好きなゲーム世界に転生できると思ったらどアンチ作品に転生した件
「お、そろそろ始まるな!」
俺、後楽園遊里はゲーム大好き社畜!今日も残業でふらふらになって帰ってきた。このまま倒れこんで眠ってしまうか……
「そんなわけないだろ!今日は楽しみにしていた、スーパーゲームダイレクトの日だぜ!」
そう言いながら冷蔵庫に走り、買い置きしていた栄養ドリンクを喉に流し込む。滅茶苦茶疲れてる。でも寝てなんかいられない!
PCを立ち上げ、スマホのコミュニケーションアプリを立ち上げる。お菓子ヨシ!追加の栄養ドリンクヨシ!スーパーゲームダイレクトの準備は万端だ!
「遊里!準備できたか!」
アプリの向こうから親友のゲーオタ、棒土芸真の声が飛んでくる。奴もこの配信を楽しみにしていて、共に実況すると約束していたのだ。
「もちろんさ!今回は新ハードが出て1年過ぎ!そろそろハードを活かした面白いゲームが出る頃だぜ!絶対に面白いゲームの発表があるはずだ!寝てなんかいられるかよ!芸真!お前こそ寝るなよ⁈」
そう言いながらチョコレートと栄養ドリンクを流し込む、糖分とエネルギー!完璧だ!
「それでこそ遊里だ!お!始まるぞ!」
PC上の配信画面が開始を告げる、ワクワクするお馴染みのOPが流れる。新作ゲーム紹介……始まった!
「オープンワールドRPG!ウルトラブレイドの新作だって⁈」
「うおおおお⁈20年時が止まっていたあの音ゲーシリーズ再始動⁈」
「おー、昔のハードで出てたRPGのリマスターか……って追加で新作発表⁈」
凄いニュースの数々に絶叫する二人、さらに、
「恋愛SLGゲームの名作『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の新作!買う!絶対に買う!」
「落ち着け遊里!でも良かったなあ……お前これの前作本当に好きだったもんな!」
「あたぼうよ!学園恋愛SLGでありながら下品でないエロスととにかく可愛い世界観!そしてケモなのに一般層にも広まった圧倒的完成度!歴史的傑作だから、続編が出るのは明らかで、その素晴らしさはピタゴラスの定理よりも明らかで、前作から出ると思われるゴールデンレトリバーケモメイドのハルコさんはカワイイの化身で……おい、芸真!聞いてるのか⁈」
「お前の好き語りは長いからな、ほら次の発表……あっ」
急にPVのカラーが変わる。パステルカラーの優しい色合いから、灰色の空と茶色の荒れ地の世界観に変わる。
「うげっ!『ダークブラッドムーンシャーク』の新作かよ⁈」
思わず嫌な声が出てしまう。
ダークブラッドムーンシャークは高難易度ACTゲームシリーズで、血みどろ臓物たっぷりのハードな世界観、風呂になんか絶対に入っていない『衛生面は推して知るべし』中世のファンタジーでエロカワとケモと美少女大好きな遊里の苦手なタイプのゲームなのだ。
「なんでこんなゲームが売れるんだよ……」
「俺は歯ごたえがあって好きなんだけどな。これでも全世界で2000万本は売れてるし。でも遊里、お前このシリーズのアンチだもんな」
「アンチだけど、好きな人がいるのは知っている。だから否定しないよ。でも俺は……生理的にちょっと……すまん、芸真」
「気にするな、まだまだ新作は出るぜ!ほら次!」
この後も綺羅星の様な新作発表があり、遊里と芸真は歓喜の絶叫を上げながら実況した。
そして発表が終わると。
「いやー!今回のスーパーダイレクトも最高だった!全部プレイするまで死ねねえな!芸真!」
「ああ!だが気をつけろよ遊里、お前最近、残業残業でボロボロだろ⁈身体には気を付けて……」
「平気平気!これくらいでくたばるほどヤワじゃねえよ!」
そう言いながら、豪快に栄養ドリンクを流し込む遊里。
その瞬間だった。
ドクン
「あ……あれ⁈心臓が……締め付けられる……苦しい……」
「おい⁈どうした⁈遊離⁈」
「芸真……俺、ヤバいかも……」
「遊里⁈救急車呼ぶんだ!おい⁈」
どれくらい時が経ったのだろうか。気が付くと全てが真っ白な公民館のホールのような入り口に並んでいた。並んでいる人間は老若男女色々。綺麗な女の人から、ガテン系の中年。自分と同じようなゲーマー(持ってるラバストから見ておそらく洋ゲー系⁈)っぽい人に杖をマイクのように構え歌っている元気なお婆ちゃん。一体これは何の列なのだろう⁈
呆然としていたら受付係のような女性に、声をかけられた。
「後楽園遊里さん、貴方の番です」
「あ、はい……あの、これは……」
「貴方は先ほど亡くなりました。これは転生の手続きです。どの世界に行きますか⁈」
「え⁈この展開はもしかして⁈」
話を聞くと、やはりよくある『亡くなったからチート能力付きで別の世界へ転生する』話らしい。前世はブラック社畜。喜ぶ人もいるかもしれない。だが……。
「待ってくれ!やりたいゲームがたくさんあるんだ!死ぬわけにはいかない!特に『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の新作をプレイするまでは!」
受付係に食って掛かると、ちょっとお固めな雰囲気のある受付係さんは、
「ならその世界に行きますか⁈ありますよ『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の新作の世界」
さらりと言ってきた。えっ⁈
そう言うとマークシートのようなものを渡された。見ると『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の新作の名前がある。
「行きたい世界の所のマークシートを塗りつぶして提出してください。手続き後、転生します」
「イケるの⁈『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の世界に!」
思わず声が出る。やりたいゲームは沢山ある!でも『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の世界は俺の夢なんだ!
「すまん芸真!現世!残してきた仕事を引き継ぐ同僚!俺はケモメイドたちと愛を確かめ合いたいんだ!」
秒速でマークシートを埋めて受付係に渡す。すると、
「受理されました。後楽園遊里さんは『ダークブラッドムーンシャーク』の新作の世界に転生ですね。良い人生を歩まれることをお祈りします」
「いま……なんて言いましたでしょうか⁈」
「『ダークブラッドムーンシャーク』の新作の世界に転生です。なかなかハードモードですがチートがあればそこそこ生存率は高いと思われるので。ではお幸せに」
「いや!俺が行きたいのは『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の世界で……」
そう叫ぶと受付係が提出したマークシートを見せてきた。
記入した所が……一個ズレている!
ズレた先は……『ダークブラッドムーンシャーク』の新作!
「訂正は受け付けません。では良き転生人生を」
受付係の冷静な声が脳内に響く。
「待ってくれええええええええええええ⁈」
どのくらい時間が経ったのだろう。気が付くと、荒れ地で横になっていた。
目が覚めてすぐにひどい匂いに気が付く、見るとすぐ側に沢山の死体が転がっている。
「ぎゃあああああああああああああああああ⁈」
絶叫すると、ボロボロの服を纏った女が高い草を搔き分け現れた。
「ダークブランドンシルバニアへようこそ。貴方運が良いわねえ。戦が起こって死体が一杯だから装備剥ぎ取り放題よ!今日はなんて良い日かしら⁈ホホホホホ」
そう言うとボロボロの服を纏った女は大喜びで装備や指輪を剥ぎ取り始めた。横を見ると狼のような生き物が死体の腕を齧っている。
「アンチしてるゲームに転生してしもたアアアアアアアア!どうしてこうなったアアアアアアアア!」
遊里の絶叫が荒野に響いた。
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その時だった。
死体を剥ぎ取っていた女に向かってゴブリンの群れがこん棒を持って襲い掛かってきた!
「ここは俺達の縄張りだ人間んんんん!」
「ヒイイイイイイイお助け下さいまし―!」
その地獄絵図の様な物を見ていた俺は……正直困っていた。
「(この女も死体から追いはぎしてたんだよな~)」
だがか弱い女の子がこん棒で頭を割られそうになっているのを見て考えるより先に身体が動いた。
「ええい!考えるのは後だ!遊里キ―――――――ック!」
武器を拾う時間も無かったから思い切ってゴブリンを蹴飛ばした!すると……ゴブリンは200m程吹っ飛んで気絶した。
「ヒイイイイイイイ!化け物でやんす―――――――――!」
そう叫んで退散するゴブリン。びっくりしたがふと思い返す。
「そう言えばチートがあるって言っていたな⁈って事は⁈」
遊里は荒野のど真ん中にわざとらしく置いてある大きな宝箱を見つけると中の物を確認した。すると……武器やら資材やらが明らかに宝箱の容量を超える規模で詰まっていた!
「なるほどこれで無双しろってか。だが、この資材はなんだ⁈」
そう思いながら、元の世界のスーパーゲームダイレクトの『ダークブラッドムーンシャーク』の新作のPVを思い出していた。その中では
「思い出した!ハードなアクションだけじゃなくて本拠地の町を作ったりするクラフト機能も実装されたって言ってたんだ!興味なかったから聞き逃していたが凄い方針転換だな⁈ならば!」
そう思いながら宝箱の中の物をどんどん出す。鉄骨、鉄鍋、武器、木材、薬……。
「あった!これだ!」
そう言いながら色とりどりの糸や布を出す。そして先ほどの追いはぎ女に声をかける、
「おい、お前!名前は」
「は……はい、アリスです」
「俺は遊里だ。ユーリで良い。アリス、服を脱げ!」
「えええええええええええ⁈でも、そうですね、命の恩人ですし……どうか優しくしてくださいね」
アリスはそう言うと頬を赤らめ、裸になり、そっと地面に横たわった。ああ、めくるめく官能シーンが……
始まらなかった。
ちくちくちくちくちく
遊里は一心不乱に何かを縫っている。
「あの……ユーリ様⁈」
「できた!着ろ!」
そう言って出来たメイド服をアリスに渡す。
「あの……えっちな事は」
「と に か く 着 ろ」
「は……はい!」
慌ててメイド服を着るアリス。ちゃんとした服を着るとアリスは可愛い。だが
「ダメだ!アカン!風呂に入れる!」
そう言いながらダッシュで資材を探す。だが風呂釜はなかった。
「作るしかないか……人手がいるな……ならば!」
そう言ったかと思うと、原付みたいな速度で、さっき逃げて行ったゴブリンの方へ走って行った。
5分後
遊里は顔をぼこぼこにしたゴブリンの群れを連れて戻ってきた。
「お前ら死にたくないよな⁈」
「はい!我々はユーリ様の奴隷ですウウウウウウ!」
「よし!働け!」
「はいいいいいいいい!」
凄い勢いでゴブリンたちをこき使い、風呂つきの家を作った。
「アリス、風呂入れ。あとこれ、箱の中に入っていた木の灰と植物油で作った石鹸。あまり良い物じゃないが、これで身体をゴシゴシ洗え」
「え、でも、こんな高級な物……」
「さっさと入れええええ!」
「は、はい!従います!ご主人様アアアアアアアア!」
風呂から上がったアリスはボサボサの髪も綺麗になり美しい少女の姿になった。
「こんな……お姫様みたいな扱い……はじめてです。ユーリ様……私、貴方の事が……」
アリスが恥じらいながらそう告白した時、
「オラオラゴブリンども!お前らも風呂に入るんだよオオオオ!」
「は、はい!従います!ご主人様アアアアアアアア!」
ユーリはゴブリンたちを、ちぎっては投げ、ちぎっては投げで風呂に放り込んでいた。
「ユ……ユーリ様あああああああああああああああ⁈」
告白をスルーされ涙目のアリス。
そして半日後。
全員風呂に放り込まれ、ゴブリンたちは執事服を仕立てられて着替えさせられていた。風呂付の家は青い屋根にクリーム色の壁に塗り変えられていて、殺伐中世ファンタジーの世界に乙女ゲー世界のおうちが建っているアンバランスな絵面が誕生していた。
ゴブリンの一匹が恐る恐る尋ねる。
「あの~ご主人様、これは……」
「俺は決めた」
ユーリがそう言うとアリスも尋ねる。
「何を……ですか⁈」
「チートを使ってこの世界をらぶらぶちゅっちゅな世界に作り替える!そのためにこの世界の魔王を倒す!お前らにも存分に働いて貰うぞ⁈」
「ええええええええええええ⁈」
アリスとゴブリンたちの悲鳴が上がる。
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ここからユーリの快進撃が始まった!
各地ボスや雑魚モンスターを次々にボコって配下にして、配下にした者たちは……次々と『らぶらぶちゅっちゅ』な世界観を作るための作業員にされた。肉体派はラブリーな橋や建物を作り、手先の器用な亜人たちは、レースや金糸を使った服やカーテン、ハンカチを作り、焼いた大黒ヤギの肉と、どどめ色の汁の鍋物しかなかった食事は、大通りにクロワッサンや蜂蜜の香りのするお菓子が並ぶまでに改善した。
この展開に(色々な意味で)恐れをなした魔王は遂に四天王を送り込んだが……
「飛竜部隊よ!四天王のいる館に毒ガスを発生させる液体の詰まった陶器玉を大量に落とせー!」
「はい!ユーリ様!」
ドオオオオオオオオン
「ぎゃー!」×4
四天王全滅!
遂にダークブラッドムーンシャーク魔王が、軍を率いて襲い掛かってきた!ダークブラッドムーンシャーク魔王はサメ竜巻を使いこなすこの世界の大魔王だ!
「混成亜人部隊よ!新兵器ガトリングガン部隊で殲滅させろ」
「イエス!ユーリ陛下!」
ドドドドドドドドドドドドドドドオオオオオオオオン
「ぎゃー!」
ダークブラッドムーンシャーク魔王を仕留めた!
そして最期に魔王がユーリ王に問いかけた言葉は歴史に残ったという。
「この世界は……悪が栄える世界だ……お前が何をしても次の魔王が現れこの世界を闇に落とす……なのに何故あらがう⁈」
「美しくて!可愛くて!エロい!そんなものが無い世界はまっぴらごめんなんだよおおお!」
ぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこ
「理不尽ンンンンンン―――――――――――!」
タコ殴りにされながら滅ぶダークブラッドムーンシャーク魔王。この瞬間この世界、ダークブランドンシルバニアの暗黒時代は終わった。
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ユーリ陛下はこの世界を救い統一した王として称えられた。
ダークブランドンシルバニアはパステルブルーシルバニアと名前を変え『かわいい』を国是にしたゆるふわな世界に変わっている。
住民は人間以外にもゴブリン、オーク、ダークエルフ、人魚など亜人が仲良く暮らしている。だが美的感覚と衛生面の向上などで、メイク技術が上がり、この世界の顔面偏差値は凄い勢いで上がったという。
「素晴らしい……俺はやり遂げた」
そう言うとユーリはガウンを纏って寝室に向かう。すると、
「お帰りなさいませ、陛下ァ~♪」×10
スケスケの服に金のボディアクセサリーを身に着けた裸同然の美女(亜人含む)10人がユーリを囲む。中にはアリスもいた。
「はっはっはっはっは!俺はやり遂げた!この世界を美しくて可愛くてエロいもので満たしたぞ!」
「おめでとうございます!」×10
「じゃあ、ここからはめくるめく官能の宴……」
ユーリがそう言いかけた瞬間、脳内に声がした。
「遊里!遊里!聞こえるか!目を覚ませ、遊里!」
「この……声は⁈」
ユーリ陛下がそう思った瞬間……世界がぼやけ……そのまま意識を失った。
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「遊里!目覚めたか!良かった!」
「芸真……⁈ここは⁈俺はどうしていたんだ⁈」
遊里は自分がベッドに寝かされている事に気付いた。腕からは管が出ている。点滴だ。よく見るとここは病院の様だ。すると芸真が笑いながら告げてきた。
「お前、スーパーゲームダイレクトを見ていた時に倒れたんだぜ⁈俺が慌てて救急車を呼んでやったんだ。感謝しろよ!」
段々思い出してきた。そうだった、3本目の栄養ドリンクを流し込んだところまでは覚えている。あれはたしかにマズかった。普段の不摂生も祟ったんだろう。
「ありがとう、芸真。あれからどのくらい倒れていた⁈」
「3日だ。身体は動くか⁈」
試しに起き上がってみた。身体が軋む。だがなんとか起き上がれた。
「なんか……凄い夢を見ていた。『ダークブラッドムーンシャーク』の新作に転生した夢。退廃的な世界を可愛くてエロくて美しい世界に変える夢……夢とは言え、傑作だったなあ」
そう言って笑う遊里。すると、
「『ダークブラッドムーンシャーク』の新作は元々可愛くてエロくて美しい世界だろ⁈お前何言っているんだ⁈発売日楽しみにしてただろ⁈」
聞き捨てならない事を言う芸真。
「え⁈何を言って……」
「三日前のスーパーゲームダイレクトで歓喜の絶叫上げてただろお前、ほら」
そう言ってスマホを出す芸真。そして三日前のスーパーゲームダイレクトの動画を見せてくれた。すると……
「(スーパーゲームダイレクトのソフトラインナップが変わっている⁈)」
新作のタイトル名は一緒だった。だがゲーム内容は大きく変わっていた。
「ウルトラブレイドが……乙女ゲーになっている⁈」
「20年時が止まっていたあの音ゲーシリーズが何故か筋トレゲームに⁈」
「昔のハードで出てたRPGのリマスター……ここは一緒か。って追加で発表された新作が何故かカラオケゲームに⁈」
驚いていると『ダークブラッドムーンシャーク』の新作のPVが始まった。
『魔王に支配されたパステルブルーシルバニア、貴方の力で可愛い街に!美味しいお菓子を作って亜人の女の子たちの好感度UP!好感度最高になったらちょっとえっちなご褒美が!』
「ええええええええええええ⁈」
驚愕の声を上げる遊里。それを見て不思議そうな顔をする芸真。
「お前……頭でも打ったか。このPV観て『神作!』って喜んでいたじゃないか⁈」
そう言われた遊里だったが、頭の中は大混乱だった。そして一つの結論に至る。
「(まさかあの転生は夢じゃなかった⁈いや転生と言うか世界改変して帰って来たのか⁈いや、まさか、そんな⁈でも他のソフトはなんで変わった⁈)」
そんな事を考えていた時に、あの世界に転生した時の事を思い出していた。
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どれくらい時が経ったのだろうか。気が付くと全てが真っ白な公民館のホールのような入り口に並んでいた。並んでいる人間は老若男女色々。綺麗な女の人から、ガテン系の中年。自分と同じようなゲーマー(持ってるラバストから見ておそらく洋ゲー系⁈)っぽい人に杖をマイクのように構え歌っている元気なお婆ちゃん。一体これは何の列なのだろう⁈
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「(まさかあの場にいた他の人たちも転生して他のゲームの世界を改変していた⁈って事は⁈)」
その瞬間、順番が変わったのかスーパーゲームダイレクトの大トリとして『ケモメイド学園♪ラブラブちゅっちゅ』の新作のPVが流れた。
『血と硝煙の暗黒世界。ケモメイド学園の生徒たちは畑で育てる貴重な作物の種もみを賭けて血で血を洗う殺し合いを行う……吹き飛ぶ血、零れる臓物、最後に立っているのは誰か……』
「ぬわあああああああああ!」
絶叫する遊里。そして、遊里のイチ押しゴールデンレトリバーケモメイドのハルコさんが画面に現れた。
ハルコさんはカワイイの記号が全て取り外されていて、筋肉ムキムキ腹筋バキバキ、骨をも砕く強そうな顎に全身傷だらけのマッチョヒロインに変貌し手にはマシンガンを構えていた。そして不敵な表情でキメ台詞を吐く。
「たとえ恩人でも、種もみに手を出す奴は……ミンチにしてやるぜ」
ババババババババババババ(銃声)
「いやあああああアアアアアアアア⁈」
絶叫する遊里、そしてそれを見て同情する芸真。
「お前アンチだったもんな。すまんな、病み上がりにこんなもの見せて。もう寝ろ……次は果物でも持ってきてやるよ」
そう言って親友はベッドのカーテンを閉めて去っていた。
倒れながら遊里は転生の手続きに並んでいた、自分と同じようなゲーマー(おそらく洋ゲー系)の顔を思い浮かべていた。あの野郎!と思ったが、もし彼がオリジナルの退廃的な『ダークブラッドムーンシャーク』のファンだったら自分を許さないだろうな……とも思った。
「(だが俺のハルコさんをおおおお!)」
やり場のない怒りに燃えながらベッドでジタバタ動く。だが点滴を打っているから動けない。誰だ、誰が悪いのか、俺か、あいつか、それともみんなか。
「どうしてこうなったあああああああああああああああああ!」
そう叫んで、大声に気付いて飛んできたナースに怒られつつ悶々とした気持ちで病院の夜は更けていった。
最近ずっと長編を書いていたので、スカッと終われる短編ギャグ描いてみたいなと思って描きました。
ちょうど某ゲームハードのダイレクトな配信があって自分の中で盛り上がったので勢いで描きました。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。




