱はどこかやるせない感じで、エマリエのお腹に手でそっと触れた。

 「夜壱様」

 「なんだい?」

 ふと、沈黙をやぶるかのように、エマリエは夜壱の名を呼び、問いかけた。

 「あのときの、初めて会った時に二人で交わした約束、覚えていますか?」

 夜壱は顔を上げ、答える。

 「もちろんだとも‥‥‥」

 二人はお互いの手を取り指を絡めあい、額と額が触れ合うぐらいまで顔を近づけた。

 「わたしは人間で君は死神。いつかは別れの時がやってくる。でも、わたしのこの力を受け継ぐ者が生まれ、これから生まれてくるこの子たちのどちらかが今のわたしたちのように手を取り、お互いを愛するときが来るだろう。わたしたちが不安になることはない。今のわたしたちが、始めの、初めの一歩なのだから‥‥‥」

 「はい、夜壱様‥‥‥」

 二人は静かに、涙をながしながら抱き合った。

 この小説は鈴乃がなんとなく書いて「あっ、これいけるんじゃね」と思って書き始めた思いである作品です。みなさんが気に入ってくれたらとても嬉しいです。

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